2011/08/04

僕たちの未来 / 柴田淳

僕たちの未来【通常盤】(CD)
 マイ・フェイバリスト・シンガー柴田淳の新譜です。10周年の節目に当たるアルバムで彼女自身がセルフ・プロデュースしております。なお、初回限定盤にはDVDと、ボーナストラック一曲がついています。私はこの手のDVDは要らないので通常盤にしました。
 

1. この世の果て 
2. あなたの名前 
3. 風 
4. LAFAYETTE -instrumental- 
5. 願い 
6. ハーブティー 
7. 桜日和 
8. マナー 
9. うたかた。 ~弾き語り~ 
10. さよならの前に 
11. おやすみなさい。またあとで…

 一曲目の「この世の果て」は典型的なシバジュン節でバックの演奏もオーソドックス、彼女のファルセットの美声も健在で、ああ元気だな、と安心できます。と言うのも前作がかなり危ない精神状態で作られていたので、ファンとしては心配になってしまうわけです。

 その後も8などの歌詞にはかなり切羽詰ったものもありますが、羽毛田さんのアレンジが多い事も有ってか破綻無くシバジュンらしさを堪能できます。最大公約数的な聴き所としては、ちょっと変わったコード進行のある3「」、典型的シバジュン・バラッド5「願い」、オーソドックスな7「桜日和」、最後を締める11「 おやすみなさい。またあとで…」あたりでしょうか。

 個人的に最も良かったのは、ピアノの弾き語りで切々と歌う、曲調に明るさのある9「うたかた。」です。その次ののびやかに美声で歌い上げる10「さよならの前に」も素晴らしい。

  というわけで比較的バラエティに富んだ構成になっていますので、シバジュンファンそれぞれにお気に入りの曲が見つかると思います。なお、ボーナストラックは処女作「心の声」という曲だそうで、これにはそそられない事もなかったですが、アマゾンのレビューによりますと、このボーナストラックのために11曲目の収録時間が何と20分を越えているそうです。11曲目自体が5分17秒ですから、おそらく10分以上無音状態のまま待て、ということでしょう、購入を考えられておられる方はご注意ください。

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2011/07/06

コクリコ坂から歌集 / 手嶌葵

スタジオジブリ・プロデュース「コクリコ坂から歌集」
 手嶌葵の新譜です。題名から分かるように、彼女のデビューのきっかけとなった「ゲド戦記」以来2回目のコラボレートとなるスタジオ・ジブリの次回作品「コクリコ坂から」の主題歌や主題歌の別ヴァージョン、劇中挿入歌などを中心に、オリジナルソングを収録した歌集となっています。

1. さよならの夏~コクリコ坂から~
2. エスケープ
3. 朝ごはんの歌
4. 旗
5. 春の風
6. 懐かしい街
7. 並木道 帰り道
8. 雨
9. 初恋の頃(ALBUMバージョン)
10. 赤い水底
11. 紺色のうねりが
12. 愛をこめて。海
13. さよならの夏~コクリコ坂から~(主題歌別バージョン)

 作詞作曲には音楽担当の武部聡志に加え、宮崎吾郎監督、谷山浩子が全面参加しております。哀愁を帯びた美しい旋律から、谷山浩子独特のほんわかとした雰囲気まで、全体に手嶌葵のゆったりとした美声での歌唱と良くあっていると思います。主題歌「さよならの夏」が既にリリースされているのでご存知の方もおられると思いますが、映画音楽の常で、やはりこれがベストトラックでしょう。ちなみに最後に別バージョンも入っています。

 もちろんこういうアルバムは映画を観て気に入ってから買う、というのが常道だとは思いますが、こと手嶌葵ファンに関してはミズテンで買って損は無いと思います。何となく映画の雰囲気も感じ取れる気がします。てな事言って映画のレビューがどうなるかは分かりませんが(笑。

 ジブリの前作「借り暮らしのアリエッティ」はビックリの高音質で話題になりましたが、この作品もそれほどではありませんがナチュラルで上品な音質だと思います。まあ前作よりジブリっぽさが鼻につくかもしれませんが、それは仕方ないことと割り切って聴いて下さい。

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2011/05/28

原田知世ゴールデン☆ベスト~As Time Goes On~

原田知世 ゴールデン☆ベスト~As Time Goes On~
  ベスト集はあまり取り上げないようにしている拙ブログですが、原田知世となると話は別です。ん?つい最近どこかで書いたぞ。。。そう、SADEでしたね。という1週間越しのネタフリでご紹介いたしますのは知世様久々のベスト集でございます。ジャケットをじっと見つめていると、おお、真ん中の青いジョウロの列が一番深いシンプルなステレオグラムになっております。見えにくい方はリンク先の写真を拡大してみるとやりやすいと思います。ってそこまでマニアックな方もいないか。。。それより、彼女の写真が一枚も入っていないってのは一体FLMEは何を考えているのか、小一時間(以下略。

1. Silence Blue 
2. うたかたの輪舞曲 
3. Jamais-Vu 
4. さよならを言いに 
5. 月が横切る十三夜 
6. 100 LOVE-LETTERS 
7. 消せない大文字 I LOVE YOU 
8. シンシア 
9. ロマンス 
10. 春のうた 
11. Blue Moon 
12. Road and Blue Sky 
13. Take me to a place in the sun 
14. As I like 
15. 空と糸 -talking on air- (Edit Version) 
16. 砂の旅人 
17. あした

 当然ながらフォーライフレーベルのアルバムからの選曲になっていますが、前回のベスト集が2001年の「BEST HARVEST」ですからそれ以降の3枚から多数選曲しているかなと思ったら、何と「music & me」「eyja」からは選曲されていません。これはちょっと不満なところですね。まあ前回とは選曲を変えてきていますし、バランス良く各アルバムから選ばれていますので良しとしましょう。
 ちなみに各曲の収録アルバムをチェックしてみますと下記のようになります。

Tears of Joy(1990) 2
Blue in Blue(1990) 1
彩(1991) 3
GARDEN (1992) 4
Egg Shell(1995) 5
clover (1996) 6,7
I could be free(1997) 9
Blue Orange(1998) 10,11
a day of my life(1999)12,13
My Pieces(2002)14,15,16
music & me(2007) なし
eyja(2009) なし

 鈴木慶一トーレ・ヨハンソンと組んでいた時期の作品を核としてその前後も収録していますので、彼女がアーチストとして確実に成長して行く過程が良く分かります。

 なお8の「シンシア」はオリジナルアルバムには収録されていませんがベスト集の「Flowers」に入っております。それと、ボサノバ・バージョンが「music&me」に収録されています。彼女の代表曲の一つで、TVドラマ「デッサン」の主題歌だったんですが、このドラマの事はあまり思いだしたくない。。。今、とか言うドラマでブレイクしている主演男優と共演していたんですが、このトラウマでその男優の出ているドラマ、映画はあまり見たくありません(苦笑。でもこの曲は素晴らしい。何度聴いても飽きません。

 そして今回驚いたのは、どのアルバムにも収録されていなかった「あした」が収録された事。大林宣彦監督作品「あした」の主題歌で鈴木慶一がプロデュースした、幻の名曲といわれていた作品です。これは嬉しいサプライズでした。

 という訳で、原田知世入門に是非どうぞ。

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2011/04/25

剣と楓/ 鬼束ちひろ

剣と楓
剣と楓
 フォーライフに移籍した鬼束ちひろの新譜です。演歌のアルバムかと見紛うようなジャケ写真、その裏には黒のバックに「これが 未来の 犯罪者」と印刷されており、更には裏表紙の裏で「私は 過去を 犯せる」との締めくくっております。さあ、相当大変なアルバムのようですが、どうでしょうか、聴いてみましょう。

1. 青い鳥
2. 夢かも知れない
3. EVER AFTER
4. IRIS
5. 僕を忘れないで
6. An Fhideag Airgid
7. SUNNY ROSE
8. NEW AGE STRANGER
9. CANDY GIRL
10. 罪の向こう 銀の幕
11. WANNA BE A HAPPY WARRIOR
12. 琥珀の雪

『 初のオール・セルフ・プロデュース作品となる、鬼束ちひろの6thアルバム『『剣と楓』。レーベル移籍を経て、1年半ぶりにファンの元に届けられたこの待望の新作は、“原点回帰作”と呼ぶのに相応しい、鬼束節の楽曲を中心としながらも、中には4つ打ちのエレクトロ・チューン(「NEW AGE STRANGER」)や、元気いっぱいのアップ・ナンバー(「EVER AFTER」「CANDY GIRL」)、そしてスコットランドの民謡(「An Fhideag Airgid」)なども収録された、幅広い内容の作品に仕上がっている。感性やその場のノリで楽曲制作をするという鬼束ちひろ、まさにこの1年半、ヴァリエーションに富んだ日々をおくっていたことが想像できる。サウンド・プロデューサー陣には、坂本昌之(平原綾香、徳永英明等)をはじめ、エリック・ゴーフィン(ジェイムス・ブラント、クリスティーナ・アギレラ、ダニエル・パウター等)、John John Festival(日本を代表するアイルランド音楽ユニット)を起用し、日本とロサンゼルスでレコーディングされたという。久々に触れることのできた、妖しくも美しい“鬼束ワールド”。今後の活動への期待で、胸が膨らむ。 (VIBE/猪俣ロミ) 』

 さすが初セルフ・プロデュース作だけあって、まとまりは無い(笑。冗談はともかく、思い付きと乗りで日本とアメリカでレコーディングをしていった、とインタビューで語っているそのままの出来上がり、という印象が強いです。

 所謂「鬼束節」と称される彼女ならではのバラード曲が1、2、5、10、12あたり、特に東芝EMI時代の彼女が好きな人には10「罪の向こう 銀の幕」、12「琥珀の雪」が沁みると思います。逆に言えば終盤まで我慢しろという事になりますが。そして「Dorothy」あたりで見せたややアップテンポの ロッカバラードが1、2あたり。1「青い鳥」がシングルカットされますが、長期休養のあとずっと気になっている声量の無さややや不安定な音程が気にはなります。彼女も従来のファンが期待するのは「琥珀の雪」みたいな曲だろうけど、みたいな事を言ってますので分かってはいるんでしょうけれど。

 そして彼女が志向するロック調の曲が3「EVER AFTER」、9「CANDY GIRL」あたり。破綻はしていないものの果たして彼女の声質や歌唱法に合っているのかどうかはやはり疑問。インタビューで「買いたければ買えばいい」と突き放している彼女の事ですから、大きな御世話と言われそうですが。

 そして何故かいきなりゲール語のスコットランド民謡6「An Fhideag Airgid」、それに引き続くケルト風の曲7「SUNNY ROSE」、イコライジング処理で一体誰が歌っているんだと突っ込みを入れたくなる打ち込みエレクトロニカ8「NEW AGE STRANGER」、初期の「Our Song」を思い出アコースティックなバラード11「WANNA BE A HAPPY WARRIOR」は英語と、外国語の曲も4曲こなしております。突発的ケルト志向も、単に気が向いたから、と言うところなんでしょうけど、決してネイティブ英語が話せるわけでは無い彼女には一アルバムに英語1~2曲程度が適切な限界じゃないかなと思います。

 とまあいろいろ注文をつけるのも、「鬼束節」の持つ魔性の魅力が、今尚他を圧倒するだけの力を持っているからで、まずそれを彼女が自覚し、更には彼女を制御できるだけの豪腕プロデューサーがついてくれればなあ、と思います。DV騒動やタトゥー、更には奇矯なインタビューと、今彼女を制御するのは難しいのかもしれませんが、折角の天才的な才能をあたら潰さないでほしい、そして願わくばヴォイス・トレーニングをきっちりとやってほしいと願います。

あの日土に埋めた言葉たちが
いつか私を追いつめたとしても
どうせすべて許されないのなら
逃げ場はいらない

限界は雨を降らせて
この口を塞ぐあらゆる体温
完璧な愛情が怖かった
そんな自分が怖かった

(罪の向こう 銀の幕)

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2010/10/28

今日のスイムレッスン上級コース

原田知世 Melting Sun & Ice Moon - Tomoyo Harada Live Tour 2010 eyja - [DVD]
 以前ライブレポいたしました原田知世様のライブツアーのDVDが出ました!感涙のライブ・ステージはもとより、ボーナスDVDにはアイスランド・ロケやバックステージ風景、さらにはなんと細野晴臣大先生の幻の名曲「ファムファタール」を細野先生と一緒に歌ってたりするビルボード東京でのライブなどの特典映像も一杯でございます。一家にお一つ是非どうぞ!という訳で、マスターズ明け一番の水泳日記でございます。

アップ: クロール50Mx2本、バタフライーバック50M、ブレストークロール50M
 いつも通りですが、今日はとりわけ水が冷たく、あったまるために頑張って泳ぎました。

プル: 50M x 6本

 25Mブレで、帰りは何でもOK。いつもより広くかく、力を入れる、呼吸のタイミングを少し遅らせるなどの指示が飛びまくりました。

ブレキック+スイム; 50M x 8本

 一番苦手な板キックとスイムを25ずつ。いやあ、相変わらず板キックは進みませんなあ(涙。最後はスコスコ抜けたりして情けないやらしんどいやら。無駄な力が入っているのか、太ももの付け根周りの筋肉が痛くなったりして。

トータル: 900M

 これがクロールなら楽勝なんですが。逆に言えばブレが好きな人には楽勝メニューでしょう。まあ、今日はこれくらいにしといたるわ(笑。

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2010/10/06

Gratefully Yours; Pure Acoustic 2009 at JCB Hall / 大貫妙子

Gratefully Yours ~PURE ACOUSTIC 2009 at JCB HALL~ [DVD]
  「23 年分の感謝Gratefullyをこめて・・・。」というキャッチフレーズの素晴らしいDVDが発売されました。女性ヴォーカル好きのオーディオファイルにはお馴染みの大貫妙子さんの「Pure Acousutic Concert」ライブです。なんと23年間も続いていたんですねえ、今回弦楽パートのリーダー金子飛鳥さんの渡米に伴い休止となるそうで、その最終ライブの貴重な映像です。

Disc 1 Pure Acoustic 2009
1. Monochrome & Colours 
2. 若き日の望楼 
3. Hiver 
4. snow 
5. 新しいシャツ 
6. あなたを思うと 
7. 夏に恋する女たち 
8. 彼と彼女のソネット 
9. 黒のクレール 
10. 空へ 
11. TANGO 
12. 春の手紙 
13. 四季 
14. 横顔 
15. 風の道 
16. Time To Go 
17. Cavaliere Servente 
18. ベジタブル 
19. 突然の贈りもの(EC) 
20. 懐かしい未来 ~longing future~(EC) 


Disc 2 Naked Songs
1. Beautiful Beautiful Songs/歌が生まれてる 
2. いつも通り 
3. 春の手紙 
4. 静かな約束 
5. 懐かしい未来 ~longing future~

『坂本龍一、山下達郎らと共に日本のPOPS の歴史を作ってきたシンガー&ソングライター大貫妙子。そのアコースティック・コンサートを初めて映像化しました。

1987年に大貫は、ポップス系アーティストとして初めて、それまでクラシック専用だったサントリーホール(六本木)で公演を行いました。それが第1 回目の「PURE ACOUSTIC CONCERT」。ポップス・シンガーが弦のカルテットを含む編成で行うライブ・スタイルが、ここからはじまったと言っても過言ではありません。以降23年間、ほぼ毎年続けてきたPURE ACOUSTIC も今回で一旦お休み。このメンバーでは最後のコンサートとなった貴重なラスト・ライブの模様を、1 曲も欠くことなく完全収録。CM などで活躍中の前田良輔が監督、大西公平を撮影監督に起用し、例のない高い質感のライブ映像が完成。コンサートとインタビューが織りなす、「大貫妙子という名の1 本の映画」のような作品です。特典映像ではア・カペラも披露。 (AMAZON解説より)』

 「Disc 1 Pure Acoustic 2009」ではライブはモノクローム、その間のインタビューをカラーで撮っています。何故白黒?という気もしますが、「永遠の少女」としてのター坊を撮るには良い方法かもしれません。
 長年一緒に演奏を続けてきた弦楽の金子飛鳥グループやピアノのフェビアン・レザ・パネ等との呼吸もぴったりあって素晴らしいライブとなっております。ファンにはどの曲も聴き馴染みのあるものばかりで安心して聴けますし、初めて聴いた方はこんなに心に浸透してくる素晴らしいボーカリストがいたのかと感動を与えることと思います。個人的には去年坂本龍一コンサートにゲスト出演したター坊が歌った11,15,19,20あたりを懐かしく思い出していました。

 「Disc 2 Naked Songs」は彼女がいろんな風景をバックにアカペラで歌うシーンの間にインタビューをはさむ構成。ファンにはうれしいボーナス・ディスクと言えましょう。特に磯辺と砂浜で歌う1と5において潮騒がBGMになっており、とても良い雰囲気でした。

 ファンにはマストアイテム、ファンならずとも女性ボーカルがお好きな方にはお勧めのDVDです。是非どうぞ。

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2010/08/22

PHANTOM girl / 坂本美雨

PHANTOM girl
 先日「今日の一曲」で坂本美雨の「Phantom Girl's First Love」を流したところ、何人かの方から「あのハイトーンボイスの美雨って子誰?」というご質問をいただきました。ええっ、知らんの!?という驚きを隠して「坂本龍一矢野顕子の娘ですがな、母親譲りの声でしょ」と説明したらみんな納得。

 で、最新作「PHAMTOM girl」はとても良く出来たアルバムだと思います。私はiTunesからお手軽DLしちゃったものでレビューするつもりはなかったんですが、この際知名度を高めるためにも紹介したいと思います。この暑い時期にスカッと爽やかな気分になれる事請け合いです。

1. The Blue Hour
2. Phantom Girl’s First Love
3. Destination
4. Interlude I:Whispers Within
5. The Magic Hour
6. Far Across The Sky
7. Interlude II:Nowhere In Between
8. Silent Fiction
9. Our Home
10. A Girl’s Waltz

『 日本国内のみならず世界にもその名を轟かせる偉大な父と母を両親に持つサラブレッド・シンガー、坂本美雨。その透明感のある歌声を活かしてオーガニックなサウンドによるアルバム制作をここ数年続けてきた彼女だが、新作ではガラッとイメージを変えてエレクトロニカにアプローチした。NYの気鋭プロデューサー、デイヴ・リアンと組んで、これまでの生演奏中心から完全に打ち込みサウンドに転換。するとエモーショナルになった歌声の存在感をより際立たせる結果を生んだ。(ADLIB 2010年5月号) 』

 エレクトロニカに美声を合わせるといえばPUPAの原田知世様ですが(笑、美雨+デイブ・リアンのサウンドの硬質な透明感も相当のハイ・レベル。ちなみに龍一氏と交流の深い知世様と美雨ちゃんはとても仲良し。だから知世様の持ち歌、「彼と彼女のソネット」を美雨さんがカバーしたリしてます。ちょっとそこの「それは大貫妙子の持ち歌やろ」と言ってるあなた、認識を改めてください(w。この曲は知世様の依頼でター坊がシャンソンに歌詞をつけたものなのです。

 えらい脱線してしまいましたが、一曲目の「The Ble Hour」のボーカルの揺蕩う感じが微かなエスニック風味とあいまって鼓膜を心地よく微振動させます。そして続く2曲目のキラー・チューン、エレクトロニカ・ポップ「Phantom Girl’s First Love」のはじけ方で美雨サウンドの魅力が全開!母親譲りの硬質なクリスタルボイスの、どこまでも高く、天空に突き抜けていくようなボーカルは最高。続く3曲目「Destination」もそのテンションで疾走し続けます。

 Interludeを挟んで五曲目はアジアン風味のバラード「The Magic Hour」。これも素晴らしい。美雨独特の歌詞とメロディ、アレンジとキラーボイスで魅了します。矢野顕子さんもこういう感じの曲を好んでいましたが、聴きやすさでは美雨さんの方がはるかに上。どうしてお母さんはこう言う歌唱をしてくれなかったんだろう(苦笑。「Far Across The Sky」も同系統の曲ですが、出来としては前者の方が上。でも、

 far across the sky~

というフレーズだけはクリスタルボイスファンにはたまらない快感。

 再びInterludeを挟んで、意表をついた歌詞の朗読で始まる「Silent Fiction」、シンセ・ドラムと彼女の声のサンプリングをバックに流れる彼女の声が、聴くものを一種のトランス状態に引き込んでくれます。

 最後の二曲「Our Home」「 A Girl’s Waltz 」はスキャットの多重録音。別に歌詞のネタが尽きたわけでは無いんでしょうけれど(^_^;)、もう一曲くらい「Phantom Girl’s First Love」のような元気の良い曲を聴かせてくれても良かったかな。

 というわけで、iTunesでDLしておいて今頃紹介してなんですが、「傑作」です。父や母の助けを全く借りずにこれだけのアルバムを作れる才能は七光からはるかに遠い所にあると思います。

 最後にしばらくの間もう一度「Phantom Girl’s First Love」のPVを埋め込んでおきますね。

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2010/08/03

dreaming PUPA / PUPA

dreaming pupa
  世間的に言いますと高橋ユキヒロさんのユニット、私的に言いますと原田知世様が在籍しておられるユニット、PUPA(フライフィッシング用語で蛹の意)の「floating PUPA」に続く第二作となります「dreaming PUPA」です。いやあ、このユニットで二作目が出るとは音楽業界も豪気じゃのう(笑。それにしても知世様の横顔は神々しい(をい。

1. Meta
2. Changing Skies
3. Azalea ~五月の光・君のいない道~
4. Mr. Epigone
5. dreaming pupa ~夢見る僕ら~
6. Current
7. Circadian Rhythm
8. Your Favorite Pain
9. All It Takes
10. If
11. Away Into Yesterday
12. Dun
13. Let’s, Let’s Dance
14. Kaleidscope Waltz

『高橋幸宏、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦の6人がそれぞれ優秀な作家であり、ヴォーカリストであり、演奏者であり、プロデューサーであることはもちろんのこと、この6人だからこそ生まれるpupaだけの新しい音楽への探究心がギュッと詰め込まれた作品。
前作よりさらにヴァラエティに富んだ今作ではメンバー間の合作も増え、pupaの真骨頂であるアコースティックとエレクトロニックを自由に行き来しつつも、幾重にも重ねられた美麗なサウンドとポップな美メロがフューチャーされたフィジカルでエモーショナルでハーモニックな楽曲が詰まったアルバム。(AMAZON解説より)』

 いきなりわれわれの業界では「癌転移」の事を指す恐ろしい題名の曲で始まりますが、曲調はいたっておだやか、知世様にかかれば癌だろうがなんだろうがおととい来いって感じです。まあ音楽療法ですな(笑。

 まあ基本はユキヒロさんのエレクトロニカ路線をそのまま踏襲しているんですが、前作「floating PUPA」がやや実験的な感じがしたのに比べると、本作の方が

少しポップ、というか、
懐メロ路線、というか、
売れ線狙い、というか、
各人の自由度が増した、というか、

要するに親しみやすいしとっつきやすいことは事実。日曜の昼間のちょっとおっされ~な美容室でBGMとしてかけたら、そこそこ音楽の分かるお客さんには、おっ、という感じで絶妙な具合の耳キャッチになるんじゃないか、と思ったりします。

 だからといって誰にでもお勧めできるようなアルバムでもない。基本ユキヒロ・ファンのためのもんでしょう、何やかや言っても。知世様を私有するな~、という突っ込みは入れさせていただきたいが(^_^;)。

 結局私は知世様の声が聴こえてりゃなんでもいい、ということで今回もお付き合いさせていただきました。

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2010/01/15

ABBOT KINNEY / Love Psychedelico

ABBOT KINNEY
 Love Psychedelico久々の新譜「ABBOT KINNEY」が発表されました。前作の「Golden Grapefruit」が2007年でしたから3年振りとなりますね。

1. Abbot Kinney
2. Beautiful days
3. Here I am
4. Secret crush
5. Shadow behind
6. I’m done
7. Hit the road
8. Bring down the Orion
9. Happy birthday
10. This way
11. Dr.Humpty Brownstone
12. Have you ever seen the rain?

 事前にAbbot Kinneyという題名を調べてみたのですが、カルフォルニアのVeniceという街に「Abbot Kinney Blvd」という名前の通りがあり、ABBOT KINNEY FESTIVALというフェスも催されている事が分かりました。念のため、カルフォルニア在住のjazzaudiofanさんにお訊きしてみましたところ、下記のような詳細なご説明をいただきました。ありがとうございます。

『「ベニスビーチから歩いて5分ほどの所にアボット キニー・ブルーバードがあります。端から端まで歩いても15分程度のストリートに、素敵なカフェやレストランがいっぱい。ローカルの人たちが多いので、のんびりとお食事が楽しめます。」

そしてAbbot Kinneyは人の名前ですね。ベニスビーチの開拓者です。1900年代初頭、サンタモニカ近くの海岸にVenice of Americaという保養地/娯楽施設を作り、Venice Pierという桟橋を中心ににぎわいを見せたそうです。それがVeniceという町になり、後にロサンゼルスに編入。現在もベニスビーチは広い砂浜の中を走る自転車道路や浜沿いの遊歩道が人気で、週末ともなれば大道芸人も出てきて大変な賑わいです。もっとも僕は1回しか行ったことがありません(笑)。

参考サイト
http://www.venicebeach.com/
http://en.wikipedia.org/wiki/Abbot_Kinney
http://www.la-access.com/restaurant-abbot%20kinney.html

 さて、新譜が届いたので開けてみますと、帯の裏側に予想通りのVeniceの町の地図がありました。
 表ジャケットはこの通りの写真に、おそらくKUMIの描いたと思われるイラストがあしらわれています。前作「Golden Grapefruit(s)」の看板もあったリしてなかなか楽しいですし、初回盤にはこのイラストのシールがサービスとしてついています。楽しいと言えば、インナーにはこの町で撮った二人の楽しそうな写真が満載されています。
 そしてカルフォルニアらしいからっと明るいタイトル曲にはこんな歌詞があります。

I feel fine walkin' on Abbot Kinney Street
Art-Street where I'd like to be

 カルフォルニア育ちのKUMIの事ですから子供の頃からこの町を知っていて、この通りが大好きだったのかもしれませんね。BlvdをStrにしているのは歌いやすかったからなのか勘違いなのかは分かりませんが、まあご愛嬌という事で(笑。

 さて、どんな内容かと訊かれれば、もう

デリコはデリコ

としか答えようがありません(笑。前作の一曲目が比較的ヘビーな「Freedom」であった事から考えると、今回は上述した通り、ややからっと明るい西海岸的なのかもしれませんが、とにもかくにも偉大なるマンネリと言って良いデリコサウンドそのものです。それが好きな人にはたまらないし、嫌いな人は別に聴かなくてもいいよ、みたいな。

 私がどうしてデリコが好きかというと一重にKUMIのボーカルに尽きます。彼女のボーカルはJ-Pop/Rockにおいて桑田佳祐以来の劇的な革新であったのではないかと思っているくらいです。
 このブログで時々お話してきたように70年代までの日本のミュージシャンは日本語のボーカルとロックバンドの楽器構成とそのリズムにどう折り合いをつけるかで随分悩み、苦労していました。そこに忽然と現れた天才がサザンオールスターズの桑田佳祐でした。日本語のイントネーションを英語的に処理して英語とちゃんぽんするという、コロンブスの卵的革新をやってのけました。

 この手法は数多くのフォロワーを産み、爆風スランプサンプラザ中野のように頑なに日本語歌詞にこだわる一部の例外を除いて、ロックからポップ、ニューミュージック、更には歌謡曲にまで英語と日本語のチャンポンは行き渡ることになります。その質が高ければ問題ありませんが、多くは日本語の歌詞に幼稚な(時には意味不明の)英語のフレーズをくっつけた質の低いもので、聴くに値するアーチストは極めて少なかったように思います。
 おまけに、これが私の最も嫌うところなんですが、日本語の発音が押しなべておかしくなりました。日本語を英語風なイントネーションで歌うのがカッコいい、みたいな誤ったというかおバカな風潮がその後のメインストリームとなるに及んでは開いた口が塞がりませんでした。

 桑田佳祐は確かに偉大なオリジネーターだったと思いますし、初期は大好きでしたがこのような流れの中で段々と嫌いになってしまいました。このブログでSASKUWATA BANDが出てこないのはまあそんな理由です。忌野清志郎もそうじゃないかと言われそうですが、彼の曲を良く聴いていただけるとわかりますがあれは彼の個性であって、実はしっかりと日本語を発音しています。

 そんなこんなでJ-Pop/Rockに嫌気がさしていたころに突然耳に入ってきたのがデリコの女性ボーカルでした。このKUMIという女性は苦も無く完璧な英語と日本語をあやつり、しかもそれが彼女の発音体系の中で別の言語と思えないくらい自然に融合している。これは長い間J-Pop/Rockにつきあってきたものとして大変なショックでした。当然帰国子女だろうと思いましたし、実際そうでしたが、帰国子女がみんな彼女のように歌えるわけではないでしょう。これは彼女の貴重な才能だと思いましたし、ついに英語、日本語を意識する事無く歌える「ニュータイプ」が出てきたかと感慨深いものがありました。
 例えば代表作の一つ「Last Smile」にこんな歌詞があります。

運命線からother wayそれから憂いてる風ともget away
いつでも放たれたくとも 君は目の前でlast smile
ただ見守ってるよな君のstyle
Oh戯れな遠目のloser

この日本語の発音と英語の発音のシームレスな連鎖はいつ聴いても快感です。家内は「洟垂れの歌」と言ってますが(^_^;)。

 随分話がそれてしまいましたが、このアルバムは懐かしのCCR(Creedence Clearwater Revival)の名作「雨を見たかい( Have you ever seen the rain?)」のカバーで幕を閉じます。前作でビートルズの「HELP!」をカバーしていたのはレノン・ファンのNAOKIのチョイスだと思いますが、今回は典型的なアメリカンバンドだったCCRの曲ですから、おそらくKUMIの希望でしょうね。

 偶然ながら先程から名前を挙げていた桑田佳祐がこの曲をKUWATA BANDでカバーしています。その桑田がこれもCCRの大ファンだった大友康平に

『おまえのは完コピになってない。ジョン・フォガティは「ハヴユーシ~ンレイン」ではなくて「ハヴユーシ~ングゥアレイン」と発音してるんだぜ』

とやりこめられたと言うエピソードをどこかで読んだ記憶があります。まあジョンがなまってるだけなんですが(笑、時代は下ってKUMIは完全な英語を駆使してデリコ節で楽しそうに歌っております。この歌の「晴れた日に降る雨」がベトナム戦争におけるアメリカ軍のナパーム弾による絨毯爆撃の事だという通説を1976年生まれのKUMIは知っているのかな?

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