2012/03/24

Secret Symphony / Katie Melua

Secret Symphony
 Katie Meluaの新譜が届きました。前作「The House」で育ての親ともいうべきプロデューサーであるマイク・バットから少し距離を置き、独り立ちを目指したケイティでしたが、以前レビューしたように、残念ながら成功作とは言いがたかったと思います。
 本人もそのあたりを自覚していたのか、本作では再びマイク・バットがプロデュースと編曲を全曲で担当し、美しいメロディ・ラインと多彩なアレンジが復活、ケイティの歌声も吹っ切れたのびやかなものとなっており、快作だと思います。

1. Gold in them Hills 
2. Better than a Dream 
3. The Bit That I Don’t Get 
4. Moonshine 
5. Forgetting All My Troubles 
6. All Over the World 
7. Nobody Knows You When You’re Down and Out 
8. The Cry of the Lone Wolf 
9. Heartstrings 
10. The Walls of the World 
11. Secret Symphony

 11曲のうち、マイク・バットが6曲の作曲に関わっており、ケイティ一人で作った曲は5だけとなっています。カバーは3曲で1がRon Sexsmith、4がTravisのFran Healy、7はベッシー・スミスの歌唱で有名になった古いブルースで作者はJimmy Coxという人です。

 基本はアコースティックのギター、ベース、ドラムというシンプルな構成で、このアコの音色はとても美しいのですが、更に「The Secret Symphony Orchestra」というマイク・バットがタクトを振るオケが各曲の編曲を多彩にしています。まあ早い話が「Pictures」の世界が戻ってきた感じですね。一曲目はRon Sexsmithのカバー曲なんですが、もう完全にマイク・バット・サウンドになっており、彼のサウンドが好きな人には安心して聴けるアルバムとなっております。スタンダードの7なんかは当時のブルース・アレンジを踏襲しており、これも粋な編曲。

 そのサウンドをバックに歌うケイティはのびのびとしており、あのどこか郷愁を誘う声にさらに艶がのって良い雰囲気を醸し出しています。全曲平均点レベルをクリアしていると思いますが、自作の5「Forgetting All My Troubles」、バットとケイティの共作で粋な歌詞としっとりとしたケイティ節が印象的な8「The Cry of the Lone Wolf」、タイトル曲である終曲「Secret Symphony」などがとても美しいバラードで、本アルバムの聴き所でしょう。とは言え、代表作ともいえる「The Closest Thing To Crazy」をしのぐような、おおっと驚くキラー・チューンには今回もお目にかかれなかったのはいささか残念。

 最後に録音ですがDramaticoレーベルの音質はとても良いと思います。ということで輸入盤が買い、だと思います。

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2012/03/19

21 / Adele

21
  本年の第54回グラミー賞に主要3部門を含む6部門でノミネートされ、ノミネートされたすべての賞を獲得した事で話題となったアデルという歌手、名前は知っていたのですが聴いたことはなく、以前から気になっていました。そこで、2年前のデビューアルバム「19」と今回の受賞作「21」をしばらく聴きこんでみました。アルバム名は彼女の年齢を示しているごくシンプルなものですが、歳に似合わない歌唱力を誇示したネイミングなんでしょう。
 実際内容は宣伝ほどには派手派手しいものではなく、シンプルな編曲のトーチソングが殆どの女性ボーカルアルバムでした。このようなごく真っ当なアルバムがビッグセールスをあげ、賞も取る向こうの音楽界はこちらに比べると健全だなあ、と思いますね。

「21」(日本盤)

1. ROLLING IN THE DEEP
2. RUMOUR HAS IT
3. TURNING TABLES
4. DON’T YOU REMEMBER
5. SET FIRE TO THE RAIN
6. HE WONT GO
7. TAKE IT ALL
8. I’LL BE WAITING
9. ONE AND ONLY
10. LOVESONG
11. SOMEONE LIKE YOU

12. I FOUND A BOY (JAPAN BONUS TRACKS)
13. TURNING TABLES (LIVE ACOUSTIC) (JAPAN BONUS TRACKS)
14. DON’T YOU REMEMBER (LIVE ACOUSTIC) (JAPAN BONUS TRACKS)
15. SOMEONE LIKE YOU (LIVE ACOUSTIC) (JAPAN BONUS TRACKS)

 一作目「19」は全体に地味目でモノトーンな印象を受けましたが、この「21」になって曲ごとのメリハリがつき、メロディラインも多様になってきた印象を受けます。声質は所謂スモーキー・ボイス、キーは低めで時々声が割れるところもありますが、その大柄な体を生かした豊かな声量と天性の歌唱力で聴かせてくれます。
 「Traffic Stopper」とか言われて世間ではもう天才扱いですが、例えばエヴァ・キャシディなどと比べるとやや物足りない面もあります。とは言えまだまだ21歳という若さ、ボイストレーニングを積み、人生経験も深めていけば、もっと大化けするかもしれません。

 先程も述べましたが歌詞はややひねくれた失恋歌が殆どで、例えて言うとアメリカ版中島みゆき的な印象を受けます。アメリカではやや派手目の「Rolling In The Deep」と「Set Fire To The Rain」「Someone Like You」がシングルカットされてヒットしたそうですが、個人的にはバラードの「Turning Tables」「Don't You Remember」「Someone Like You」が圧倒的に良かったです。日本人好みと判断したのか、日本盤ボーナストラックにはこの3曲のライブバージョンも収録されています。これを聴くとやはりうまいなあ、生で聴いてみたいなあ、と思いますね。

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2011/05/26

So Beautiful Or So What / Paul Simon

ソー・ビューティフル・オア・ソー・ホワット
  ポール・サイモンの新作が話題になっているので購入してみました。以前S&Gのライブを紹介したことがありましたが、あれからもう40年以上の歳月が流れ、彼も今年の10月には70歳を迎えるそうです。アメリカ音楽界の御大と呼ぶにふさわしい存在かと思うのですが、最近のインタビューを読んでみると「いつまでもボブ・ディランに次ぐ2番目の存在として扱われて嫌になる」とこぼしています。彼ほどの存在になっても悩みは尽きないんですねえ。

1. Getting Ready for Christmas Day 
2. The Afterlife 
3. Dazzling Blue 
4. Rewrite 
5. Love and Hard Times 
6. Love Is Eternal Sacred Light 
7. Amulet 
8. Questions for the Angels 
9. Love & Blessings 
10. So Beautiful Or So What 
11. So Beautiful Or So What  (Live Rehearsal)(Japanese Bonus Track)

Produced By Phil Ramone and Paul Simon

 さて、二重螺旋っぽい光のジャケットが美しい新作は、70年代からの付き合いとなるフィル・ラモーンとの共同プロデュースで、宣伝文句を借りると、「ラテン、レゲエ、アフリカン、ボサ・ノヴァ、クラシック、エレクトロといった多様な音楽を飲み込んだ、じつに意欲的なサウンド」となっています。おまけにライナーノートをエルヴィス・コステロが書いており

「この、注目すべき、思慮深く、喜びに溢れるアルバムは、ポール・サイモンの最も素晴らしい作品として認識されるに値する(佐藤空子訳)」

と絶賛しております。
 ちなみに日本盤を購入しましたが、その理由は二つあって、一つはSHM-CDで音質が良さそうだ、という点、もう一つは彼の常で衒学的な難解な歌詞だろうから解説があった方がいいだろうと思ったことです。解説は天辰保文氏が書いておられます。これが実に誠実で丁寧な解説です、さすがアマタツさん、ありがとうございます。

 一曲目「Getting Ready for Christmas Day」は昨年のクリスマスシーズンに一足先に発売されており、ゴスペルシンガーでもあったJ.M.ゲイツ神父の1941年の説教を違和感無く織り交ぜつつポールらしい辛辣なクリスマスソングに仕上げています。というとどうしても「7時のニュース/きよしこの夜」を思い出しますが、あれほどの政治的メッセージ性は無く、どちらかと言えば一休禅師の「門松は冥土の旅の一里塚」的な諧謔を、軽快なリズムに乗せて歌っております。

 その後の曲でも、彼独特の少し哀愁と湿り気を帯びたボーカルの背景に、一曲ごとに趣向を凝らして、様々なワールドミュージックの持つ独特のリズム感を取り入れています。サイモン&ガーファンクルの音楽はメロディの美しさが際立っていたように思うのですが、ポール自身はリズム・コンシャスな人だったようで、ソロ第一作の「母と子の絆」はいち早くレゲエ(当時はレガエと書いてあった記憶があります)を取り入れ、「グレイスランド」を発表した時には絶賛の声と裏腹に「ワールド・ミュージックの搾取」と批判されたことさえありました。しかし文字通り「時の流れに」そのような批判も流れ去り、このアルバムで彼の吸収してきたリズム感が集大成されている印象を受けます。

 歌詞や題名には「」や「」が多用されていていささか説教くさい感じもしますが、まあこのような歌詞でポップ・アルバムを作れるのは彼ならではでしょうね。

 というわけでバラエティに富み過ぎて最初はやや散漫な印象を受けましたが聞き込んでいくほどにそれぞれの歌の良さが身に沁みて来る、さすがポール・サイモン、と言うに相応しいアルバムだと思います。

 音質的にもSHM-CDという先入観かもしれませんが、難しいリズムの隅々まで見通せる好録音だと思います。ただ、彼はあまりベースにあまり重きを置かないので低音が好きな方には多少物足りないかもしれません。

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2011/05/23

The Ultimate Collection / SADE

Ultimate Collection
 ベスト集はあまり取り上げないようにしている拙ブログですが、SADEとなると話は別です。おまけに未発表4曲入りとの噂、予約して首を長くして待っておりましたがようやく到着。まずはジャケット写真のSade Aduの相変わらずの美貌に惚れ惚れ。どこまで美しいんでしょう、この方は。

Disc 1 
1. Your Love Is King 
2. Smooth Operator 
3. Hang On To Your Love 
4. The Sweetest Taboo 
5. Is It A Crime 
6. Never As Good As The First Time 
7. Jezebel 
8. Love Is Stronger Than Pride 
9. Paradise 
10. Nothing Can Come Between Us 
11. No Ordinary Love 
12. Kiss Of Life 
13. Feel No Pain 
14. Bullet Proof Soul 

Disc 2
1. Cherish The Day 
2. Pearls 
3. By Your Side 
4. Immigrant 
5. Flow 
6. King Of Sorrow 
7. The Sweetest Gift 
8. Solider Of Love 
9. The Moon And The Sky 
10. Babyfather 
11. Still In Love With You 
12. Love Is Found 
13. I Would Never Have Guessed 
14. The Moon And The Sky (Remix Featuring Jay-Z) 
15. By Your Side (Neptunes Remix)

 SADE のベストとしては、1994年に「Best Of SADE」がリリースされていますので、これが2回目(日本独自企画盤は除いて)のベスト盤となります。その後17年間に出たオリジナル・アルバムは「Lovers Rock」「Soldier Of Love」の2作品だけという寡作ぶりでまたベスト盤かよ、と言う声が聞こえてきそうですが、今回は2枚組みで新曲を含めて39曲と言う充実ぶりですから、やっぱりファンにはマストアイテムですし、知らない方の入門盤としても最適と思います。

 先ほど17年間で2枚だけと説明しましたが、それ以前の1984年のデビューから10年間でもアルバムは4枚だけでした。Disc 1とDisc 2冒頭の2曲がその4枚からの選曲、Disc 2の3以降が先程述べたその後の2枚からの選曲となっております。
 ということは最初の4枚からの選曲は前回のベスト盤とほぼ被っているのではないか?答えはまさにその通り。カバー曲を除いて前回と全く同じ選曲で、それに加えて13「Feel No Pain」と14「Bullet Proof Soul」が新しい選曲となっております。まあ、被っていようがいまいがキラーチューンばかりなのでファンとしては文句無し。

 一方当然ながらDisc 2は冒頭2曲を除いて「Lovers Rock」「Soldier Of Love」からの選曲となりますが、シングルカット曲をはじめ順当な選曲です。そして何と言っても目玉は、11,12,13の新曲3曲と14,15のRemix2曲。 11はThin Lizzyのカバー で「Still In Love With You」、意外な選曲ですがゆったりとしたテンポがなかなかいい雰囲気を醸し出しております。冒頭のアコギと間奏のエレギも印象的。12「Love Is Found」は打ち込みを多用した不思議な雰囲気の曲、13「I Would Never Have Guessed」はキーボードをバックに切々と歌われるバラード。
 最後はRemix2曲。The Moon and The Sky」 にヒップホップのJay-Zを起用したRemixは初めて聞きました。彼のラップとSadeの音楽性とはかなり乖離があるので賛否が分かれるところではあるでしょう。 まあ、こういうのもあり、と割り切って聴くしかないか(苦笑。最後の「By Your Side」のNeptunes Remixは私の持っているアナログのA面2曲目に入っているのと同じ。これは違和感なく聴けます。

 来月発売される日本盤にはDVDがつくようでこれまた悩ましいところです。

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2011/04/23

Seasons Of My Soul / Rumer

Seasons of My Soul
 噂が噂を呼んで・・・輸入盤が日本で大絶賛!大ブレイク中.....とHMVで宣伝していた(笑、パキスタン育ちのイギリス人シンガーRumer(本名Sarah Joyce)のデビュー作です。一曲だけ試聴してみて、若干物足りないかな、とも思ったのですが、まあ話の種に買ってみました。ちなみに次のような煽りもありました。

「あなたを包む、イノセントな歌声。バート・バカラックをも魅了した歌姫ルーマー、デビューアルバム。」

1. Am I Forgiven 
2. Come To Me High 
3. Slow
4. Take Me As I Am 
5. Aretha
6. Saving Grace 
7. Thankful 
8. Healer 
9. Blackbird 
10. On My Way Home 
11. Goodbye Girl
12*. Alfie
13*. It Might Be You (Theme from Tootsie)

* bonus track

 バート・バカラック好みの素直で飾り気のない綺麗な歌声の持ち主で、宣伝ではカレン・カーペンターやキャロル・キングを髣髴とさせる、と書いてありましたがそれほど似ているわけでもありません。個人的には先ほど書いたように今一歩何か物足りない感じを受けますが、素直で癖の無い歌唱法がお好きの方には確かにハマると思います。

 ボーナストラックを除くと殆どが自作曲なんですが、シングル化された3,5あたりはなかなかいいと思います。ただ、全体を通して聴くともう少し曲毎のメリハリが欲しいかな。そういう意味では、ボーナストラックがついていて良かったと思います。つくづくAlfieは名曲だと思いますね。

 抑揚がないと書きましたが無難すぎるアレンジも問題。ちょっと単調と言うか、古臭いと言うか、能がないと......そこまで言うか(^_^;)。

 と言うわけで女性ボーカルファンは要注目、31歳と遅咲きではありますが、ますますの熟成を期待したいところです。

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2011/04/19

Collapse Into Now / R.E.M.

Collapse Into Now
  R.E.M.の新作です。考えてみればデビュー作「Murmur」(1983)からもう30年近く経ちましたか。オルタナティイブ・ロックの雄として輝かしい経歴を持つ彼等ですが、拙ブログでは一回もレビューしたことはありませんでしたし、今日の一曲でも「My Religion」くらいしか出してないと思います。決して興味が無い訳ではないんですが、他のバンドに比べて難しすぎるんですよねえ。特に歌詞は。。。
 ところが今回は結構とっつき易く、政治的アジテーションもあまり無い。そして構成もハイテンションの曲や緩い曲がバランス良く配置され、良質のロックアルバムに仕上がっています。もちろん独特の陰鬱さや韜晦された歌詞などの特徴は一聴して分かりますけれども。というわけで、初めてR.E.M.のレビューに挑戦してみましょう。

1. Discoverer 
2. All The Best 
3. überlin 
4. Oh My Heart 
5. It Happened Today 
6. Every Day Is Yours To Win 
7. Mine Smell Like Honey 
8. Walk It Back 
9. Alligator_Aviator_Autopilot_Antimatter 
10. That Someone Is You 
11. Me, Marlon Brando, Marlon Brando and I 
12. Blue 

 まずはハイテンションでエッジの立ったギターに導かれて始まる典型的なロック・チューン1「Discoverer」、続いてハイテンポを維持する2「All the Best」、一転してミドルテンポで名作「My Religion」のようにじっくり歌いこまれる3「überlin」。ピーターのアコギの音色も相変わらずとても美しい。ちなみにこの曲、デビッド・ボウイの三部作で有名なベルリンのハンザ・スタジオで録音されているとか。

 そして控えめなホーンセクションとマイナー調のコーラスが印象的な4「Oh My Heart」、続いて今回のゲストの目玉の一人エディー・ヴェダーとのコーラスが曲後半を盛り上げる5「It Happened Today」。リバーブの効いたマイケルのボーカル、スキャットに絡むギターが美しい6「Every Day Is Yours To Win」。

 一転して再びハイテンポでかなり際どい歌詞を快調に歌い飛ばす7「Mine Smell Like Honey」、クールダウンするように「Walk It Back」という歌詞をしみじみ歌い込む8「Walk It Back」、そしておそらくこのアルバム中でも抜きん出たキラーチューンと思われる、ひたすらカッコイイ9「Alligator_Aviator_Autopilot_Antimatter」、言葉遊びのような歌詞の中にすべり込んでくる女性ボーカルはPeachesとクレジットされています。知りません(笑。

 短めのハードナンバー10「That Someone Is You 」、3と同じようにじっくり歌いこむ、いかにもマイケル好みのひねくれた題名の「Me, Marlon Brando, Marlon Brando and I 」を経て、最後の大作12「Blue」に突入します。カオス的サウンドとマイケルの「Collapse Into Now」で終わるノイジーな朗読の間で、大物ゲストパティ・スミスがその独特の歌唱を聴かせ、その後1と同じような美しいギターのリフが鳴り響き最後は「Just Go!」のリフレインで幕を閉じます。Coldplayの「Viva La Vida Or The Death And All His Friends」を思い出さないでもない劇的な終わり方でした。

 おおっ、久しぶりに全曲紹介してしまった(笑。以上久々の快作という感じです。とは言ってもR.E.M.ファン以外の方にはやっぱりとっつきにくいかもしれませんが、興味があれば是非どうぞ。参考までに「今日の一曲」に一曲目を埋め込んでおきました。

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2010/11/25

...Featuring / Norah Jones

ノラ・ジョーンズの自由時間
 先日のハイエンドショウでもノラ・ジョーンズは相変わらず大人気のようで、あちこちのブースで耳にしました。そのノラの新譜です。と言っていいのか、企画モノと言うべきなのか、ちょっと迷うところですが、まあファンには嬉しいアルバムで、それも19曲(日本盤)と言う大サービスぶり!

1. Love Me - The Little Willies 
2. Virginia Moon - Foo Fighters featuring Norah Jones 
3. Turn Them - Sean Bones featuring Norah Jones 
4. Baby It's Cold Outside - Willie Nelson featuring Norah Jones 
5. Bull Rider - Norah Jones and Sasha Dobson 
6. Ruler Of My Heart - Dirty Dozen Brass Band featuring Norah Jones 
7. The Best Part - El Madmo 
8. Take Off Your Cool - Outkast featuring Norah Jones 
9. Life Is Better - Q-Tip featuring Norah Jones 
10. Soon The New Day - Talib Kweli featuring Norah Jones 
11. Little Lou, Prophet Jack, Ugly John - Belle & Sebastian featuring Norah Jones 
12. Here We Go Again - Ray Charles featuring Norah Jones 
13. Loretta - Norah Jones featuring Gillian Welch and David Rawlings 
14. Dear John - Ryan Adams featuring Norah Jones 
15. Creepin' In - Norah Jones featuring Dolly Parton 
16. Court & Spark - Herbie Hancock featuring Norah Jones 
17. More Than This - Charlie Hunter featuring Norah Jones 
18. Blue Bayou - Norah Jones featuring M. Ward 
Japan Bonus Track
19. Any Other Day - Wyclef Jean featuring Norah Jones

 「...featuring」という原題名や上記の曲目を見ていただければわかるように、彼女がいろいろなアーチストとコラボレーションした音源を集めたアルバムとなっています。(彼女のオリジナルアルバム収録曲(15)やThe Little Willies(1)も含む)

 彼女があちこちから引っ張りだこでいろいろなアーチストと共演している事は知っていましたがこれだけあるとは(笑。知っている曲は5曲くらいしかありません。一方で自分の知っている範囲内でも「Wild Horses」や「I think it's gonna rain today」などを他所で歌っていますから、一体どれくらいコラボしているのか、想像もつきませんね。どれだけ人気もんやねん!

 それにしても共演者と合わせつつ自分の個性を出すのがノラは上手いですね、感心します。そういう意味では邦題「ノラ・ジョーンズの自由時間」というのは言い得て妙ですね。オリジナルアルバムのクオリティが落ち気味なのでそちらを頑張ってほしいと言う気もしますが。。。

 ちなみに今回わざわざ日本盤を買ったのはアマゾンのレビューで「ボーナストラックがとても良い」と書いてあったから。結果は。。。う~ん、音質といいボーナス・トラック「Any Other Day」のインパクトといい、ビミョー~。若者かっ(笑。

 冗談はさておき、個人的にはヒップホップの人たちと共演している曲よりは(彼女は必然だったと言ってますが)、やっぱりしっとりと歌い上げる曲やカントリー調の方が好きです。

 面白かったのはフー・ファイターズとの共演の2「Virginia Moon」で、ギンギンにロックするかと思いきや、なんとボサノバ調でユルユルとデイブ・グロールとデュエットしております。内本順一さんの解説によると彼女も

大好きなフー・ファイターズから連絡を貰ってロックが歌えると楽しみにしていたけど、結局私はロックできなかったわけ。。。

とやや残念がっております。

 貴重なのは、まだ彼女がデビューする前にチャーリー・ハンターのアルバムに収録されたロキシー・ミュージックの名曲17「More Than This」でしょう。ここでもノラはボサノバ風に歌っており、なかなか良い味を出しております。しかし驚いた事に彼女この頃はジャズにのめりこんでおり、ロキシーの原曲を知らなかったそうです。なんぼなんでもそりゃ無いだろうと彼女を小一時間。。。(笑

 その他ではじっくりしんみり聴かせるのが故レイ・チャールズとの「Here We Go Again」、音楽性の高さで言えばハービー・ハンコックとの「Court and Spark」でしょうか。どちらもそれぞれのアルバムで既に聴いた曲ですが、こうしてあらためてノラをメインに聴いてみるといい出来ですね。

 まあまあそう言うわけでオリジナルアルバムでないので統一性やまとまったコンセプトなどはありませんが、ファンなら楽しめる一枚となっております。

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2010/11/02

SHM仕様のSACD

シンクロニシティー
 久々にオーディオネタの与太話など。先日導入した新SACD/CD Player Accuphase DP-700もそれなりにエージングが進み、大分こなれた音となってきました。以前は今一つ音に満足していなかったCDなどもこのプレーヤーでかけなおすと新たな発見と言うか、真の音を発見できて喜んでおります。例えば音がダマになっている所があって気になっていたAlan Pasquaの「ボディ・アンド・ソウル」などもすっきりほぐれて表現され、彼のピアノの透明感が綺麗にかつ彫り深く再生されるので喜んだりしております。

 では手放しで大満足かというと、SACDの音がまだ試聴機で聴いた伸びやかで柔らかい音に至っていないように思います。で、SACDをせっせとかけ続けているわけですが、拙宅にある手持ちSACDだけですとさすがに飽きてきたので、チョコチョコ物色しては買い足しております。家内がカードの支払額に気づくのが怖い(苦笑。

 でもなかなか音質と言う点で目を見張るようなブツに出会えない。そこで一枚4500円と高価ではありますが、ユニバーサル・ミュージックSHM仕様のSACDシリーズに手を出してしまいました。
 このシリーズは基板に液晶パネルなどに使われる透明性の高いポリカーボネート「SHM」を用い、更には2ch-SACDのみのシングルレイヤーにした事により非圧縮でデジタルデータを収録できることにより、尋常ならざる高音質になっていると話題で、ステレオサウンドにも特集されています。小林慎一郎氏はその中でスティーリー・ダンの「Aja(彩)」を

「生涯資産」

とまで言い切っておられます。これは買わねばなるまい(笑。が、「Aja」は山口小夜子のジャケに惹かれてリリースされた当時即LPを買いましたが、あまり好きになれずじまいでした。で、まずはポリスの最高傑作「シンクロニシティー」を第一号として選んでみました。

 届いたブツは豪華な厚紙の折り畳み式紙ジャケ仕様となっております。豪華過ぎてディスクを取り出すのにも一苦労(-_-;)。が、いざ音を聴いてみると確かに凄い。。。「まじかよ。。。」と、本当に腰を抜かしそうになりました。
 リバーブのかかり具合まであからさまに分かるStingのヴォーカル、そして全ての楽器の質感が段違いというか次元が違うというか。「Synchronicity I,II」の複雑な構成がパノラマ的に眼前に展開される様、「Walking in your footsteps」のStuのパーカッションの音のリアルさ、しなやかさ、「Every breath you take」でのAndyのギターのスタッカートのかかった印象的なアルペジオとその陰に隠れがちなStingのベースラインが鮮やかに分離されて聴こえてくるところなど、数え上げるときりがないくらい。

 長い間聴き馴染んできた手持ちのLP(日本盤初盤)ととても同じマスターとは思えません。バランスも大分違う気がします。情報では米A&M制作2003年DSDマスターを用いているそうで、その時に若干手が加わっているかもしれません。まあとにもかくにも元となったマスターテープの音に限りなく近いんじゃないか、逆に言えばマスターテープの音ってこんなに凄いのか、と感心することしきりでした。

彩(エイジャ)

 で。。。「Aja」も買ってしまいました(^_^;)。こちらは日本盤オリジナルマスターを用いた初SACD化だそうで、それなら私のLPと全く同じマスターのはず。聴き比べてみると確かに同じマスターの印象を受けます。が、音の立ち上がり、S/N比と音場の深さが全く違います。特に感じるのが各曲の冒頭。無音の深淵からレベル一杯まで何のストレスもなくいきなり音が屹立する感じは快感。これを聴いてからアナログを聴いてみるとアナログのバックグラウンド・ノイズのレベルが良く分かります。
 更には各楽器の音が全て伸びやかで聴いていて気持ちがいいですね。この伸びやかさしなやかさを拙宅のDP-700で全てのSACDで引き出せるようになる頃にはもっと凄いことになってるかもしれませんが。。。
 まあだからと言って「Ajaを好きになりました」.というわけではないのですが(笑、オーディオセッティングの新しいリファレンス・ディスクができたことは間違いありません。


 というわけで、SHM-SACDの凄さはよく分かりました。かと言ってこれからもこのシリーズを買い続けるかというと難しいところ。ロック、ジャズ、クラシックと広いジャンルから選ばれているのは嬉しいところですが、今のところ旧作のSACD化ばかり。何よりも一番の難点は値段ですね。豪華な厚紙折りたたみ式の紙ジャケでなくて普通のプラケースでいいから、せめて3000円台前半で出して欲しいところです。
 ちなみに4枚買うと1枚プレゼント・キャンペーンを年末まで行っていますので、18000円出せば一枚3600円になる勘定になりますので(ただし手数料400円要)、これは狙わねばなるまい(笑。ちなみに今月のクライバー(ベト5&7)、来月のコルトレーン(バラード)あたりを狙っております。

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2010/10/22

Le Noise / Neil Young

Le Noise
  まだまだ現役で次々と新作を発表し続ける、元気一杯の気になるおっさん、ニール・ヤングの最新作です。今回はプロデューサーに、自身も優れたミュージシャンであり、なおかつU2ピーター・ガブリエルのプロデューサーとしてスタジオ録音の裏の裏まで知り尽くしているダニエル・ラノワを迎えています。個人的にラノワは、彼自身のアルバム「Shine」を拙ブログで2004年度最優秀アルバムに挙げた事もあるほど好きなアーチスト・プロデューサーです。
 ということで、初顔合わせのこのフレンチ・カナディアン同士のコンビのアルバム、期待して買ったのですが、どうもイマイチしっくり来ない。しばらくほってあったのですが今日久しぶりに聴いてみました。

1. Walk With Me 
2. Sign Of Love 
3. Someone's Gonna Rescue You 
4. Love And War 
5. Angry World 
6. Hitchhiker 
7. Peaceful Valley Boulevard 
8. Rumblin' 

Neil Young ( vo, g )
Daniel Lanoit ( producer, various instr.)

 基本的にニール・ヤングのソロ・パフォーマンスにダニエル・ラノワが得意の轟音アンビエントをかぶせてくる感じの仕上がり。それはそれでああラノワだなと思わせてくれますが、そんな中にぽつんとニールのソロの弾き語りが入ってくると、どうしてもそっちの方がしっくり来てしまう皮肉。特に淡々と反戦を訴える4曲目の「Love And War」は「After the Gol Rush」の頃のニールの弾き語りを髣髴とさせる良い曲です。

 では何故ニールはラノワと組んで轟音サウンドを構築しなければならなかったのか。例えば5曲目の「Angry World」。「Love and War」のような静かな反戦歌にもその奥に静かな怒りの炎があるように、今のこの世界に対する怒り、反骨精神のようなものをダイレクトに表現するのにそのようなアレンジを求めたのではないかという印象を受けます。

It's an angry world but no doubt everything will go planned.Yeah it'a an angry world.

という最後の歌詞に続く、歪んだサウンド・イフェクトがその苛立ち、怒りを増幅させているかのようです。

 その他のラノワの仕事でしゃれているなと思ったのは、西部開拓と自然破壊を淡々と弾き語りする7曲目の「Peaceful Valley Boulevard」のニールの声の処理。残響やエコー、ディレイ等の処理により、歌詞の深みを与えている印象を受けます。

 ニールの創作意欲が今なお衰えておらず、それに応えて新しい表現方法をラノワが提供した、メッセージ性溢れる意欲作、とあらためて思いました。ただ、そうは言いつつもちょっと放置してあったように、決してとっつきやすい作品ではありません。興味のある方は時間がある時にじっくりと聴き込んでみて下さい。

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2010/09/21

Songs From The Road / Leonard Cohen

Songs from the Road
  本日9月21日はカナダの産んだ偉大な詩人Leonard Cohen76歳の誕生日です。これを記念して昨日は1972年の、今日は2008年の「Bird On The Wire」のライブ映像を「今日の一曲」に選んでみました。まだ現役でコンサートホールを満員にする事自体奇跡的な上に、とにかくカッコいい。おそらく世界一クールな76歳ではないでしょうか。Jeniffer Warnesが惚れ込むはずだ(笑
 そのレナード・コーエンの2008-9年にかけてのコンサートツアーを収録した最新作がこのアルバムです。前作もロンドン公演のライブだったのですが、今回はCD+DVDと言う構成で音楽映像の両方が楽しめて舞台裏も覗けます。ファンには堪らないコーエンからの誕生日プレゼントですね。

Disc 1: CD
1. Lover, Lover, Lover (Ramat Gan Stadium, Tel Aviv, Israel September 24, 2009) 
2. Bird On The Wire (Clyde Auditorium, Glasgow, Scotland November 6, 2008) 
3. Chelsea Hotel (Royal Albert Hall, London, England November 17, 2008) 
4. Heart With No Companion (Oberhausen King Pilsener Arena, Oberhausen, Germany November 2, 2008) 
5. That Don t Make It Junk (O2 Arena, London, England November 13, 2008) 
6. Waiting For The Miracle (HP Pavilion, San Jose, California November 13, 2009) 
7. Avalanche (Gothenburg Scandinavium, Gothenburg, SwedenOctober 12, 2008) 
8. Suzanne (MENA Arena, Manchester, EnglandNovember 30, 2008) 
9. The Partisan (Hartwall Arena, Helsinki, Finland October 10, 2008) 
10. Famous Blue Raincoat (O2 Arena, London, England November 13, 2008) 
11. Hallelujah (Coachella Music Festival, Indio, California April 17, 2009) 
12. Closing Time (John Labatt Centre, London, Ontario May 24, 2009)

Disc 2: DVD
1-12: same as above
Bonus Feature Backstage Sketch Film By Lorca Cohen

Performers:
Leonard Cohen
(vo, g, kbd)

Roscoe Beck (musical director, b, el.b)
Rafael Bernardo Gayol (ds, perc)
Neil Larsen (kbds)
Javier Mas (banduria et al)
Bob Metzger (g)
Sharon Robinson (back vo)
Dino Soldo (sax,winds,et al)
Charley Webb (back vo, g)
Hattie Webb (back vo,harp)

  感動魔法奇跡。そんな言葉しか浮かんできませんね。CDから流れて来るお馴染みの曲のいまだに失われない瑞々しさと増していく説得力、バックのメンバーの素晴らしい演奏、DVDでの素晴らしいステージ・パフォーマンスと熱狂する観客の興奮。ボーナスのバックステージ風景で、ツアースタッフの一人が言ってましたが、コーエンは若い頃でさえ滅多にツアーを行わず、ここ20年くらいは全くしていなかったそうですから、本当に奇跡のワールドツアーといえるのではないでしょうか?

 75歳の老人が呟く様に歌う姿を見てもう一つ浮かんでくるのが

吟遊詩人

と言う言葉。年老いてなお盛んな吟遊詩人とその仲間が放浪の旅に出て、2年間かけてアメリカは西海岸からイングランドスコットランドドイツスウェーデンフィンランド、そしてはるばるイスラエルまでを周遊している感じ。もちろん現在の話ですから、バックステージのドキュメンタリーを見るとそんな幻想も吹っ飛ぶわけですが、目を閉じてCDを聴いていても、深夜にホームシアターでDVDを観ていてもそんな幻想が浮かんでくるわけです。

 この歳になって3時間にもわたる公演をこなせるのか?そのキーは彼の歌唱法にあるでしょう。昔からそうでしたし、詩人ですから、詩を朗読するように歌います。キーも下がり声も枯れていますがこれなら十分可能。そして時にはちょっと派手なパフォーマンスも見せる。カルフォルニアの野外コンサートでの「ハレルヤ」でそれを観る事ができます。とにかく見かけに似合わずタフな75歳です。そしてそれにバックの演奏が彼の朗読を盛り立てれば完璧なステージとなります。レナード・コーエンを尊敬する仲間の演奏は彼に対する愛情に満ち溢れていて感動的。何度も同じ言葉しか出てきませんが感動的

 彼はその昔「Songs of Love and Hate」でバックのメンバーを「Army」と表現していました。70年代ですねえ。さすがの彼も今はバックのメンバーを「Performers」と表現しています。

 まずは音程をあまり気にしないコーエンの歌唱法を補うのが彼のツアーではお馴染みの女性バッキングボーカル。かつてはジェニファー・ウォーンズもその一人でした。今回も、ゴスペラーっぽい女性歌手シャロンがリーダーとなり、多芸なウェブ姉妹がサポートするバッキングボーカルの存在は大変重要なものでした。

 そしてバンマスが70年代からの長い付き合いでコーエンの音楽の全てを知り尽くしたベーシスト、ロスコー・ベック。演奏面では堅実なベース・サポートに徹しています。彼のことはオーディオファイルならジェニファーのアルバムでよくご存知でしょう。
 そして演奏全体の雰囲気を決めているのがニール・ラーセンのキーボード。キーボードの音色をオルガンにしているのは彼自身がバックステージのインタビューで

「コーエンの歌い方には”Gospel Slant"を感じる、だからオルガンの音色にしてあるんだ」

と語っていました。だから、「ハレルヤ」での彼の演奏はより力が入っていて見事でした。

 全員を紹介するときりがないですが、ドブロのような形をした不思議な12弦弦楽器のBanduriaでマンドリンのような音色を奏でるJavier、随所で印象的なサックス、ウィンド演奏を聴かせるDino等々、さすがコーエンが自身の詩を表現するために選んだだけの事はあるメンバー揃いです。

 ちなみにコーエンもずっと黒いギターを持ち続けていますがあまり見慣れないギターです。これはバックステージの映像でギター・メカニックが説明していましたが、Godinというフレンチ・カナディアンのメーカーのセミアコだとの事です。コーエンはピックを使わない指弾きでそれに合わせたナイロン弦を選択し、また彼のキーが低いためキーをCに下げて調整してあるそうです。

  全12曲、何れも彼が愛着を持って30年以上うたい続けている曲ばかりですが、ギターとbanduiraの伴奏も素晴らしい代表曲「Bird On The Wire」、Godinのギターでしっとりと歌い上げる「Suzanne」、出だしのマイナーコードのイントロから

"it's four in the morning"

とコーエンが歌いだすと観客の嵐のような拍手が起こり、最後にアドリブで

"sincerely L.Cohen"

と〆る憎い「Famous Blue Raincoat」、そして代表曲にして先日「今日の一曲」でk.d.Langも感動的なパフォーマンスを披露していたのを覚えていただければ嬉しいですが、多くのカバーを産み続ける「Hallelujah」が聴きどころでしょう。

 CDの音質はライブにしては驚異的に良いです。DVDの画質も良好。これでこのお値段はファンでなくてもお買い得ではないでしょうか。念のため申し上げておきますと、渋い表写真の豪華な紙ジャケットは異型サイズで通常より少し縦長となっている豪華版です。

 レナード・コーエンをジェニファー・ウォーンズ等のカバーでしかご存じない若い方にも是非聴いて頂きたい、観て頂きたい傑作と思います。
 

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