2012/02/27

Trans-Europe Expression / TEE

  プログレの老舗ブログ「Progressive Cafe」で有名なfrancofrehlyさんがギターを担当されておられるバンドTEEの、スタジオ録音としては2枚目のアルバム「Trans-Europe Expression」が発売になりました。先週届いて、週末ずっと聴きこんでおりましたが、とても雄大な完成度の高いアルバムです。

1. Stromboli
2. Rhodanus(River To The Ocean)
3. Intersection
4. Flying Roses
5. Gordes
6. Endeavour

TEE:   
米倉 竜司 : Keyboards
今井 研二 : Flute
浅田 隆行 : Drums
飯ヶ浜 幸雄 : Bass
米田 克己 : Guitar

 TEEは去年フランスのプログレ・フェスティバルに参加されたのですが、大変好評だったそうです。今回のアルバムは、そのフランス遠征のときに見た風景をモチーフにした曲が中心になっており、題名にもその意味がこめられつつ、頭文字がT.E.E.となるというあたりに、バンドの自負とこだわりが見てとれますね。

 フルートをフロントラインとして押し出しつつ、キーボード、ギターをはじめ各楽器にそれぞれ見せ場を作るという、まさにプログレの王道的な構成になっています。

 どの曲もまさに雄大なヨーロッパの風景を俯瞰しているようなスケールの大きさを感じますし、管楽器はフルートだけにもかかわらず、シンフォニック・ロックという言葉を連想させるような華やかさもあります。華やかといえば一曲だけ女性のスキャットも入っておりますがそれも魅力的です。

 francofrehleyさんはもちろん本職をお持ちで、おそらく他の方々もそうだと思いますのでセミプロ・バンドではありますが、実力はもう既に十分プロフェッショナル級だと思います。これからの全世界的な活躍を楽しみにしております。

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2011/06/06

Ambessence piano & drones / Bruno Sanflippo & Mathias Grassow

Ambessence_piano_2
  以前Colour Kaneなどで何回か紹介した、マニアックなヨーロピアン・ミュージックの輸入販売の「ザビエル・レコード」さんですが、しばらく前からTwitterをフォローしております。先日つぶやきで大絶賛されていたBruno Sanflippo & Mathias Grassowの「Ambessence piano & drones」をYoutubeで聴いて、これはいい、と即買いしてしまいました。

01. Ambessence piano & drones 1
02. Ambessence piano & drones 2
03. Ambessence piano & drones 3
04. Ambessence piano & drones 4
05. Ambessence piano & drones 5
06. Ambessence piano & drones 6
07. Ambessence piano & drones 7

『スペインのバルセロナを拠点に活躍するアルゼンチンのアンビエント・ミュージック・クリエーターBruno Sanfilippoの11枚目のアルバム。このアルバムは、ドイツのアンビエント・ミュージック・クリエーターMathias Grassowとのコラボレーションアルバムです。ハロルド・バッドを彷彿とさせるシンプルなまでに磨き上げられたBruno Sanfilippoのピアノの旋律と、幻想的で浮遊感溢れる空間を構築するMathias Grassowのエレクトロニック・ドローンが、見事なまでに調和し、優美で静寂感あふれる極上のアンビエントミュージックを生み出しています。聴いていると、まるで時の流れを忘れさせ、深海をゆったり漂っているようなイマジネーションをかき立て、リラクゼーションと癒しの境地に導いてくれます。ちなみに彼の全作品は、録音、ミックス、マスターとも全て24bitプロフェッショナル品質で行われた高音質作品です。アンビエント、ニュー・エイジミュージックが好きであれば、絶対にオススメ!(Xavier Record HPより)』

 見事な紹介文で、まさに「時の流れを忘れさせ、深海をゆったり漂っているようなイマジネーションをかき立て」る演奏です。そう付け加えることもないのですが、美しいピアノの旋律の間をドローン(単音の長い持続)が効果的に埋めることにより、ピアノだけの演奏では長時間持たせることが難しいアンビエント・ミュージックを飽きさせないところがこのアルバムの長所かと思います。録音も良好です。しばらく今日の一曲にYoutube動画をアップしておきますので楽しんでくださいませ。

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2011/03/31

Situation Dangerous / Bozzio Levin Stevens

Situation Dangerous
 馬鹿テク三人組Bozzio/Levin/Stevensの「Situation Dangerous」です。常連のまことさんも絶賛されていた傑作「Black Light Syndrome」が1997年で、てっきりよくあるスーパートリオの一回きりの録音だと思ってました。今回これまた常連さんのTak Saekiさんの日記でこのアルバムの存在を知って早速買ってみました。2000年の発売ですから3年後にもう一度集まっていたんですね。

1. Dangerous 
2. Endless 
3. Crash 
4. Spiral 
5. Melt 
6. Tragic 
7. Tziganne 
8. Lost

 一曲目「Dangerous」はのっけからハードに突っ走っております。Led Zeppelinの「移民の歌」をメタル・クリムゾン調にアレンジしましたという感じでなかなかよろしい。3曲目の「Crash」も結構ハードですが、今回は交互にメロディアスな曲も挟まれています。このあたり、セッション的でやや一本調子だった一枚目とは違い、ある程度アルバムとしてのまとまりを重視している感じがします。

 一番の聴き所はアマゾンのレビューでも複数の方が挙げておられる7曲目の「Tziganne」でしょうか。ボジオの変幻自在なドラムワークとスティーブンスのフラメンコ・ギターが光る曲です。この曲でも4曲目の「Spiral」でもスティーブンスのフラメンコ・ギターは凄いですね。レヴィン先生はまあ大体どの曲でも大体我が道をいく、という感じです(笑。まあ冗談はともかくKCでフリップ先生に鍛えられておりますので、ザッパ先生に鍛えられたボシオとともにその超絶プレイはやっぱ凄いの一言です。

 というわけで11年遅れで聴きましたがとても新鮮な一枚でした。

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2011/02/10

Mild To Wild / Colour Kane

Colourkanemildtowild
 以前「A Taste Of」というデビューアルバムを紹介したことのあるベルギーのアンビエント・ポップ・ユニットColour Kaneの2nd albumです。先日ザビエルレコードのHPを覗いたら、去年の暮れに出た事を知り急いで購入しました。デビューアルバムには本当にハマってしまいましたが、さて新作やいかに。

1. a wasteland tale
2. travel by the back of a spine
3. flower hopping popping madly
4. they run so free
5. papillon
6. mild to wild
7. tad or toddler
8. the others
9. that train of keepsake and glory

Marjan Snykers - vocals
Joeri Gydé - music
Steven Van Hecke - live drums

『ベルギーのダウンテンポ系アンビエント・ポップ・ユニットColour Kane、大好評の1stアルバム(当店だけで100枚以上売れた)から3年ものブランクを経て、2010年暮れリリースとなる2ndアルバム。ポップでキャッチーなメロディ、まどろむような女性Vo、コクトー・ツインズ直系のメランコリックなギター、打ち込みによるエレクトロニックなビートによる、ドリーミーでまるで万華鏡のように幻想的で浮遊感溢れるサウンド、そして捨て曲のないラインナップ、ハイクオリティな楽曲は更に磨きがかかり、相変わらず魅惑的。何度でも何度でもループさせて聴きたくなる病みつき作品、聴いていて「幸せ」を感じさせる音楽です。1stアルバムを気に入られた方は勿論の事、ダウンテンポ系、アンビエント、POPS好きには全力でにオススメです。彼らは期待を裏切らなない!(ザビエルレコードより)』

  題名通り前作よりワイルドになったかと言えばそんなことはない(笑。完全にコンサバで、解説にある通りコクトー・ツインズ直系の浮遊感溢れるアンビエント路線を貫いております。敢えて気が付いたところを挙げると、ややボーカルの歌詞がわかりやすくなって、Youtubeなんかで見られるライブの情景を想像しやすくなった事くらいでしょうか。

 まあとにかく「A Taste Of」にはまった方はとりあえず買っておくべきかと。まだお聞きになった事が無い方には迷わず前作から入る事をお勧めします。

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2010/09/04

Scratch My Back / Peter Gabriel

Scratch My Back
Scratch My Back
 漆黒の背景に浮かび上がる赤血球と思われる美しい赤の意匠が美しいジャケット。ライナーのセンターフォールドには、なんと私のA.T.フィールドを軽々と中和・侵入して描き出した頭蓋内動脈のMRAの大胆なデザイン。こんな意匠のアルバム、一体誰が出す?なるほど、ピーター・ゲイブリエル大先生(ゲイブリエルと書くところがプログレ・ブログの生命線です(笑)、以下PG)ですか、と納得。
 という訳で傳先生風に書き出してみました。と言うのも、先日紹介したサラ・マクラクラン新譜とともに傳先生が紹介しておられたのがこの新譜「Scratch My Back(お互い様てな意味)」だったんですね。こればっかしはこちとらが先に買ってましたが、傳先生がこんな難解なアルバムを紹介した事には驚くとともに脱帽しました。そしてこんなアルバム、とてもじゃないがレビューできんわと放ったらかしにしていた自らを恥じ入る事と相成りました。

 とは言え、じゃあやりましょかと簡単にレビューできる作品ではありません。そこを何とかプログレ・ブログ(一応)の意地で傳先生とは異なる観点からなんとか挑戦してみませう。
 一言で言えばカバー集なんですが、PGがそんな生易しいアルバムを発表するはずがない。どんな感じかというと、例えば一曲目、David Bowieの「Heroes」なんか、ボウイとイーノとフィリップ・グラスで作り上げたミニマル・ミュージック的交響曲「Heroes Symphony 」をもう少し聴きやすいオーケストレーションに編曲しなおした上で、PGが詞を朗読している印象。
 と申し上げても余程のマニアしかご存じないでしょうね、こんな曲。リンク先を聴いてなんじゃこれは、と怒り出さないように(笑。

Heroes Symphony

Disc 1:
1. Heroes (David Bowie)
2. The Boy In The Bubble (Paul Simon)
3. Mirrorball (Elbow)
4. Flume (Bon Iver)
5. Listening Wind (Talking Heads)
6. The Power Of The Heart (Lou Reed)
7. My Body Is A Cage (Arcade Fire)
8. The Book Of Love (The Magnetic Fields)
9. I Think It's Going To Rain Today (Randy Newman)
10. Apres Moi (Regina Spektor)
11. Philadelphia (Neil Young)
12. Street Spirit (Fade Out) (Radiohead)

Disc 2:
1. The Book Of Love (Remix)
2. My Body Is A Cage (Oxford London Temple Version)
3. Waterloo Sunset (The Kinks) (Oxford London Temple Version)
4. Heroes (Wildebeest Mix)

『・アルバム『UP』以来7年ぶり、通算8枚目のスタジオ録音アルバム。
・レディオヘッド、ニール・ヤング、アーケイド・ファイア、ルー・リード、トーキング・ヘッズ、ボン・イヴェールらの楽曲を、ピーター・ガブリエル流に解釈したカヴァーの数々を収録。
・ガブリエルが、他の優れたアーティストたちと互いの楽曲を交換してカヴァーし合う、特別企画シリーズの第一弾。
・カルト的な人気の“知る人ぞ知る”ナンバーから、誰もが頷く定番の名曲に至るまで、驚くほど多岐に亘る収録曲の数々を巧みに編み上げてレコーディングするに当たり、今回ガブリエルが協力を仰いだのは、元ドゥルッティ・コラムのジョン・メトカーフや、作曲家/編曲家であり、プロデューサーとして熟練の技を持つボブ・エズリン(代表作は、ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』、ルー・リードの『ベルリン』他)、そしてエンジニア兼ミキサー兼プロデューサーである(スザンヌ・ヴェガ、シェリル・クロウ、トム・ウェイツらを手掛けた)チャド・ブレイクである。(AMAZON日本盤解説より)』

 と、いきなりネガティブ・キャンペーンを張っておいてなんですが、じゃあ駄作なのかといえば、少なくともプログレ・ファン現代音楽愛好者、そして当然ながら長年彼の新譜を待ちわびていたPGファンには腰を据えて聴く価値のある、PGにとっては会心作なのだと思います。

 まず、意表をついてプログレが必ずしもドラムやエレキギター、エレキベースといった機器を必要とはしないという、ある意味コロンブスの卵的な事実をこのアルバムは提示しています。
 先ほど述べたミニマル音楽の雄フィリップ・グラスの作りだす世界のごときシンプルかつモノトナスなオーケストレーションにより、有名無名を問わず選曲された曲を一旦遠慮無く解体する。そしてその音をバックにPG独特のつぶやくような、そして時には絞り出すようなハスキーボイスをある意味楽器的に演出させる事によって独特の世界を作り出す。
 それが今回、PGがメトカーフやエズリン、チャド等の名うてのスタッフに託したコンセプトだと思います。だから原曲の好き嫌いは関係無し(笑。どんな曲でもPGの曲になっています。
 そのあたり、以前紹介したブライアン・フェリーの「ディラネスク」とは正反対のアプローチで、これは好き嫌いの問題でしかありませんが、私はディランっぽくうたうフェリーより、この歌い方しかやらない!というPGの姿勢の方が好きですね。じゃあiPodに入れて車の中で流すならどっちにする?と言われると。。。ちょっと困ってしまいますが(^_^;)。

 驚いたのはレパートリーと言うか、交友の広さ。題名がお互い様という意味と冒頭で書きましたが、曲を貰う代わりに提供する、というコンセプトで作られたアルバムなので、当然ながら相手もPGを尊敬し曲を貰いたがっている、ということになります。
 ボウイ
トーキング・ヘッズルー・リードといったあたりはまあ当然といえば当然の選択なんですが、ポール・サイモンランディ・ニューマンあたりは驚きですね。ランディの「 I Think It's Going To Rain Today」は以前紹介した「Higher Ground」でノラ・ジョーンズがしっとりとカバーした曲がとても素敵で忘れられないんですが、その雰囲気をある程度壊さずに解体してるあたりは

Okay

ですね。できれば「Don't Give Up」でケイト・ブッシュとデュエットしたみたいにノラとデュエットしてくれれば嬉しかったですけど。
 また、ボーナスCDでキンクスの名曲「Waterloo Sunset」をカバーしてくれてるのも嬉しいですね。以前紹介したことのあるThe Submarinesのバージョンをとても気に入ってましたが、これはこれでありでしょう。

 何はともあれ、ジェネシスでの独特のパフォーマンスで世界の耳目を集め、その後のソロ活動でワールドミュージックを吸収し続けるとともに第三世界の音楽をサポートし、そして何より独自の音楽観を決して崩さなかったプログレを代表する硬骨漢の作ったアルバムには違いないです。何度も申し上げますが、聴く人を選ぶアルバムで万人にはお勧めできませんが、拙ブログをずっと読んでいただいているあなたなら、「あり」、でしょう。まあ、ジャケットの美しさだけでも買って損は無い(笑。逆に言えば、DL購入は「なし」ですかね。

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2010/06/23

Omega / Asia

オメガ

 再結成おじさんプログレの雄Asiaの再結成アルバム「フェニックス」に続く第二弾が出ました。ちなみにAsiaはエイジアと読みましょう、日本語で書くと詠時感(w。さて第二弾はその名も「オメガ(Ω)」、タイトル通りこれで最後かと思いきや、ジョン・ウェットン曰く

「アルファ(α)がファーストアルバムでなかったように、オメガ(Ω)が我々のラストアルバムではない」

なんやねんその理屈は、と突っ込みたくなりますが、まあ内容は良かったのでよしとしましょう。

1. Finger On The Trigger
2. Through My Veins
3. Holy War
4. Ever Yours
5. Listen Children
6. End Of The World
7. Light The Way
8. I’m Still The Same
9. There Was A Time
10. Drop A Stone (日本盤ボーナストラック)
11. I Believe
12. I Don’t Wanna Lose You Now

John Wetton (B,Vo)
Steve Howe (G)
Carl Palmer (Ds)
Geoffrey Downes (Key)

『オリジナル・メンバーが再び結集し、ロック界に金字塔を打ち出した復活アルバム「フェニックス」から約2年、伝説の4人が更なる飛躍を求め完成させたエイジア待望のニュー・アルバム。このポップなメロディ、ドラマティックな展開はエイジア以外の何ものでもない。(AMAZON解説より)』

 解説どおり、デビューアルバム「Asia」から一貫したポップなメロディ、ドラマティックな展開がエイジア・サウンドの特徴で、その個性はロジャー・ディーンの印象的な意匠同様に数多く出たあの時期のスーパーグループの中でも際立っていました。実は私、このエイジア・サウンドの傾向は決して好きではない(苦笑。
 「嫌いじゃない」の間違いじゃないの?と言われそうですが実際それほど好きじゃないんです。4名個々のテクニックは凄いと思うんですが、サウンド・イメージを決定付けているのはジェフリー・ダウンズの豪華絢爛仰々しいキーボード・サウンドに他なりません。そういう意味では私の頭の中ではAsiaというのは

ダウンズのバンドである
UKまでがプログレでAsiaからは産業ロックである

と言う固定観念が出来てしまっておりました。だから個人的には初代UKの再結成の方が嬉しいけど、ビルブラが引退してしまいましたからもう仕方ないですねえ。それでもまあベースを抱いた渡り鳥ジョン・ウェットンが頑張ってるバンドですから応援はしてましたし、ウェットン&ダウンズもAisaの再結成も嬉しかったです。

 さて、今回のアルバム、どの楽曲も短時間でカチッとまとまっており、しかもバラエティに富んでいて楽しめます。ウェットン君の咽喉の調子も抜群ですし、何よりダウンズ君がそれほどでしゃばっていないところが良い(笑。それにあれほど仲が悪いと言われていたウェットン&ハウの共作がたった一曲とはいえ入っています(#2)、これには驚き。それにしてもハウさん、一番老けましたね。

 というわけで個人的にはデビューアルバム「Asia」以来久々に楽しめるアルバムでした。小難しい詞を仰仰しく歌っても全然陰影や深みが感じられないのはどうよ、とかいろいろ突っ込む事も可能ではありますが、野暮はよしましょう。素直に楽しめる明るいプログレです、是非どうぞ。

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