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2011/12/24

今年の映画レビューを振り返る2011

わたしを離さないで [DVD]
はむちぃ: 皆様こん**は、今年も一年回顧の季節がやってまいりました。
ゆうけい: とはいうものの、今年の拙ブログはアクティビティが低く、まともに続けられたのは映画レビューくらいという体たらくでございまして、まことに申し訳ございませんm(__)m。
は: というわけでございまして、今年を振り返るシリーズは映画編のみとさせていただきます、あしからずご了承くださいませ。
ゆ: では早速、本年の映画レビューを評価順に紹介していただきましょうか、はむちぃ君。
は: かしこまりました、では早速参りましょう。

A: 傑作

邦画

八日目の蝉
ステキな金縛り
死にゆく妻との旅路

B: 秀作

邦画

海炭市叙景
大鹿村騒動記

洋画

コンテイジョン
ソーシャル・ネットワーク
インセプション
わたしを離さないで
英国王のスピーチ
127時間
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2
ヒアアフター

C: 佳作

邦画

あしたのジョー
ダンシング・チャップリン
ツレがうつになりまして。
パーマネント野ばら
まほろ駅前多田便利軒
阪急電車 片道15分の奇跡
春との旅
星を追う子ども
探偵はBARにいる
武士の家計簿
洋菓子店コアンドル

洋画

ツーリスト
トロン:レガシー

D: イマイチ

邦画

アンダルシア 女神の報復
コクリコ坂から
プリンセス・トヨトミ
告白
裁判長、ここは懲役4年でどうすか
十三人の刺客
川の底からこんにちは
相棒 劇場版II -警視庁占拠!特命係の一番長い夜-
東京島
白夜行
夜明けの街で

洋画

カーズ2
SALT

E: トホホ

邦画

さらば愛しの大統領
東京オアシス

は: 邦画、洋画で見事に評価分布が分かれましたね。洋画は全体の75%と圧倒的に秀作に集中し、邦画は76%が佳作・イマイチに集中しております。
ゆ: いやあ、予想はしていたものの見事な数字の一致ですな(^_^;)。とは言え、わたしは決して洋画至上主義ではないんです。一言で言えば、洋画はこれというものをセレクトして観ており、邦画は手当たり次第に観ている、ということなんだと思います。

は: だから邦画には傑作もトホホも含めて全ての段階の評価があるんでしょうね。
ゆ: 確かにね、そしてそんな中で傑作、秀作と評価できる映画が5本もあったのは昨今の邦画が元気な証拠なんでしょう、嬉しい事ですね。あと、自ら反省すべき点として、洋画に傑作がないのは最初に「ソーシャル・ネットワーク」「英国王のスピーチ」あたりにBをつけてしまったのが縛りになったかもしれません。つくづく評価というものは難しいですな。

は: 来年も続けるかどうか迷うところでございましょうが、それはさておき、そろそろ恒例の月ラプ表彰に参りましょうか。まずは助演男優賞からまいりましょう。
ゆ: 了解です。

助演男優賞: アラン・リックマンハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2

は: ハリー・ポッター・シリーズの名脇役セヴェラス・スネイプ先生でございますね。
ゆ: 英国の押しも押されもせぬ名優ですが、このハリー・ポッター・シリーズにおいても第一回から抜群の存在感をシリーズを通して示し続け、最終作の本作で観る人に鮮やかな感動を与えました。
は: 邦画におきましても松田龍平様(探偵、まほろ)、中井貴一様(金縛り、トヨトミ)など、いい助演をした俳優さんは沢山いましたが、、、
ゆ: 「あしたのジョー」の伊勢谷友介も良かったですけどね。でも、今回はこの人以外には考えませんでした。

は: では助演女優賞でございます。
ゆ: これは最後にこの映画を観るまでは随分迷っていたんですが、この人の目を見張る演技に脱帽しました。

助演女優賞: 井上真央八日目の蝉

は: 赤ちゃんの時に誘拐され4歳まで愛人に育てられたため、普通の家庭の幸せを知ることなく大人になってしまった女性を熱演されました。
ゆ: この人のこれだけシリアスな演技を見たのは初めてで、新鮮な驚きがありました。当初は「わたしを離さないで」のキーラ・ナイトレイ、「阪急電車」の宮本信子あたりを考えていたんですが、
は: 今年最後のレビューでの見事な大逆転でしたね。ただ、井上真央様は主演ではないかという意見が出てきそうですが?
ゆ: クレジットを観るとそうなんですよね。また、見方によっては彼女が主演と見ても何ら問題はないと思います。でも個人的にはやはり永作博美が主演だと思ったので、こちらで表彰させていただきました。ついでに申し上げますと、この映画や「パーマネント野ばら」で熱演を見せた小池栄子もよかったですね。彼女もいつの間にかいい味を出す女優になってきました。

は: では続けて主演男優賞でございます。
ゆ: 了解です、やはり今年はこの人でしょうね。

主演男優賞: ジェシー・アイゼンバーグソーシャル・ネットワーク

は: 実在の人物、フェイスブックの創始者のマーク・ザッカーバーグをモデルにした癖のある演技は圧倒的でございましたね。
ゆ: アカデミー賞こそ「英国王のスピーチ」のコリン・ファースに譲りましたが、いまだに強い印象を残しているのは彼の方ですね。
は: 邦画でも「死にゆく妻との旅路」の三浦友和様、「ステキな金縛り」の西田敏行様、「大鹿村騒動記」の故原田芳雄様といった方々の好演が作品自体の評価を押し上げましたね。
ゆ: 特に西田敏行さんの幽霊役なくしてはあの映画は成り立たなかったと思いますね。

は: では、表彰の華、主演女優賞でございます。
ゆ: 私一押しの蒼井優や去年惜しくも受賞を逃した深津絵里を始め、永作博美、石田ゆり子、宮崎あおい、松たか子、中谷美紀、木村多江、満島ひかり、深田恭子、エマ・ワトソン、ヘレナ=ボナム・カーターなどなど、選り取り見取りですな~(^o^)
は: いかにご主人様が女優重視で映画を観ておられるか分かりますね(-.-)ボソッ
ゆ: ギクッッッ(^_^;)、では発表です。

主演女優賞: 石田ゆり子死にゆく妻との旅路

は: 実在の夫婦をモデルにし、末期の癌と知りつつ借金から逃げる夫と流浪生活をともにする妻の演技はみごとでございました。
ゆ: やはり今年一番心に沁み入り、今でも強く印象に残っています。柔らかく自然体の演技でいて、けなげなところ、痛切なところ、しっかり演じておられました。最後に永作博美が現れましたが、さすがに彼女を凌駕するまでには至りませんでした。
は: コアンドルの蒼井優様もよかったのでは?
ゆ: 去年の「雷桜」に比べれば、のびのびとやっていましたね。でも彼女にはもう一皮向けた演技を期待したいですね。

は: では、監督賞に参りましょう。
ゆ: 傑作、秀作に選んだ作品の監督は当然ながらもう甲乙つけがたしではあるんですが、やはりこの人でしょう。

監督賞: 三谷幸喜ステキな金縛り

は: すっかり三谷コメディという様式を確立された感がありますね。
ゆ: 確実に良質なコメディを提供できる、貴重な人材であると思います。

は: ではいよいよ最優秀作品賞に参りましょう、傑作の3作品、「八日目の蝉」「ステキな金縛り」「死にゆく妻との旅路」が最有力ではあるかと思いますが、秀作にも優れた作品が揃っております。
ゆ: はむちぃ君の言う通りで傑作に選んだ作品には申し訳ないんですが、敢えてこの作品にしました。

最優秀作品賞: 「わたしを離さないで

は: カズオ・イシグロの傑作小説を、その寒色系の雰囲気そのままに見事に映像化された作品でございましたね。
ゆ: レビューでも申し上げましたが、原作と設定を変えてある点のひとつがとても惜しいと思うのですが、見事な映画化であり、ラストシーンには涙を禁じ得ませんでした。ずっと公開を楽しみにしていた映画であり、その期待に応えてくれたという点においてこの作品を推させていただきました。
は: そう言えば、今回ノミネートの作品中でも地味で宣伝もそれほどされなかった映画であるにもかかわらず、随分長期にわたってアクセス解析で予想外に多くのアクセスを連日記録していましたね。
ゆ: その意味でも今年一番の驚きでしたね。多分カズオ・イシグロのインタビューがTVで流れたからだと思うのですが、それにしても驚くべきアクセスでした。彼の人気の根強さと、作品の良質さの相乗効果だと思います。
は: その意味でも本ブログでの最優秀作品賞に値いたしますでしょう。では、最後に功労賞をお願いいたします。
ゆ: かしこまりました。

功労賞:
三宮シネフェニックス(本年5月閉館)
故・原田芳雄氏(本年7月19日逝去)

は・ゆ: 原田氏のご冥福をあらためてお祈りいたします。皆様、長文のおつき合いありがとうございました。

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2011/12/13

八日目の蝉

八日目の蝉 通常版 [DVD]
 本年春に公開された話題作「八日目の蝉」、残念ながら公開時に観られず以前から気になっていたのですが、ようやく観ることができました。147分と少し長いのですが、俳優陣の好演、見事な演出・カメラワークなどがあいまり、見終わった後に深い余韻を残す素晴らしい作品となっていました。

『 2011年、日本映画

原作:角田光代
監督: 成島出
脚本: 奥寺佐渡子

出演: 井上真央, 永作博美, 小池栄子, 森口瑤子、渡邉このみ他

今日まで母親だと思っていた人が、自分を誘拐した犯人だった。
1985年に起こったある誘拐事件―。
不実な男を愛し、子を宿すが、母となることが叶わない絶望の中で、男と妻の間に生まれた赤ん坊を連れ去る女、野々宮希和子と、その誘拐犯に愛情一杯に4年間育てられた女、秋山恵理菜。
実の両親の元へ戻っても、「ふつう」の生活は望めず、心を閉ざしたまま21歳になった恵理菜は、ある日、自分が妊娠していることに気づく。
相手は、希和子と同じ、家庭を持つ男だった。過去と向き合うために、かつて母と慕った希和子と暮らした小豆島へと向かった恵理菜がそこで見つけたある真実。
そして、恵理菜の下した決断とは・・・?(AMAZON解説より)』

 冒頭、暗い背景の中に森口瑶子の顔が浮かび上がり、滔々と娘を誘拐された悲しみ、恨み、怒りを陳述します。それでこれが裁判所の証言台で誘拐された母親の証言シーンだと分かります。そして、次に被告人である愛人役の永作博美が意見陳述を行いますが、母親とは対照的に達観したかのような落ち着いた態度で、謝罪の言葉ではなく

「この3年間を与えて下さったことに感謝します」

と申し述べるに及び、傍聴人席の母親が怒り狂って「死ね、死ね」と泣き叫びます。
 この後にどのような展開が待ち受けているのか、観るものに強い緊張感を与える良く考えられた導入部だと思います。脚本の奥寺佐渡子は「サマーウォーズ」の脚本も書いていますが、あの導入部も見事でしたね。

 原作では誘拐犯野々宮希和子の章と、誘拐された子ども秋山恵理菜の20年後の章の二部に分けられていますが、映画では平行して描かれます。これも映画手法としては納得できるものですし、双方の最終場面となる小豆島のフェリーターミナルへ物語が収斂されていく展開は感動的です。

 このように二つの時代の出来事が平行して描かれるため、様々なシーンが交錯してやや煩雑な部分、冗長な部分もありますが、ベテラン監督の成島出は丹念に一つ一つの場面を演出していきます。
 そしてその中でも最も重点をおき、最も観客の心に染み入るような演出をしているのが、誘拐犯永作博美と誘拐されたと知らず母と慕う子ども渡邉このみの小豆島での幸せな生活です。
 見終わった後、冷静に客観的に考えれば、してはならないことを行い、不倫相手の家族を絶望のどん底に追いやり、さらにはその後の子どもの人生にまで暗い影を落とし、憎まれ続けることになる、擬似親子生活です。それをこの映画で最も安堵と平和に満ちたシーンとして描き、小豆島の海や山の風景や祭りのシーンもこの上なく美しく撮られ、私たちの心に深く染み入ってくるように演出したのか。最後にそれは分かるわけですが、実に巧みな構成だと思いました。

 このよく練られた脚本と丹念な演出に応える俳優陣も見事。その中でも特筆すべきはやはり、私の好きな女優の一人、永作博美。逃亡のため自らの毛髪を大胆にカットするというシーンで役者魂を見せつけ、その後も「人のセックスを笑うな」で見せたような彼女の持ち味とも言うべき小悪魔的な色気を封印した擬似母の演技は、最後の逮捕別れのシーンまで素晴らしいものでした。
 20年後の主役である井上真央も笑顔を封印し、普通の家族生活を送れなかった心の傷を引きずったままかつての誘拐犯のように不倫相手の子どもを身籠ってしまう大学生の役を見事に演じきっていました。この方の映画は「ダーリンは外国人」しか見たことがなかったですが、間違いなく彼女の代表作の一つとなるでしょう。
 その他、被害者でありながらヒステリックな演技で観客にかえって不快感を与えてしまう損な役回りを臆せず演じた森口瑶子、井上真央にジャーナリストとして近づくが実は過去に接点のあった謎の女性を、歩き方、しゃべり方に工夫を凝らして個性的に演じる小池栄子、日本を代表する演技派女優で今回は文字通り「怪演」を見せる余貴美子、愛くるしい演技で涙を誘う子役の渡邉このみちゃんなど。女性ばかりですね(w、まあこれはこの映画のテーマからして必然でしょう。母性という重いテーマの前では男は添え物に過ぎないですね。

 あと、特筆しておくことはやはり小豆島の風景を物語に見事に溶け込ませた、ロケのカメラワークでしょう。海や山、棚田、人々の営みや祭り、行事等々を光と影の陰影も鮮やかに見事に描ききっていて必見です。
 それと音楽、ジョン・メイヤーの挿入歌「Daughters」が誘拐のシーンで効果的に使われていたのが印象的でした。

 物語のクライマックスで、現像液に浸けられた印画紙に浮かび上がる二人のポートレイト写真。蘇る封印された記憶。辛く暗く重い過去を背負ってきた主人公に一条の光が差し込む。これこそが七日間という寿命を超えて空っぽになってしまったと思い込んでいた八日目の蝉が見た美しいなにかだったのでしょうか。深い余韻の中でいろいろな思いが脳裏を交錯する、素晴らしい演出、脚本、演技。今年を代表する邦画の一つであると思います。

評価: A: 傑作
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)

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2011/12/11

鬼束ちひろ@神戸国際会館

Onituka1211
 天才SSW鬼束ちひろの約10年ぶりのコンサートツアーが、神戸に来たので行ってきました。個人的には2003年に大阪のザ・シンフォニー・ホールで行われたアコースティック・ライブ以来となります。
 と書きますと、凄く期待していたように思われるかもしれませんが、彼女の最近のトラブルや奇矯なファッション・行動、更には前回ツアー自体をドタキャンされた苦い思い出等々、不安だらけ、というのが正直なところでした。で、どうだった、と訊かれると。。。
 まあこれだけ観客に、否、歌というものに対して「不誠実」なコンサートを聴いた事がありません。天才のムラッ気と許せない人はファンではないと言われればそれまでですが。

鬼束ちひろ Concert Tour 2011
「HOTEL MURDERESS OF ARIZONA ACOUSTIC SHOW」

Date: Dec.11th, 2011 18:00-
Place: 神戸国際会館 こくさいホール

鬼束ちひろ: vo, g on EC-2
坂本昌之: p

Setlist: 

1:  Sweet Rosemary
2: 青い鳥
3: everyhome
4: 琥珀の雪
5: Time After Time
6: The Rose
7: 月光
8: 蛍
9: 嵐が丘
10: EVER AFTER
11: 私とワルツを
12: ストーリーテラー
EC:
1: NEW AGE STRANGER
2: Beatiful Fighter

 一曲目で早速歌詞を間違える、全ての歌で過多に原曲を崩す、ミストーンを繰り返す、中には出だしのキーが違うんじゃないか、という曲もありました。完全な練習不足、或いはもう歌唱力がついていかないのか?問題はそれを本人が全然気にしてない様子がありありと見て取れた事。勘繰れば「アコースティック・ショウ」と銘打ちながら実情は伴奏がピアノ一台だけというのは、バンドできっちりとした編曲で歌うだけの歌唱力がなくなった、或いは努力を忌避した、と思えなくもありません。
 特に、10年に一度出るか出ないかの名曲「月光」では、前半はさすが、と唸らせてくれたのに、後半で見事なミストーンをやらかしてくれた時には、吉本新喜劇並みにずっこけそうになりました。で挙句の果ては最後の盛大な息切れ。これは

「何分若い時の曲なもんで、体力が。。。」

との終わった後のMCから推察するに、演出半分なんでしょうが、正直見苦しい。

 MCや観客の声援への返事も言葉遣いがぞんざいで聞き苦しい。

「可愛い!」→「そんなに可愛くねえよ」

は、まあその通りかも。思えば8年前は可愛かったですねえ。

 それでも天才は天才、パートパートではゾクッとさせるくらい良い歌唱がありましたし、「」「私とワルツを」なんかは全体を通して惹きこまれました。カバー曲は洋楽が二曲、そのうち幾多のカバーを生んだシンディ・ローパーの名曲は御世辞にも褒められたものではなかったですが、ベット・ミドラーの名曲で最近では手嶌葵のカバーで有名になった曲はまあまあ、でした。いずれにしても「守ってあげたい」のようなはっとするほど見事なカバーとは言い難かったです。

 アンコールは二曲とも本来ロック・バンドを組んでやるべき歌。「にっくきEMI」「忌々しいEMI」のMCには笑いましたが、歌とピアノとつたない本人のギターだけでは物足りなかったです。

 ということで、周囲の盛大な拍手や声援に納得できないままに、脳内疑問符をひきずったままコンサートは終了してしまいました。最終の(といってもたった三箇所の全国ツアーですが)東京公演はDVD化が決まっていて、会場では早くも予約を取っていました。会場特典付きだそうですが今日のパフォーマンスでは正直買う気にはなりませんでしたので、スルーして帰りました。

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2011/12/10

皆既月食

Eclipse1 Totaleclipse1210
 12月10日23時5分、皆既月食が始まりました。空が暗くなって星も綺麗に見えます。冬のダイアモンドが皆既月食を取り囲んでいてとても綺麗です!

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2011/12/09

10日は皆既月食

Eclipseofthemoon_2
 「月夜のラプソディ」というくらいなもんで、月食の情報を。明日12月10日は、完全な皆既月食が日本で見られるそうです。予定としては

部分食の始まり    21時45分
皆既食の始まり    23時05分
皆既食の最大       23時31分
皆既食の終わり    23時58分
部分食の終わり    01時18分

 これだけ完全に皆既食が日本で観察できるのは11年ぶりとか。当地では晴れそうで、楽しみです。ちなみに皆既食は月が消えるのではなく、赤銅色に染まります。

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2011/12/05

コンテイジョン

Contagion_2
 昨日は公開中の洋画「コンテイジョン」を観てきました。昨世紀前半のスペイン風邪や近年のSARS,新型インフルエンザなどに代表されるパンデミックを扱った映画ですが、安易なパニック映画に陥らず、かつ、終わった後は何に触るにもドキッとしてしまうほどのリアリティに溢れる秀逸な「恐怖」映画でした。

『2011年アメリカ映画

監督: スティーブン・ソダーバーグ
脚本: スコット・Z・バーンズ

キャスト: マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレット、ブライアン・クランストン他

「トラフィック」「オーシャンズ11」のスティーブン・ソダーバーグ監督が、マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレットら豪華キャストを迎え、地球規模で新種のウィルスが感染拡大していく恐怖を描いたサスペンス大作。接触感染により数日で命を落とすという強力な新種ウィルスが香港で発生。感染は瞬く間に世界中に拡大していく。見えないウィルスの脅威に人々はパニックに襲われ、その恐怖の中で生き残るための道を探っていく。(映画.comより)』

 まず何といっても秀逸なのが脚本。医学的な情報も正確ですし、脚本のスコット・バーンズは相当勉強した上で迫真の物語を作り上げましたね。冒頭、映画はタイトルロールなしにいきなり

Day 2

から始まります。何故「Day 1」をとばしたのか?それは最後の最後に驚愕の真実とともに明らかになり、観るものを唸らせ考え込ませた上で、最後にタイトルロール

CONTAGION(伝染)」

が画面に浮かび上がります。この見事な構成には脱帽です。やはり映画は脚本だなあ、とあらためて思いました。敢えて言うと、この最後の真実を(今の段階でネタバレさせる訳にいかないので内容は伏せますが)、説教くさい啓発ととるか否かでこの映画の評価は分かれると思います。個人的には、十分にありうる設定であると思いますので納得させられました。

 もちろんストーリーもよく練られており、まるで良質のドキュメンタリーを観るかのようです。CDC、WHOと言う実在の組織の活動、それに属する人々の奮闘と心の葛藤、そして

「Nothing Spreads Like Fear」

との惹句に示されるように、病気自体をおどろおどろしく見せ付けるのではなく、伝染の恐怖から虚実ない交ぜの情報に踊り、踊らされれる人々の模様を実に丹念に描いており、観るものを飽きさせません。殊に今の時代らしく、TwitterFacebookもうまく織り込んであります。

 オーシャンズ・シリーズなどで群像劇はお手の物の名匠スティーブン・ソダーバーグの演出も見事です。といっても、その手法は180度異なり、オーシャンズでは主人公を演じる俳優の個性を活かす手法をとっているのに対し、この映画では綺羅星のごとくの名優たちを敢えてそうと気づかせることなく、完全にその役柄に徹しさせています。だから、エンドロール最初の主人公級のクレジットで、

「えっ、○○が出ていたの、全然気がつかなかった!?」

という驚きの声があちこちで上がっていました。かく言う私も「ヒアアフター」を見たばかりだったのに、始まってしばらくの間、マット・デイモンに気がつきませんでした。マジですよ、お恥ずかしい(笑。

 もちろん役に徹しきった俳優たちも見事。敢えて個性が際立っていた人を挙げると、金儲けと煽動を企むフリー・ジャーナリストを演じていたジュード・ロウでしょうか。演技の重厚さではCDCの人間味溢れる高官を演じるローレンス・フィッシュバーン。彼はマトリックス・シリーズのモーフィアスですね、懐かしかったですが、随分貫禄がついていました。

 女優陣も豪華。最初の感染者で壮絶な脳炎の演技を見せるグウィネス・パルトロウ、調査官で誘拐されながらもその拉致先の人々に感情移入するマリオン・コティヤール、医師で感染源の調査中に自らも犠牲になってしまうケイト・ウィンスレット、いずれも確固たる地位を築いた名優ばかりですが、個人的には「エディット・ピアフ」「インセプション」と映画ごとに異なった顔を見せてくれるマリオン・コティヤールが魅力的でした。

 邦画でパンデミックモノと言えば「感染列島」という映画がありましたが、この二つの映画を見比べれば彼我の実力の差は残念ながら明らかです。このブログで何度も指摘していますが、邦画も安易に漫画や小説に頼ることなく、本当にいい脚本を書ける人材を育ててほしいものです。

 というわけで、監督、脚本、俳優と三拍子揃った秀作ですので、今更パンデミック映画か、という先入観なしに観ていただきたいと思います。

評価: B: 秀作
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)

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2011/12/03

ヒアアフター

ヒア アフター ブルーレイ&DVDセット(2枚組)【初回限定生産】 [Blu-ray]
 私の好きな監督クリント・イーストウッドの最新作「ヒアアフター」です。冒頭に津波のシーンが出てくるため、残念ながら3月11日の大地震を受けて公開中止となってしまいました。もちろんそのことは十分に理解はしているのですが、映画自体の評価は高く、見逃した事を残念に思っておりました。今回DVDのレンタルが始まり、早速観てみました。イーストウッドらしく、奇を衒わずに静かな感動を呼ぶ良い映画でした。

『2010年アメリカ映画

監督・製作・音楽: クリント・イーストウッド
脚本: ピーター・モーガン
撮影: トム・スターン
美術: ジェームズ・J・ムラカミ

出演: マット・デイモン, セシル・ド・フランス, ブライス・ダラス・ハワード, ステファーヌ・フレス, マルト・ケラー

巨匠クリント・イーストウッドが、死後の世界にとらわれてしまった3人の人間の苦悩と解放を描いたヒューマン・ドラマ。サンフランシスコに住む元霊能者で肉体労働者のジョージ、臨死体験をしたパリ在住のジャーナリスト・マリー、兄を亡くしたロンドン在住の小学生マーカスの3人が、互いの問いかけに導かれるようにめぐり会い、生きる喜びを見出していく姿を描く。(映画.comより)』

 「グラン・トリノ」では古き良きアメリカの衰退に自らの死を重ね合わせたイーストウッドですが、今回ピーター・モーガンが持ち込んだ脚本を受けて描いたのは、「死後の世界、来生(ヒアアフター)」と向き合う事になった3人の人生でした。

 スマトラ沖大地震による津波に飲み込まれた際に臨死体験で死後の世界を垣間見たフランス人女性マリー(セシル・ド・フランス)。パリに戻ってもその事が頭を離れず、美人ニュースキャスターとして順風満帆だった彼女の人生は狂い始める。

 サン・フランシスコの工場労働者ジョージ(マット・デイモン)には、死後の世界とコネクトできる才能があり、兄がマネージャーとなりそれを職業としていたが、嫌気がさしてやめてしまった。しかし突然リストラの憂き目にあってしまったジョージは、仕方なくまた兄と組んで死者と交信する仕事をせざるを得なくなるが。。。

 ロンドンの貧民街で、麻薬中毒の母と暮らす一卵性双生児のマーカス(ジョージ・マクラレン)とジェイソン。ある日、兄のジェイソンが突然の交通事故で死んでしまい、深い喪失感に襲われるマーカス。大好きな母も麻薬中毒治療センターに入る事になり、里親に預けらる事になるが、心を開く事ができず、死んだ兄と話したくてたまらずにインターネットで霊能力者を探し出しては接触するが、誰も彼も偽物ばかり。

 冒頭の津波シーンこそCGをフル活用してパニック映画並みの迫力で描かれています(公開中止も止むを得ないなと納得できるほど)が、その後はパリ、サン・フランシスコ、ロンドンでの三者三様の人生を、派手な演出もなく、奇も衒わずに、丹念にイーストウッドは描いていきます。
 それはストイックと言ってもいいほどで、死後の世界も逆光の中に死者のシルエットが浮かぶ程度のものですし、マット・デイモンの交信の仕方も、マーカスが出会う偽者の霊能力者とは対照的に、ごくシンプルな方法で行われます。この映画は死後の世界を面白おかしく見せる事が目的ではないのだという強い信念を持って演出しているのでしょう。

 ただそれだけに、やや冗長で中だるみしているきらいがないでもありません。いずれ3人がどこかで出会い、何かが起こるのだろうということは予想がつきますが、それまで多少我慢が必要な映画ではあります。まあそのあたりはイーストウッドを信用して辛抱強く見ていただくしかありません(笑。

 最後の舞台となるのはロンドン。3人がどういう風に出会い、何が起こるのか。決して派手な演出はありませんし、むしろやや物足りないほどですが、観終わった後でじわりじわりと感動が胸に沁みてくる演出となっています。イーストウッド自らが手がける音楽も、今回は非常に抑制の聴いた美しく静かな旋律で素晴らしい。

 「インビクタス」に次いで主演するマット・デイモン他、キャストも皆イーストウッドの意図に良く応え、死後の世界に関わるテーマでありながら現実世界での人間模様を違和感なく巧く演じています。ちなみにセシル・ド・フランスという女優さんは初めて見ましたが、とても魅力的な方ですね。

 というわけで、ストーリーテリングの面白さ、意外性やアクションといったいわゆるハリウッドらしさとは無縁の映画ですので、今回はやや冗長な分、好き嫌いは分かれるのではないかと思います。が、個人的にはイーストウッド映画にハズレ無し、と納得しました。

 津波のシーンはやはり見るのが辛い方も多いと思いますが、死という不可避な事実に向き合い、生というものの喜びを再発見するという、真摯なテーマの映画ですので、多くの方にご覧いただきたいと思います。

評価: B: 秀作
((A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)

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