2012/03/28

もやしもん (11)

もやしもん(11) (イブニングKC)
 もやしもんも早11巻目、第一巻で農大に入学した主人公沢木ですが、いまだに1年生で、本巻でようやく年の暮れを迎えようとしております。なんとスローな展開。ちなみにこの間、アニメと実写化で二回TVドラマ化されましたが、もうすぐ二回目のアニメ版が放映されるそうです。

『真冬にミスコン「ミス農大落とし」が突如開催されることに。
賭で金儲けを企む美里や謎の刺客を送り込む樹。男達の欲望と思惑を巻き込みながらノミネートされた6人の女(?)達!現ミス農大・武藤が王座を死守するのか、それとも新女王の誕生か!イブニング連載時に読者投票で新ミス農大を決める、という無謀な実験を行ったもやしもん。11巻は全編「ミス農大落とし」!!武藤、蛍、及川、中山、小坂、西野、みんな寒い中頑張ってます!!(AMAZON解説より)』

 今回の主たるストーリーは酒豪(酒乱?)武藤の暴走により始まった農大のミスコン選びなおし選挙「ミス農大落とし」。イブニング連載当時、現実に読者投票をして、新ミス農大を決定したという企画は新鮮ですが、単行本化された段階で読む私にはちょっとだるかったです。というか結城蛍同様、日本酒作りが遅々として進まないのでイライラしたりして。

 沢木が携帯で醸造蔵のオリゼーに進捗状況を聞くというネタがまあまあ面白かったのと、最後にやはり真打長谷川遥が登場したのとで、ちょっと溜飲は下がりましたが。

 今回の新キャラ、日本酒が見るのも嫌いな謎の女子高生西野の正体が、次号以降で明らかになりそう、という興味はありますが、まあとりあえず日本酒つくりに励んでいただきたい(笑。

 薀蓄に関しては、今回は日本酒とポリオワクチンというかけ離れた二つの話題がメインでした。日本酒に関してはストーリーの王道ですので文句なしですが、ポリオワクチンに関しては唐突な印象を受けましたし、作者もストーリーとは全く関係ないと断っています。いまだに生ワクチンを使っている日本の後進性にたいして一言言いたかったんでしょうね。詳しく知りたい方は是非お読みください。

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2012/02/29

Billy Bat 8 / 浦沢直樹

BILLY BAT(8) (モーニング KC)
 浦沢直樹のBilly Bat、早や8巻目に突入です。前巻ではケネディ暗殺事件という一大事件とビリー・バットの関わりをスリリングに描きながら、舞台が日本へ移ることを予感させました。本巻では予想通り、というか予想以上にスピーディに話が進み、いよいよ舞台は日本、過去の人物も次々と姿を現し、大きなうねりが紀伊半島のある一寒村へ収斂していきます。

『ケネディ大統領暗殺阻止に失敗し、失意の中のケヴィン。そんな彼を襲う奇妙なヴィジョン! ……四百年前の戦国時代、勘兵衛という名の忍者の、巻物を巡る戦い……その巻物を、月に運べと叫ぶ宣教師ザビエルの姿……コウモリの指令に従い、東京オリンピックに沸く日本を再訪したケヴィンは、ビリーバットの秘密、歴史を司る「蝙蝠の巻物」の謎を遂につかむのか!?(AMAZON解説より)』

 本作のハイライトの一つは、ビリー・バットが見える二人、百地家の末裔ジャッキー・モモチと本作の主人公ケヴィン・ヤマガタがついに出会うことでしょう。ジャッキーのコミカルな描写とケヴィンのますます陰鬱になる表情の対比、ジャッキーから「ダラスにいましたよね」と言われた時のケヴィンの驚きの表情など、浦沢直樹のツボを心得た作画は安心感があります。

 他にも、まるで二十世紀少年を再読するような東京オリンピックに沸く日本の情景、先に目的地に着いた謎の外人が起こす陰惨な連続殺人事件等々、まだクライマックス前とは言え、結構見所の多い巻だな、という印象を受けました。ファンにはうれしいことに元祖「ビリー・バット」作者雑風先生もついに登場しますし。個人的にうれしかったのは鈴木孫一の名前が出てきたこと。紀州の有名な武装集団雑賀(さいが)衆の頭領ですが、司馬遼太郎先生の「尻啖え孫市」という大変面白い小説の主人公になった人物です。興味のある方は是非ご一読ください。 

 そして、「巻物」の持つ具体的な意味が意外な人物のそれと知らない話によって示唆されます。二次元の兵隊1万人が三次元の人間一人にかなわないように、四次元を支配するもの、すなわち時間軸を支配できるものは歴史を支配できる。。。単純に言うとタイムマシンについて書いてある可能性が高いようです。って、ここに至るまでの目まぐるしい展開と白と黒のビリーバットの自在な出現により大体予想はついていた、という人は多いと思いますが。

 次号ではケヴィンとジャッキーがいよいよ目的地へ入り、佳境に達するのではないかと思います。楽しみです。

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2011/11/09

聖☆おにいさん(7)

聖☆おにいさん(7) (モーニングKC)
  イエス・キリストとブッダが現代の東京・立川で仲良く長期休暇をとっているという奇想天外な発想で、その日常を描いた漫画「聖☆おにいさん」の新刊です。もう早7巻目になるのですね。

『目覚めた人・ブッダ、神の子・イエス。下界での生活もすっかり板についてきた……というより、下界に馴染みすぎている“最聖”コンビの立川デイズ。「血の涙を流すマリア像」の秘話、天草四郎とイエスの涙なしには語れないやりとり……、などなど気になる話題盛りだくさん!! (AMAZON解説より)』

 今回もネタは盛りだくさん。ちなみに

両親ネタ: マリア様が氷川きよしファンで、処女懐胎のためキャンパスライフに憧れているだとか、泣くのをこらえると世界中のどこかのマリア像が涙を流すとか、ブッダの母が帰省してくるはずのブッダのために宮殿を買った、などなど

ゼウスネタ: 「ボカーン!」連発のゼウスのPVネタは最高。

ブッダの師匠のアーラーマ先生の卑屈ネタ

ムチリンダ君の脱皮進化ネタ

などが面白かったです。もちろんその他にもいつもどおり細かいギャグも仕込んであります。個人的にはアップル(知恵の実)のPCにイエスが感心するところ、ブッダが「ジーザス......!!」とつぶやくところなんか、笑っちゃいました。

 ということで絵もこなれ、話も安定して、安心して読めるようになった一方で、大きなネタはパターン化しつつあり、この先どれくらい続けられるのだろう?と、余計な心配までしてしまう第7巻でした。

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2011/08/10

Billy Bat (6)(7) / 浦沢直樹

BILLY BAT(6) (モーニング KC)BILLY BAT(7) (モーニングKC)
 書店でBilly Batの新刊が平積みされていたので早速手にとると、なんと第7巻!第6巻が出ていたのを完全に見落としておりました。ということで早速2冊読んでみました。

『第6巻:ケネディ大統領の暗殺をビリーに教えられ、歴史を変えようと試みるケヴィン。だが暗殺阻止の成功は、人類最大の悲劇を意味していた……!?

第7巻:ケヴィンが一身を犠牲にケネディ大統領を守れば、人類は本当の歴史より早く月に到達する? もし月に到達すれば、人類は予定より早く滅亡する? 奇妙な奇妙なビリーの予言にオズワルドはケヴィンの命を守ろうと奮闘!! そして明かされる暗殺事件の驚愕の真相……!?

(AMAZON解説より)』

 第6巻では過去に散発的に出てきた忍者編などのエピソードがようやく一本の糸につながり始め、ここに来てやっと伏線回収に入ってきたか、と結構面白く読めました。後半で日系少女のジャッキーと言うキャラが出てきますが、途中でセカンドネームが「モモチ」であると事が明かされると思わずゾクッと来てしまいました。

 一方で偽ビリーで巨万の富をなすチャック・カルキンなる男の正体も明らかになってきますが、本物のチャックに「君って本当は誰なんだい?」と問われるところなど、今後の展開にどのような役割を果たすのかまだ今一つはっきりとせず、興味をそそられるところです。

 さて、主人公ケヴィンはケネディ暗殺を阻止すべくオズワルドに接近します。コウモリの見える同士腹を割ってケヴィンはオズワルドを説得しますが、話の突拍子の無さにオズワルドは茫然。さて歴史は変えられるのか、というところで第7巻に突入します。

 というわけで、第7巻ではついにケネディ暗殺事件がメインになり、当時のアメリカの暗部が赤裸々に描かれます、といってもあくまでもフィクションで真相はいまだに藪の中なんですが。。。ビリー・バットという架空の存在と、ケヴィンの漫画を混在させつつの組み立てで、おそらくこれが真実なんだろうなと納得させてしまうくらい説得力のあるストーリー設定はさすが浦沢・長崎コンビですね。

 今後は三重県とおぼしき地点に眠る巻物をめぐってケヴィンとジャッキーが渡日するのでは?という展開が予想されますが、果たしてどういう方向へ物語を終息させていくのか、楽しみです。

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2011/04/04

もやしもん(10)

もやしもん(10) (イブニングKC)
 もやしもんの新刊が出ました。なんやかや言いつつ菌とヒトとの物語も、はや10巻目ですか、石川先生おめでとうございます。

『沢木の兄登場!
川浜の兄弟も!!
三度の農大珍道中とは!!!
(AMAZON解説より) 』

 今回のAMAZONの解説手抜きでないかい(笑?まあ一応途中まで何処の国にいるのか伏せてあるので、解説を書きにくいのかもしれませんね。というわけで、こちらはネタバレをさせていただきますがご了承ください。

 白ゴスフランス娘マリーを迎えに長谷川遥の財力を駆使して向かったのはアメリカ合衆国。食事は大味でまずい、冷凍食品を解凍する事が家庭料理、ハイカロリーでメタボ王国というイメージの定着した国ですが、さすがに国土は広く、市毎州毎で全く食事の特徴は異なり、美味しいものも結構あるよ、的薀蓄が今回も満載でございます。

 そういう薀蓄が好きな方には今回も十分楽しめますが、ストーリー的にはあっちへ脱線こっちへ脱線、石川先生も申して下りますが、リアル世界で沢木と結城が入学した年に農大へ入学した方は今春卒業しているのに、この展開の遅さは何?という気がしないでもありません。まあ突然の沢木兄の登場、川浜三兄弟(三つ子)勢ぞろい、更には白ゴス黒ゴスご対面~、とファンには十分楽しめるネタ満載ですけどね。

 最後に沢木が「帰ろう、農大が俺らの舞台だ」と宣言しますので、次号は本筋に戻るでしょう。「性別転換編」と予告されてるのが不安ですが(笑。

 さて、本巻で面白かったのは本編もさることながら、おまけにて石川先生がついに

「美里薫のビジュアルは笑い飯の西田をまんまパクった、怒られると思ってなかなか言い出せなかった」

と告白した事。ちなみに日吉酒店の息子はやっぱりケンコバさんだそうです。

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2011/01/28

BILLY BAT(5) / 浦沢直樹

BILLY BAT(5) (モーニングKC)
 第4巻のレビューで「Billy Batは裏・火の鳥か?」なんて珍説を開陳しておきながら、5巻が出たのを見過ごしてました(大汗。ちなみに発売日は昨年11月22日、この日はケネディ大統領暗殺の日です、凝った事しますね。

『オズワルドに最初に課せられた使命は、ケネディ暗殺を目論む男の暗殺!? 一方、大統領暗殺の歴史的事実を予知したケヴィンは、その歴史を変える方法をビリーから授かるが……!! (AMAZON解説より)』

 冒頭にポパイのパターンをビリーバットに置き換えた、毒にも薬にもならないいかにも子供向けのカトゥーンが登場します。さすが浦沢直樹、上手いもんです。
 当然ながらこれは主人公ケヴィン・ヤマガタのビリーバットではなく、彼が日本に滞在中に謎の会社に権利を買い取られ、アシスタントだったチャック・カルキンが描いた(これには本巻のラストで疑問が呈されますが)人気シリーズの一話。このシリーズによりチャック・カルキンは莫大な財をなし、ビリーバットは国民的アイドルキャラクターになっています。
 ケヴィンは帰国後この状況に愕然としますがどうしようもなく、ファンクラブのある西部の町で細々と自らのビリーバットを書き続ける。それも本物のビリーバットに悩まされ続けながら。そしてその内容は大統領暗殺を示唆したものだった。。。

 というところで前巻の最後の脱出劇につながるわけですが、ビリーバットの教える暗殺劇の場所はダラス。

 そのダラスに転勤のため車で向かうカップルが一組。以前登場した白人男性と黒人女性の夫婦です。当時はマーチン・ルーサー・キング牧師を中心とした黒人公民権運動のさなかで、彼らが旅するディープサウスは当然ながら危険極まりない地帯であるわけで、彼等もKKKの黒人リンチに遭遇し、大変な苦境に立たされます。

 そして、前巻からダラスに滞在しているオズワルド。本巻の時点ではまだケネディを崇拝しており、彼もビリーバットに悩まされています。

 そのようなわけで、いろいろな時代場所を描いてきた本作も少なくともアメリカ編ではケネディ暗殺の起こるあの年のダラスに向かって収斂しつつあります。この先どのような展開が待っているのか、次作が楽しみです。願わくば凝りすぎて展開が遅くならないよう、浦沢・長崎両氏にはお願いしたい(笑。

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2011/01/03

聖☆おにいさん(6)

聖☆おにいさん(6) (モーニングKC)
 クリスマスイブという絶妙なタイミングで出た「聖☆おにいさん」の第六巻です(今頃かよ^^;)。

『目覚めた人ブッダ、神の子イエス。世紀末を無事に越えた二人は、東京・立川でアパートをシェアし、下界でバカンスを過ごしていた。近所のおばあちゃんのように、細かいお金を気にするブッダ。衝動買いが多いイエス。そんな”最聖”コンビの立川デイズ。

目覚めた人・ブッダ、神の子・イエス。相変わらず絶好調に神々しい、”最聖”コンビの立川デイズ。『主に愛された弟子』って……? 天界の誰もが夢中になるスポーツって……? ブッダとイエスのカラオケの選曲って……? 気になる話題、盛りだくさん!! (AMAZON解説より)』

 相変わらずの説明無しの宗教ネタ、でもマンネリと言うよりは安定飛行にはいった感じで、面白い、と思う人には安心して読んでいられます。アマゾンのレビューにもありますがユダの自虐ネタとか定番もできていますし。

 今回面白かったのは弁才天さんが「HIGAN MUSIC FETIVAL」のために下界からスカウトしたバンドメンバーが

カート・コバーン
ジミ・ヘンドリックス
ボンゾ
(ジョン・ボーナム)

だったと言うネタ。いまだにカルト人気を誇るカート・コバーンのファンが怒るぞ、という意見もありますが、まあバンド名が「Nirvana(涅槃)」でしたからね。御粗末なオチですがこの辺で~。

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2010/12/15

のだめカンタービレ#25

のだめカンタービレ(25) <完> (講談社コミックスキス)
 以前のだめは完結したと書きましたが、まだでした(大汗。この巻をもって本当に完結でございます。

『カプリチオーソ(気ままに気まぐれに)、カンタービレ(歌うように)。不思議少女・野田恵(のだめ)のクラシック音楽コメディ!!

初のオペラに挑戦する千秋。問題を抱えたまま公演当日を迎えるが……魔法のような奇跡が……? 「のだめオペラ」のフィナーレとともに、ついに「のだめカンタービレ」完結! コミックスのための描き下ろし16P収録も収録、充実の最終巻デス☆ (AMAZON解説より)』

  前巻から「オペラ編」として日本の素人歌劇団で「魔笛」をやる話が始まっておりました。何とが演出、そしてオケを振るのは千秋。プロアマ入り混じった出演者と久々のR☆Sオケに悪戦苦闘、というのはデ・ジャブのように見慣れた光景。
 今回も本番前日まで千秋は悩みまくりますが、の秘策により、見事解決、奇跡的に大成功を収めます。安直といえば安直ですが、ついに千秋のだめの共演がかなうのですから、まあうれしいファンサービスと受け取っておきましょう。

 その間にのだめの日本初ソロ・リサイタルも描かれます。タイトルが何と

「疾走するキラメキ ONE WAY LOVE」

 見事なネーミングセンス。ちなみに入れ知恵したのはやっぱり。。。今後演出家としての道を進んでいく彼に幸あれ(笑。そしてセットリストは

モーツァルト ピアノ・ソナタ第13番変ロ長調
ドビュッシー 「前奏曲集」第一集より 音と香りは夕暮れの大気に漂う
        亜麻色の髪の乙女

ショパン ピアノ・ソナタ第三番 ロ短調op.58

アンコール

ショパン エチュード「黒鍵」
ジョプリン メープル・リーフ・ラグ
サティ ピカデリー
ドビュッシー ゴリウォーグのケークウォーク
ガーシュイン 3つのプレリュード、ラプソディ・イン・ブルー

 本番では登場人物全員を感動させるのだめですが、皆さんお分かりのようにアンコールで案の定調子に乗って変態的暴走するのだめ、きっちり千秋には呆れられ、ホールからは苦情が、というお決まりの展開。これも最後の読者サービスでしょうね。のだめのメープル・リーフ・ラグは聴いてみたいです。

 そう言えば久々に夢☆クラの佐久間うざい華麗なモノローグも炸裂。のだめの弾くドビュッシーの前奏曲を聴いて

おお......!この音はまさにパリの夕暮れに漂う少しアンニュイな大気のフレグランス

続きは是非本で読んでください。

 そしてオペラ編最後にはついにのだめの指に輝くリングが。。。

その報いとして
美と叡智とが
永遠の王冠となって輝く(魔笛より)

 番外編としてターニャカンタービレがついております。そして二ノ宮先生の

みんなこれからもさらに修行なのね。
がんばれよ。
わたしもな......。
そう思いながらペンを置きました。

というお言葉にしみじみとしながらのだめ完結。クラシックを身近なものとして日本中に浸透させた功績は大変大きなものがあったと思います。お疲れ様でした。

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2010/08/09

Billy Bat (4) / 浦沢直樹; 裏・火の鳥説開陳の巻

BILLY BAT(4) (モーニング KC)
 このブログで毎回取り上げている浦沢直樹の「Bliiy Bat」の新刊です。日本の黒い霧事件で幕を開けたこの物語も時代をポンポンと飛び越えて再び近現代史の時代へ戻り、当初の主人公であるケヴィン・ヤマガタが帰ってきました。それもただの漫画キャラであったはずのBilly Batに取り憑かれた悲惨な姿となって。。。

『時は1960年代、アメリカ黄金期──夢のテーマパーク『ビリーランド』でビリーバットの着ぐるみに入り、毎日黙々と仕事をする男。自分が何者なのか、何になるかすらわからない“自分探し”途中の男。彼の夢は、みんなに愛されること。彼の夢は、いつか偉大な英雄になること。そんな彼の前に現れた本物のビリーバット。ビリーにいざなわれ、彼の人生に転機が訪れる……。彼の名はオズワルド。 (Amazon解説より)』

はむちぃ: と言うわけで今回の主人公はリー・ハーヴェイ・オズワルド様でございます。
ゆうけい: おや、はむちぃ君、呼びもせんのになんで出てきたんじゃ(?_?)
は: 匿名特命にてございまする。
ゆ: いくら前巻が忍者編だったとはいえ(^_^;)、まあよろしかろう、話を続けるぞよ。

は: ははっ、ではオズワルド様の説明をいたしましょう。ご主人様の世代ならリアルタイムでご存知でございますが、
ゆ: これこれはむちぃ君余計な事はイワン・ツルゲーネフ
は: おおっ、「イワンの馬鹿」の母国で新ネタを。。。って、話が進みません(-_-;)、若い方でも歴史読み物で知らぬもののない名前ですね。アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・ケネディ暗殺の実行犯とされる人物でケネディ暗殺直後ジャック・ルビーによって射殺されました。
ゆ: その経緯のあまりの不自然さに利用されただけではないか?と言う疑念の消えない人物ですが、2039年までその真相はわかりません。
は: そのギャグは落合信彦ファンにしか受けません(--〆)。
ゆ: スマソ、マリ~リ~ン♪(本田美奈子風)

は: そのオズワルドですが、1957年に日本の厚木基地にいてそこでロシア語を学びそのままソ連に亡命した経歴の持ち主なんですね。
ゆ: 本作における下山事件の時の登場人物が本作でもちょっと顔を出すんですが、

「ああ......あんたもニ、三度見かけた事があるよ」(うつむきながら)

「銀座と厚木基地でね」(ジロッと眼鏡の奥からオズワルドをみつめて)

この1ページを割いて描いたシーンはちょっとゾクゾクしましたね。

は: さて、本巻ではダラスまで至らずに終了しますので第5巻が楽しみでございますね。
ゆ: 引っ張りますね~、とみせかけて、全然違う時代へとぶかもしれませんけど(笑。その辺、ファンがついていくのも大変で、描いている浦沢直樹本人(及び長崎尚志)には全貌が見えていてずっと話がつながってはいるんでしょうけど、読者のうちにはもう飽きてきて離れていく人もいるのではないかと心配な感じもします。

は: ご主人様もちょっと今回は退屈そうでしたね。
ゆ: 途中で一回投げ出したからね。。。でもふと思いついた事があるんだ。
は: はて、それは?
ゆ: この前友人とおしゃべりしてて、ひょいと手塚治虫の「火の鳥」に話が及んでね、その時にあっ、と思ったんだ。

Billy Bat」は浦沢版「裏・火の鳥」ではないか

ってね。
は: 確かに浦沢直樹様は手塚治虫氏の熱心なファンでおられて、「鉄腕アトム」のリメークまでされましたからね。しかし、「Billy Bat」と「火の鳥」の共通点とは?
ゆ: どちらも空を飛べるはず~♪
は: 。。。。。(--〆)
ゆ: まあそんなにカリカリしなさんな、はむちぃ君、私が前回のレビュー

「Billy Batはファウストのメフィストフェレスのようだ」

と書いたのを覚えているだろう。
は: はい、確かに「人の心の弱さにつけこむまるでファウストのメフィストフェレスのような道化回しを使えば長崎x浦沢コンビであればどの時代ででも自由闊達なストーリー展開が可能でしょうけれども」とお書きになっておられます。
ゆ: とするとね、

火の鳥 = 絶対的善 ⇔ Billy Bat = 悪魔

どちらも様々な時代に登場する

その時代の大事件に関わる

という共通項から考えて、「PLUTO」が「鉄腕アトム」へのオマージュだったように、この作品も実は「裏・火の鳥」としてやはり手塚治虫にこだわっているんじゃなかろうか、と思ったわけなんですな。

は: なるほど、ではそうなりますといくらでも大風呂敷を広げる事が可能で、却って前回の

「広げた上でどの時点に収斂させていくのか、今後の展開がちょっとまだ読めない」

という心配がますます問題になってきますね。
ゆ: ケヴィン・ヤマガタに収束させていくなら、まあこの話の終わりも近いのかなとは思いますが。あとは浦沢・長崎コンビの気力がどこまで持つか(苦笑、ファンとして見守りましょうか。ではご苦労であったぞ、特命羊君、忍者の修行に熱中するあまり熱中症にかからないでくれたまへ。
は: ベタなギャグではございますが御意にござります。常連の皆様方も暑さ厳しき折柄くれぐれもご用心くださいませ。

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2010/07/11

もやしもん9

もやしもん(9) (イブニングKC)
もやしもん(9) (イブニングKC)
 今日は参院選ですが、「」についての論戦はついぞ聞けませんでしたね。と言うわけで農漫「もやしもん」の第9巻です。TV実写ドラマ化を見損ねた~(涙、と後悔しつつ早く読まねばと思っておりましたがちょっとした事情で読む暇が無く、やっとのレビューでございます。

 著者渾身のビアフェスタが全編を占めていた第8巻で疲れ果てたのか、今回は「もやしもんにみせかけたアレの回」という、漫画界特有の「減ページ」現象で始まります(笑。とはいえ、第99回からは怒涛の薀蓄シリーズが展開されます。

 お茶に絡めてのヨーロッパの植民地主義、日本の農業の目に見えぬ実情とエコを謳う消費者のエゴ、食糧自給率のカラクリ等々、「美味しんぼ」もかくや、と思わせるほどの薀蓄解説の数々に辟易された方も多いのでは(笑。でも、一々もっともな事ばかりです。私の家内の実家は農業もしていますが、義弟が

「農薬無しで作れと言ってるやつは自分でやってみりゃええんや、絶対に出来るわけない」

と常々こぼしております。

 後半はいよいよと言うかやっとと言うか、ついに日本酒造りが稼動し始めます。次号が楽しみです。というとブリッジみたいな巻に聞こえますが、菌たちが活躍してくれるので結構楽しんで読めました。
 それと今回の裏主人公は長谷川遥。超のつくモチカネお嬢様の実態が次々と明らかに。

ストーブを知らない
カップラーメンを食べたことがない
「4LDKの中に階段があるなんて面白いご実家ね」とのたまった

う~ん、さすがだ(笑。

 というわけで次号はいよいよ日本酒造りが佳境に入るものと思われますが、それに加えて嵐の予感。フランス編で大活躍した白ゴスマリーが何だか分からないトラブルに巻き込まれつつ日本を急襲、と言うか、黒ゴス結城蛍と沢木を巡っての火花を散らす争いが起こりそうな悪寒(^_^;)。楽しみですね。

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