2009/12/22

Billy Bat 2 / 浦沢直樹

BILLY BAT 2 (モーニングKC)
 ちょっと紹介が遅くなってしまいましたが、浦沢直樹のBilly Batの第二巻が出ています。「20世紀少年」「21世紀少年」を描き終えた浦沢氏が次に取り上げたのは「戦後日本の黒い霧」と言われた下山事件である、と前回第一巻の時に説明しましたが、第二巻に入ってとんでもない展開になってきました。

『六十年前、戦後最大の闇の中を跋扈し、二千年前、救世主と信じられた男の運命を紡ぐ......。そして五十年前のニューヨークでは、恋人たちに光をもたらす......。
 果たして謎の漫画、ビリーバットの正体は!?人類にとってその存在の理由は!?(帯より)』

 出だしは前回の続きから始まり、日本に来た「Billy Bat」の作者ケヴィン・ヤマガタが引き続き三鷹事件にも遭遇するあたりまでは何の違和感もなく読めましたが、その後いきなり話は2000年跳んでユダの裏切りによるキリスト処刑の場面となり、続いて人種差別の激しかった50年前のニューヨークでの白人金持ち男性と黒人労働者女性のラブ・ストーリー、それでほろりとしたと思ったら、息つく暇もなく次は日本の戦国時代、織田信長による伊賀攻め間際に密書を託されて逃走する忍者。。。。。

 もうめまぐるしい展開で、先の予想が全くつきません。20世紀少年の次は堅実な歴史ドラマかと思いきや、それ以上の破天荒なストーリー設定です。まるで20世紀少年で謎解きゲームに熱中した一部ネット・マニア層に挑戦状を叩きつけているかのよう(笑。

 とにかく全てのシーンに登場するのは謎のアニメキャラクター、ビリーバット。最初は単なるこうもりを擬人化したアニメキャラの真の作者探しと日本の黒い霧を絡ませるだけかとだと思っていたら、何とかも知れないとはねえ。闇の中から人類の歴史のあらゆる場面を見続けてきたこのアイコンは一体何物なのか、とにもかくにもぐだぐだにはならないできっちり落とし前をつけてくださいね、浦沢&長崎先生!

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2009/12/08

のだめカンタービレ #23

のだめカンタービレ #23 (講談社コミックスキス)
  のだめの第23巻にして最終巻です。第22巻のレビュー

「第21巻のレビューでのだめももうそろそろ終わりかなと書きましたが、見事予想は外れまして、まだまだ続くようです。」

と書きましたが、またまた予想が外れましてあっけなく第21巻の予想通りとなってしまいました(笑。まずは二ノ宮先生にお疲れ様でした、と申し上げます。ちなみに表紙楽器は最後の最後に満を持してピアノです。

 さて内容ですが「フィナーレにふさわしい」、、、とはとても言い難いですね。思いのすれ違うのはこれまでの千秋とのだめの常ですが、前回から引き続いて千秋が悩み過ぎで、展開が重かったです。一方ののだめは、あっさりパリへ戻ってきます。おまけに寝過ごしてベルギーまで行ってしまう能天気さ。寝過ごした先でイジイジしててもあまり同情する気になりませんでした。

 で、帰ってきていきなりヤドヴィとインタープレイ。ヤドヴィって誰よ、ってツッコミは多くの方が入れたと思います(笑。そこから子供好きエピソードが延々と続き、こいつをパリまで連れてきたのは間違いだったのか、と千秋を益々悩ませるわけですが、千秋、そこまで悩む必要はないよ(苦笑。

 で、のだめが子供に煽られて本気出して弾くのが「あのベートーベン」、晩年の大作ピアノソナタ第31番変イ長調。。。こんなもん子供相手に本気出して弾くか(笑。千秋は迷いをふっきりのだめをニナ・ルッツ邸に連れていき、二人で初めて演奏した思い出の曲モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」をもう一度二人でやってみよういう勝負に出ます。ミルヒーとロンドン響との競演を成功させたのだめと、未だにドサマワリオケの千秋とでは昔と完全に立場が逆転しており、のだめは

「先輩のサビついたピアノじゃあ」

と上から目線で受けて立ちますが。。。

 まあこの辺が最終巻のクライマックスですが、長々と続いた「パリ編」を締めくくるにはあまりにもショボい展開でした。

 二人が別の道を歩んで行くであろうと言う予想は当たったものの、結局オケでの共演は一度も無し。こんだけ引っ張っておいて一度も無しと言うのはあんまりじゃあ。。。せめてR☆Sオケででもやってくれよ(笑。

 ということで一応ハッピー・エンドではありますが、こんな終わり方をするなら個人的には大川での再会で終わっていたほうがこの漫画は良かったのではないかと思いましたね。

 おまけでスタッフ紹介を兼ねた特別編がありますが、まあ読者向けと言うよりはスタッフへのねぎらいでしょう。時々背景に出てくるガンダムネタが誰の所業か分かったくらいですかね、面白かったのは。

 ちなみにベートーベンの31番はしつこいようですがこれが一押し(^_^;)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番&第31番&第32番

 モーツァルトの2台のピアノは、まあベタですがアルゲリッチ&ラビノヴィチでしょうか。

モーツァルト:2台と四手のためのピアノ作品集

 とりあえずのだめ完結をお祝いしようという方、記事をお気に召した方はポチッとお願いしいますm(__)m

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2009/08/12

のだめカンタービレ #22

のだめカンタービレ #22 (講談社コミックスキス)
 もう一丁コミックスネタを。今回は拙ブログ・レギュラーコミックに戻りまして、のだめカンタービレ・第22巻です。第21巻のレビューでのだめももうそろそろ終わりかなと書きましたが、見事予想は外れまして、まだまだ続くようです。ちなみに今回の表紙は再び楽器路線が復活し、のだめがシンバルを叩いております。

『 「楽園か奈落か。のだめ、運命の舞台へ!」

Ruiと千秋のコンチェルトに衝撃を受けたのだめ。絶望の淵で差し出されたシュトレーゼマンの手を取るがー。運命に導かれるかのようにデビューを飾ったのだめを待っているものは!?そして、のだめを見守るしかない千秋の胸に去来する思いは・・・・・・。
(帯より)』

というわけで今回の主役はようやくというか、ついにというか、のだめです。ミルヒー(シュトレーゼマン)の4年越しの深謀遠慮(笑)により、ついにロンドン公演でデビューします。これが本巻のハイライト。曲はもう直球ど真ん中勝負

ショパン;ピアノ協奏曲第一番 ホ短調

いや~べたですな。リハーサルでオケ団員をうならせ、ミルヒーに遠慮会釈なく注文を出し続けるのだめ。このあたりは今までのミルヒーとの付き合いの長さの強み(苦笑。そして本番では、第一楽章のピアノの入りを思いっきり遅く始めてオケ団員を戸惑わせるのだめ。マネージャーのエリーゼ

「なに、今の ”あんたならどーにかできんでしょ”的態度 あの小娘、うちの巨匠をつかまえて 」

と言わせるのだめ。そして千秋には

「やっぱりのだめはのだめだ 飛んだりはねたり それでも前みたいにはちゃめちゃじゃない ちゃんと破綻しないようわかってやってる そして一音一音の美しさ こいつの音楽の強さがあっという間に人を引き込んでいく」

と言わしめるのだめ。そして終了後の控え室でミルヒーに

「づがれだ~ ひ・・・ぃぃ 死ぬかと思ったぁ ひどいよぉ のだめちゃん この歳でこんな目にあわされるなんて・・・・・・ 生きててよかった・・・・・・」

と独り言ちさせるのだめ。オケとの共演は初めてにもかかわらず、これだけの事ができたのはずっと千秋に寄り添ってオケを見てきた経験があるからだ、とミルヒーは解説しております。

 と、ここまではよかったのですがこの後がだるい(苦笑。千秋との面会を拒否したのだめはその後失踪し放浪の旅に出ます。一方の千秋はひたすらイジイジしております。立ち直るにはどうも犬猿の仲の親父が出てくるしかなさそうな気配で本巻を終わります。。。まだ続くんかよ(^_^;)。さっさとお互い独り立ちするかくっつくかしろよ~と思いつつ、やっぱり次巻も買うんだろうな~。

 で、ショパンのピアノ一番でゆっくりといえばやっぱりこの人でしょうか?

ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番

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2009/08/11

Billy Bat 1 / 浦沢直樹

BILLY BAT 1 (モーニングKC)
 拙ブログのコミックスのカテゴリーもそろそろ新ネタを、と思っておりましたが、やっぱり浦沢直樹になりました(大汗。Plutoの終了とほぼ同時に刊行された「Billy Bat」です。「20世紀少年」と同じく昭和が舞台ですが、時代は少し遡り、「Pluto」の原作者手塚治虫が新・宝島を描いていた頃、占領軍支配下の日本が舞台となっています。そして驚いた事に本作は戦後日本の三大謀略事件の一つ、下山事件をメイン・テーマとして扱っています。

『1949年、アメリカ──『スーパーマン』『ワンダーウーマン』に並ぶ人気漫画『ビリーバットシリーズ』を描く、ケヴィン・ヤマガタのもとに、彼が描くキャラクターと同じものを以前日本で見たという情報が入った。ケヴィンはその真偽を確かめるため日本へと渡る──

浦沢直樹と長崎尚志の強力タッグがつむぐ、最新作!
コウモリが歴史の深淵を照らし出す── (公式HPより)』

 時あたかも占領軍と第3次吉田内閣により100万人以上の労働者切りが画策されていた時代で、労働組合の抵抗運動が盛り上がるとともに共産党勢力が急進していた時期でした。そのような時代背景の中で下山・三鷹・松川事件が起こります。

 個人的な思い出になりますが、私の中高時代の政治経済の先生は弁護士を目指されており(実際その後弁護士の資格を取得されました)、冤罪事件の講義には特に力を入れておられました。ですから教科書とは全く関係なくこの三大謀略事件に関して熱のこもった授業を展開されたのを覚えています。結局この三大事件は

「組合・共産勢力の台頭を防止・後退させるための占領軍を中心とした陰謀」

の可能性が高いという見方が一番有力であるものの、その真相は21世紀の今に至っても「黒い霧」に包まれています。そのあたりを浦沢・長崎コンビがどう切り込んで行くのか、第一巻はとてもスリリングな導入部となっています。
 特に第一話に於いて、主人公ケヴィン・ヤマガタ(レイチェル・ヤマガタとの関係は?(笑))の描くハードボイルド・コミックを楽しませた後、結末付近で現実世界に戻り、ケヴィンが編集者からの電話に

「すべてソ連のスパイのせいっていうのはいくらなんでも」

とこぼし、それに対して編集者が

「今日びなんでもかんでもソ連のせいにしとけばオッケーなの」

と返すところなどは、その頃の赤狩りのバックグラウンドを説明するとともに、このストーリーの展開を暗示していて秀逸です。

 そして日本に渡ったケヴィンは早速謀略の渦に巻き込まれ、下山国鉄総裁轢死事件が引き起こされ、彼が容疑者とされてしまいます。さて、その先の展開は、というところで次巻以降が楽しみではありますが、事件の複雑さと今なお解明されていない謎の多さに鑑みて、浦沢、長崎の二人の作者にはかなりの困難な作業となる事が予想されます。それでもこの事件を扱いたかった理由として長崎尚志氏は先日新聞紙上で

「戦争の記憶が風化していく事に危機感を感じている」

と述べていました。その志を貫いて是非とも良い作品に仕上げてもらいたいものです。なお、三大事件に関して予備知識のない方は松本清張の「日本の黒い霧」を先に読まれる事をお勧めします。

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2009/08/03

もやしもん8

もやしもん 8―TALES OF AGRICULTURE (イブニングKC)
 拙ブログのコミックス・レビューのレギュラー、「もやしもん」の新刊です。表紙は新キャラの加納はなちゃん27歳とビール酵母のS.セレビシエ君です。8巻に至っても主人公の沢木直保はまだ一度も表紙を飾れません。しかもはなちゃんの登場によって身長詐称疑惑までも勃発(笑!一方の結城螢(男)はますますその美貌とコスプレに磨きが。

 わざわざビール酵母と書いたように本巻は全編ビールがテーマとなっております。まるでビールのために一冊書き下ろしたかのようで、夏の出版にはぴったりですね。とかいいながら、お酒の飲めない私には最初の展開はやや重くてかったるかったです。が、途中から俄然熱気を帯びてきて最後は怒涛のビール・フェストが展開され、過去最高の盛り上がりを見せてくれました。著者も相当の入れ込みようで、最終話では担当さんが

「今回の原稿には本当に驚かされました。たった独りで全部描いてるんですよ」

と欄外コラムで述懐しております。そこに出てくる地ビールを中心とした日本中のビール会社への呼びかけにも熱がこもっております。思わず先日のマーラー7のアンケートを思い出しました(笑。

 さて、今回の主役はミス農大にして無類の酒豪武藤葵と地ビール会社の社員加納はなさん。地ビールに偏見・反感を持つムトーと、地ビールを広めたいはなちゃん。この二人の対比が核とはなるのですが、美味しんぼ風の単純な対決的ストーリー構成にはならないところがもやしもんの良さでしょう。ビールも酒も飲めない私がそれなりに引き込まれるんですから、ビール好きの方ならきっと「笑って」読了できると思います。

 気になるのは日吉酒店店主菊二

「おめー本当に樹慶蔵の子供かね?」

とムトーに尋ねているところ?えっ、そんな設定あったっけ?と、ますます謎は膨らみつつ、連載開始から4年経ってようやく11月に至った超ノンビリ漫画はまだ続く。。。多分。

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2009/06/28

PLUTO 8 / 浦沢直樹

PLUTO 8 豪華版―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (ビッグコミックススペシャル)
 浦沢直樹+長崎尚志手塚治虫の「鉄腕アトム 地上最大のロボットの巻」をリメイクした「Pluto」がついに完結しました。先ずは浦沢・長崎両氏とスタッフの皆様にこれだけの作品を世に出した事に対して深い敬意を表します。お疲れ様でした、そしてありがとうございました。

 ほぼ一巻につき一人(一機)の精鋭ロボットが謎の最強ロボット・プルートゥと対決して斃れていき、最後に残された希望がアトムでした。そのアトムが本巻でついに復活し、最後の対決に挑みます。
 更には深い謎に包まれていたアブラーゴジの関係、ボラーの正体、そして熊のぬいぐるみの正体などが次々に明らかとなります。

 もうこの巻で決着をつけるという気概で一気に突っ走ってしまった為か、拍子抜けするくらいあっさりと手のうちをばらし続け、ストーリーも落ち着くところに落ち着いてしまいます。アトムプルートゥの能力をはるかに凌駕している事、そして単に勝負に勝つような結末にはならない事は当然予想できましたが、それにしてももう少しアトムに活躍して欲しかったなという思いはありますし、おそらくそのような批判があちこちで語られる事と思います。
 しかし全巻を振り返ってみますと、そのような瑕疵を認めた上でなお新たなアニメの金字塔と呼んで差し支えない傑作が誕生したとの思いを強くします。

 浦沢直樹(+長崎尚志)がストーリーテリングの上手さ、作画の質の高さにおいて「地上最大」レベルにある事はあらためて述べるまでもありません。
 それに加えて手塚治虫氏が鉄腕アトムに託した原初的なテーマを敷衍させ、究極のロボットが持ち得た感情を通して人間の尊厳を正面から問いなおす本作品の哲学性は凡百の小説を凌駕していると評価しても決して過言ではないでしょう。
 全8巻といえば彼の作品では短編の部類に入りますが、先日紹介したカズオ・イシグロ短編集チェーホフ的とするならば、骨太の構想と雄弁な文章で哲学を語っている点に於いてこの作品はトルストイ的長編であると思います。

 そこまで言うかと思われる方も多いとは思いますが、未読の方は完結したこの時期を機会に是非ご一読いただき、感想などたまわれば幸いです。

Pluto
 では鎮魂の意味もこめて斃れていったロボットたちの名前をここに記しておきましょう。写真左より

スイスの森を愛していたモンブラン
音楽を愛していたノース2号
家族をこよなく愛していたブランド
一人おいて
ブランドと強い友情で結ばれていたヘラクレス
花を愛し祖国の緑化をを願っていたサハド=プルートゥ
戦争に反対し徴兵拒否までしたエプシロン

そして今回の主役であった、

GESICHT
Der Gröβte Roboter Europas
- Er War Polizist -
stark im Kampf für den Frieden der Menschheit

ゲジヒト
人類平和のため屈強に戦った、ヨーロッパで最も偉大なロボット警察官

(漫画中の墓碑銘より、ゆうけい意訳)

最後に史上最強のロボットとしてただ一人生き残った

アトム

に敬意を表して「Pluto」シリーズのレビュー終了です。

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2009/02/21

PLUTO 7 / 浦沢直樹

PLUTO 豪華版 7 (ビッグコミックススペシャル)
PLUTO 豪華版 7 (ビッグコミックススペシャル)
 浦沢直樹手塚治虫の鉄腕アトム「地上最大のロボットの巻」のリメークに挑戦したPLUTOの7巻が出ました。前巻では、この作品の主人公として扱われていたゲジヒトがついに斃れ、残されたのはエプシロンのみ。と言うわけで当然ながら本巻はエプシロン対プルートゥの対決が中心となります。そして次巻が最終巻である事がはっきりと予告されています。

 予想通り、エプシロンの能力はプルートゥをはるかに凌駕しています。一旦は勝利を収めるエプシロンですが、予想通り、彼の優しさが、、、後は伏せておかないと浜村淳症候群(関西限定ネタ)になっちゃいますね(笑。一つだけ本巻の見所を挙げておくと、今まで竜巻の中に隠れていたり、暗闇に潜んでいたりしていたプルートゥの全貌が明らかになります。また、ボラーが一瞬その巨大な姿を垣間見せます。

 そして何十億という人格をシミュレートしながら眠り続けるアトムゲジヒトの意識が、そしてエプシロンの意識が降り注ぎ、ついに本巻の最後で覚醒します。

 アトムプルートの最後の対決、そして最後まで残されたボラーの謎の二点を中心に次巻は展開し終焉を迎えます。ちなみにウランがピノキオを作ったゼペット爺さんも操り人形であると、興味深い手がかりを呟いていました。

 豪華版の別冊付録「PLUTO設定画集」では、浦沢直樹と長崎尚志が対談していますが、拍子をめくるといきなり

「早く終わらせたくてしょうがないんです」

の文字が(笑。そして対談中でこれがプレッシャーが少ない方であるはずの長崎氏の台詞であると知って二度ビックリ。手塚治虫作品に挑む事の大変さが良く分かりますね。でも

「ちゃんと終われそうなんですよ(笑。それがかなりのプレッシャーだったんですけど多分きれいに終われるかなと。」

と言うことですので、浦沢版「鉄腕アトム」は二十世紀少年のような腰砕けはなく、彼の代表作の一つになるでしょう。楽しみです。

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2008/12/28

もやしもん(7)

もやしもん 7―TALES OF AGRICULTURE (7) (イブニングKC)
 少し遅くなりましたが、「もやしもん」第7巻が出ました。限定版 ~nano~ 買い損ねましたが、東京の息子はしっかりゲットしてナノブロックを組み立てたそうです。ちなみに『もやしもんDS』'09年発売決定、だそうです。久々にゲームやるかなっ!(^^)!

 閑話休題、前回で「フランス編」は終了し、長谷川遥(超モチカネの娘でS的ファッションのタカピー院生)と美里薫(笑い飯の西田そっくりのキャラで貧乏2年生)以外はもうすっかりフランスでの騒動をひきずらずに「日本編」に戻っております。

 今回はいよいよ発酵蔵が稼動し始め、味噌醤油みりん泡盛等々の作成方法がこれでもかと語られていきます、樹教授が復活したため、その薀蓄の字数は脅威的でコミックスの域を超えてますね(爆。あっ、そういえば書籍も重くなってきましたので「コミックス」のカテゴリーを作って分割させました。まあ、セレビシエ君がポンッ、と胞子を飛ばしたようなもんだと思ってください。

 ところで、「しょうゆ・みその主な仲間たち世界地図」のところでしょっつるなどに混じって「いかなご」が入ってました。え~、いかなごは釘煮だろ?、と訝って調べてみたら、なんと香川県に「いかなご醤油」と言うのがありました。へえ~(x20回、古)

 もちろん、薀蓄だけでなく、謎の穴が登場したり、沖縄から「日焼け蛍」こと金城優がやってきたり、まあ色々とにぎやかです。ちなみに金城優は女性です、蛍は今ゴスロリ女装してますが男です、この辺が読んでて非常にややこしい(笑。

 菌たちは菌たちで、腸内フローラ世界で三国志の三国鼎立をやっとります。こっちの方をもうちょっと増やしてほしかったです。菌たちも冒頭で本巻は丸ごと内フローラが舞台だと言ってて、作者も「背景がチョー楽だ」と言ってたのに(^_^;)。

 それにしてもラストシーンでジジイ3人が佇む湖は一体何?次巻にご期待、ってとこですか、それにしても絵柄じじむさいし(^_^;)。

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2008/08/21

のだめカンタービレ #21

のだめカンタービレ #21 (21) (講談社コミックスキス)
 のだめの新刊が出ました。早や21巻ですが、表紙カバーで楽器を演奏していないのは記憶に無いですね、ついにネタ切れ?、それとも新路線でしょうか?

 今回のハイライトは前巻からの続きでラヴェルのピアノ協奏曲ト長調です。この曲については前巻で紹介しましたのでリンク先をご覧いただければ幸いです。のだめはこの曲を聴いて是非千秋と一緒にやりたいと切望しますが、運命の皮肉か、千秋は既に女性ピアニストのソン・ルイとこの曲で競演する事が決まっていたのでした。ちなみにソン・ルイも千秋に恋心を抱いています。

 さて、私は数多いのだめのキャラの中で、このソン・ルイが一番好きです。だから本巻では、ソン・ルイがどういう風に演奏するのかに最も興味がありました。
 結果は想像どおり、もともとの自分の才能・努力に加えて、のだめにインスピレーションを得た素晴らしい演奏となりました。出来れば若い頃のアルゲリッチのように演奏すればいいなと思っていましたが、あたらずと雖も遠からずの、奔放でつきぬけた演奏が聴こえてくるようでした。

 だからここまでは楽しく読めました。問題はのだめですね。千秋&ルイが自分がやりたかった、そしておそらく今演奏することのできる以上の完璧な演奏をしてしまったため、完全に落ち込んでしまいます。そしてその後の千秋へのアプローチが解せない、というか情けなかったです。女心が分からんのだと言われればそれまでですが。

 結局巻全体を通してみると二宮先生が満を持して描いたラヴェルをメインにしているにもかかわらず、最近で一番面白くなかったといえば言い過ぎかもしれませんが、煮え切らないなあという不満の残る巻でした。

 ひょっとしたら意外に早く、千秋とのだめは別の人生を歩んでいくかもしれません。つまりそろそろのだめカンタービレも一旦終了が近いのかなと思います。個人的にはもうここまで来るとそうなった方が良いんじゃないかとも思います。
 少なくとも千秋がのだめを育てる蜜月時代は終わったと感じます。ミルヒー大先生或いはオクレール先生がのだめをソン・ルイレベルのピアニストに成長させる事ができるのかどうか、そしてのだめの真の精神的成熟はあるのか、その辺りが次巻の見所でしょうね。

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2008/07/31

PLUTO 6 / 浦沢直樹

PLUTO 6―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (6) (ビッグコミックス)
 PLUTO第6巻が発売になりました。人間とロボットが共生するようになった時代が舞台で、7名の世界最高水準のロボットのうち、天馬博士の傑作アトムを含めて5名が既に「PLUTO」という謎の最強ロボットに倒され、残るのはユーロポールの誇る特別捜査官ゲジヒトと、第39次中央アジア紛争を拒否しオーストラリアで戦災孤児を引き取って暮らしているエプシロンの2名だけとなってこの巻になだれ込みました。

 この巻の主人公はゲジヒト。前巻でクラスター銃でゼロニウム合金の体が傷つきオーバーホールもままならないままにペルシアに飛びます。人間で言う「勘」により、アブラー博士と接触を持ち、彼に対する疑惑が確信となって行きます。その後小さな手がかりをつてにサハドと呼ばれる男を捜してアムステルダムに飛びますが、、、

 以下黒字でマスクして書いておきますので、PLUTOの正体とゲジヒトの運命を知りたい方はネタバレ承知でマウスドラッグで読んでください。

ゲジヒトはついに

サハド=アブラー博士の息子=PLUTOの意識そのもの

であることを突き止め、PLUTOを絶体絶命の窮地にまで追い込みますが戦意を無くしたロボット(=チューリップを愛する優しい男だったサハド)の止めを刺すことをためらいます。そしてアブラー博士との取引に応じて彼の手に落ちたホフマン博士の解放を条件に、上層部の命令に背いて攻撃を中止しました。

そして休暇を申請した彼をアムステルダムの路上で待ち受けていたのはペルシアで出会った傷痍花売りロボットが放ったクラスター砲だったのです。

 いやあ、泣けます、感動します。ロボットの物語、そして「鉄腕アトムー地上最大のロボット」のリメイクだと分かっていても、彼の最期には涙が止まりませんでした。彼の妻もロボットなのですが、彼とともに休暇を過ごすはずだった日本で待っていた天馬博士に

「泣いてごらん。」
「そんな時、人間は泣くんだ。」
「最初は真似事でもいい。」

と教えられて号泣します。素晴らしいシーンです、さすが浦沢直樹!

 さて残るはエプシロン一体、そして天馬博士が受け取ったデータは一体何か、アトム復活へのシナリオが徐々に明らかになっていく気配で、今後も見逃せません。連載ではもうかなりのところまで行ってるのですがまあそれは言わない事にして次巻を楽しみに待ちましょう。

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