2009/11/08

アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ・ライヴ・イン東京 1973

アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ・ライヴ・イン東京 1973 (2CD) [HQCD]
 最近ヘビーローテーションで聴いているのが、某K氏にご紹介いただいたこのCDです。ミケランジェリには「巨匠」「完璧主義」「キャンセル魔」「副業が医師・パイロット・レーサー」等々様々な逸話に満ちた天才ピアニストのイメージがありますが、多くjの音源が曖昧模糊とした霞の向こうから聞こえてくるような古いもので、その真価が明らかとは言えませんでした。ところがこのアルバムは相当高水準の録音で、ようやく彼の真髄の一端を見る事ができた気がします。1970年台初頭の録音の復刻と言えば以前紹介したジョージ・セル東京ライブもそうでしたが、まだまだ宝の山は眠っているのですねえ。

Disc 1
1. シューマン: ウィーンの謝肉祭の道化 
2. ショパン: ピアノ・ソナタ第2番
Disc 2 
3. ラヴェル: 高雅で感傷的なワルツ 
4. ラヴェル: 夜のガスパール 

『名盤がHQCD化。より一層透明度が増し素晴らしい音質となりました。
スタジオ録音なみ、ライヴ離れの高音質。アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ・ライヴ・イン・東京1973。巨匠の貴重な日本でのリサイタルを完全収録!巨匠ミケランジェリといえば大変なキャンセル魔ですが、この録音も当初予定していたリサイタルをキャンセルされ、かろうじて録音が許されたのがこの日のリサイタル。しかし録音していみるとFM 東京の録音陣を気に入った様子で当時のプロデューサー東条碩夫(現音楽ジャーナリスト)氏の談話によるとかなり協力的で大変満足なものであったようです。NHKにはリサイタルの録音は既に残っていないので日本における唯一のオリジナルテープが現存するリサイタル録音がこれと申せましょう。その貴重な音源を復刻するにあたってはアナログからデジタルへの変換に通常以上に時間をかけキングスタジオに残るこれも日本で唯一の現役稼動しているテレフンケンのオープンリール再生機で必要以上に丁寧にオリジナルのアナログテープをトランスファーいたしました。[録音:1973年10月29日東京文化会館(ライヴ)]』

 素人の私がどうこう言うレベルではないと思うのですが、Disc 1における、シューマンの陽とショパンの陰の対比の見事さ、Disc 2のラヴェルの華麗さと高度なテクニック、どれをとっても息を飲む美しさに満ちております。以前ラヴェルのピアノ協奏曲のレビューで「稀代のヴァーチュオーゾ 」と書きましたが、このアルバム用に取っておくべきでした(笑。

 個人的には以前のレビュー以降「夜のガスパール」にはまっている事もあり、ガスパールが一番のヘビー・ローテーションです。ガスパールの名演数々あれど、この一枚がその上位に食い込んでくる事は確実だと思います。彼独特のピアノの響かせ方がとても良くとらえられており、最初聴いた時は超難曲「スカルボ」のラストで思わずブラボー!と声を出してしまいました。ちなみにアルゲリッチは一時期彼に弟子入りしていましたが、彼女によるとちっともピアノを教えてくれず卓球の相手ばかりさせられていたそうです(笑。

 さて、このオリジナルテープに関してですが、東条氏のライナーノートによると収録時の使用マイクは、ノイマンSM69をメインにエコー用としてホール客席上方に2本。アンプとテープ・レコーダーはいずれもアンペックス。2トラ38による当時の放送局の典型的なアナログ録音システムだったそうです。あらためてマスターテープの音の凄さを思い知らされますね。
 そして現在のリマスタリングの技術でこれ程の音質に蘇らせる事が出来るのであれば、これからもいろいろなマスターテープが発掘される事を期待します。

Michaelangeli  最後に一つだけ。冒頭リンクと違って私の買ったCDのジャケットはこちらになっております。この両手は当時のチケットのデザインです。昔のチケットは味がありましたね。

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2009/10/02

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」 / ジンマン=チューリヒ・トーンハレ管弦楽団

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
 先日の「Stereo Sound No.172」記事中で「気になる」と書いたジンマンの「夜の歌」を聴いてみました。クラシックの交響曲に一つとして同じ演奏はない、と分かっていてもやはりこれだけ違うと驚きますねえ。テンシュテットに感激し、先日の「5番勝負」でガブリエル・フェルツを中心にレビューした経験からすると、拍子抜けするくらい普通なロマン派交響曲に聞こえます。これだけさっと演奏されると、もしこれで初めて7番を聴いた方は「難解」とか「とらえどころがない」とかいう7番の評価が信じられないでしょう。

 良く言えば室内楽の延長のように端正で大人しく、各楽器パートの分かり易い演奏です。そう言えば室内楽の壮大な延長のような曲という評論もありましたね。一方で指揮者の個性を感じさせるようなケレンやオーケストラとしての派手さは無く、悪く言えば、まるで恐くないお化け屋敷の様です。

 違うと言えば、ステサンではこのディスクをなんと4人も取り上げておられるんですが、それぞれの褒め方に苦労のあとがありありと見られます。私もまだまだ修行が足りません(笑。折角ですので最後に紹介してみましょう。なお敬称は略させていただきます。

1: 夜の歌について
2: 演奏について
3: 録音について

菅野沖彦
1: とらえどころのない難曲
2: ジンマンのオーケストラのコントロールも向上して、マーラーのオーケストレーションの複雑さやその大きさの処理に手馴れた扱いを聴かせる。
3: 細部から全体に至るまで周到な製作。ギターなどによる細かなディテールにも、ホール一杯に轟くトゥッティにも破綻が無く安定。

東条碩夫
1: ちょっと怪奇で謎めいた雰囲気を持つ。マーラーの交響曲の中ではもっとも演奏の機会が少ない。
2: 表現主義的・前衛的な要素は薄められているため、そこが物足りないという人もいるかもしれない。その代わり、マーラーのヒステリックな騒々しさが苦手と言う人には最適だろう。
3: 丸みのある柔らかい響きが特徴で、各楽器も刺激的にならずに溶け合い、ホールの空間性を十分に生かした、均衡を保った音色で流れていく。楽器の定位もそれほど強調されていない。「スコアが眼前に見えるような」隈取のはっきりした音作りではない。

宮下博
1: 特に複雑な構成を持つ難物。実演でも、納得のいく快演になかなか遭遇しない。
2: 即物的なまでに余情を配した解釈は、時に味気ないほどだが作品の構造を面白く味わうには好適だ。
3: チューリヒ・トーンハレを満たすパースペクティブ豊かな音の洪水を、誇張感なく、すっぽりと収めた。各パートの分離・定位もきちんとしているが、真価を十全に聴き取るには、装置の解像力を問う厳しさをも持ち合わせている。

柳沢功力
1: 難解とも不可解ともされる。
2: 重苦しい低音に重なり気だるいテノールホルンのソロで始まるその冒頭で、すでにこの演奏がその不可解さに挑戦していると感じた。他のどの演奏より陰鬱ではないのである。聴き進むと、持ち込まれた多彩な楽器による、無秩序とも喧騒とも思える音の渦を、丹念に整えているのも感じ取れる。
3: 広々としてかつ奥行きの深い空間に、きら星のごとく多彩な楽器を浮かび上がらせている。

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2009/06/11

Mahler Sin 7 (5) Sin 7 von Feltz/Stuttgarter Philharmoniker

Mahler7feltz
はむちぃ: さて、長い長い前置きをようやく終えまして「マーラー5番勝負 Part II」も最終回、いよいよ課題CDのレビューでございます。パリンドローム様、大変長らくお待たせいたしました。
ゆうけい: どうだいみんなぁ、思いっきり引っ張っただろう~、さてこれからが本番、

ただし!

あまり期待し過ぎて、腹いせにキーボードぶったたいて壊さないでくれよ、俺は補償しないぜ~(^O^)
は: くまだまさしですか、あんたは(--〆)。どうせ長丁場になるんですから、早速アルバムの紹介にまいりましょう。気鋭の新進ドイツ人指揮者ガブリエル・フェルツ様のDreyer-Gaidoレーベルでのマーラー・チクルスの第一弾として発表されたアルバムでございます。

Gustav Mahler
Sinfonie Nr.7

Shtuttgarter Philharmoniker
Leitung: Gabriel Feltz


Live Recording, 23, und 24, April 2007
Liederhalle Beethovensaal, Stuttgart

ゆ: 早速脱線して申し訳ありませんが、ジャケットがレンブラントですな、それも代表作の一つ「夜警」では、あ、あ~りませんか!!
は: チャーリー・浜様のような驚き方をしないで下さいませ(-.-)、マーラー様がレンブラントの明暗法を意識していた事は初回でも申し上げましたから、それを意識した採用なのでございましょうね。
ゆ: 一体いくら払ったんでしょうね~?
は: そっちですかい、興味は!
ゆ: まあ、フェルツのポートレートをジャケットにするよりは(以下略)

は: 気を取り直しまして、続けましょう。ではこのムダに長いレビューの流れからしまして、まずはフェルツ様が第7番を振るとどんな演奏になるのか、ご主人様に予想をしていただきましょう。
ゆ: う~む。。。。(--)
は: そんなに難しゅうございますか? 
ゆ: いや、適当なギャグを思いつかん、さすがにネタ切れじゃ。
は: 。。。。。(--〆)
ゆ: わ、分かったよ、そんなに怒らんでも(^_^;)。先ず思いつく特徴としては

ドイツ人指揮者がドイツの中核都市の新進オケで振っている
ライブ・レコーディングである
ドイツのマイナー・レーベルである

ということですね。ドイツの地方都市のオケをマイナーレーベルが録音してるからゴツゴツしてると言うのは先入観かもしれませんが、音色は骨太でしょうね。
は: それにライブですからテンシュテット様程でもないにせよ、結構ケレンもかましてくるでしょうね。
ゆ: そうですね、そういう意味で容易に想像できるのは明の第五楽章、ここは思いっきり派手に打楽器をかましてくるでしょう、おまけにライナーノートで

マーラーかて楽天主義で作曲するわ、そう解釈してなにが悪いねん!(小薮風)

と主張しておりますからな。
は: フェルツ様は関西弁はしゃべれないと思いますよ、それに小薮千豊も知りませんって(;一_一)。
ゆ: サイデッカー、ハイデッカー(独)。まあそれはともかくとしてはむちぃ君、先ずはこの第五楽章冒頭の90秒程度を他の演奏と聴き比べしてみて演奏・録音に関してこのフェルツ盤の立ち位置を探ってみましょうか。ではまず参考CDを挙げてくれたまへ。
は: かしこまりました、次の5点でございます。

Georg Solti / Chicago SO, 1971 Decca
Eliahu Inbal / Frankfurt Radio SO, 1986, DENON
Klaus Tennstedt / London PO, 1993, EMI
Michael Tilson Thomas / SFSO, 2005, SFS Media*
Valery Gergiev / London SO, 2008, LSO Live*
(*: SACD/CD Hybrid)

ゆ: オーソドックスなインバル盤、ライブの興奮を伝えるテンシュテット盤の両極を軸にして、過去の名盤としてショルティ盤、現代最先端の演奏としてトーマス盤、現在進行形のチクルス・ライバルのゲルギエフ盤と言う布陣ですな、なかなか良くできた選択じゃ(自画自賛。
は: ただ単にご主人様がお持ちの第7番を持ってきただけでございます(-_-)。それでは早速第五楽章冒頭、ティンパニの連打から弦の合奏、管楽器のファンファーレが鳴り響くあたりの聴き比べをお願いいたします。
ゆ: 了解です、演奏録音各5点満点、計10点で採点してみましょう。1点は☆、0.5点は★で表わしてみました。

Inbal: 6点 
 演奏☆☆☆
 録音☆☆☆

は: 先ずは基準としてInbal様の演奏・録音を☆3つと規定いたしました。
ゆ: 昔はDENONのデジタル録音が最先端だったけどさすがにもう古くなりました、でも今でもちゃんと聴けるいい演奏・録音だと思いますね。

Solti: 8点
 演奏:☆☆☆☆
 録音:☆☆☆☆

は: 今聴きましてもテンポと響きの見事な演奏でございます。
ゆ: シカゴ響得意の管楽器がメインの部分ですしね。録音もややドライですが信じられないくらい鮮烈で、さすがDECCAです。ちなみにマーラーに相応しい会場を探し続けていたデッカがやっと見つけたのがイリノイ大学のクラナートセンターで、そこでケネス・ウィルキンソンにより初録音されたのがこの第7番なんですよ。
は: よくそこまでご存知でございますね(驚。
ゆ: ステサン169号に嶋護先生が書いておられるんですよ(^_^;)。

Tennstedt: 8.5点
  演奏:☆☆☆☆☆
  録音:☆☆☆★

は: 余命幾ばくも無かったテンシュテット様と彼を敬愛して止まなかったLPOの渾身の演奏でございますね。
ゆ: 正直なところここだけの評価ではない事をお詫びします。あまりにも感動的な演奏なのでここだけ聴いても第五楽章全体のイメージが鮮やかに浮かび上がってきてしまいます。録音もEMIにしては深くてしなやかな響きでライブの興奮を余すところ無く伝えていますね、やれば出来るじゃん、という感じです(^_^;)。

Thomas: 9.5点
 演奏:☆☆☆☆★
 録音:☆☆☆☆☆

は: おおっ、ここまでの最高点が出ました!
ゆ: 完璧な演奏と完璧な録音、これはCD層で聴いても他を圧倒しておりました。演奏に5点満点をつけなかったのは完璧すぎて何か物足りないという身勝手な理由でございます。これが現在における最高峰の指揮者&オケなのだと思いますね。
は: コンセルトヘボウのRCO LiveやこのSFS media、次のゲルギエフのLSO Liveなど、最近はオーケストラ自体がプライベートレーベルで録音する時代でございますね。
ゆ: それも素晴らしい音質でね、The Times They Are A-Changin’ということですか。

Gergiev: 7点
 演奏:☆☆☆
 録音:☆☆☆☆

は: これはカリスマ・ゲル様でSACDと言う点を考慮しますと辛い採点でございますね。
ゆ: 申し訳ないけど合わないんですよね。演奏はやっぱり速過ぎるし金管はきついし。録音にしても同じ事で、客観的に見れば素晴らしい録音なんでしょうけど私にはとてもきつく感じてしまうんですよね。
は: なるほど、では最後にフェルツ様のご採点お願いします。

Feltz: 6点
 演奏:☆☆☆★
 録音:☆☆★

は: 6点はインバル様と同等で水準はクリアしているという結果でございます。
ゆ: 合計だとそうなりますね。演奏は想像どおりティンパニの強打を効かせた楽しい出だしだったんですが、驚いたのは録音の悪さですね。音場が極端に狭くて一瞬モノラルかと思ったほどです。一方で深さは結構あるので、京都の町家のウナギの寝床みたいな感じです。ホールトーンもあまり上手く捉えられていませんねえ 、響きが全体にくすんでいます。
は: 音場が狭い点はわざわざご購入いただいたどる様、MAO.K様も同意見でございましたゆえ、間違いないようでございます。しかし前回聴いた第6番はそれ程悪くありませんでしたのに不思議でございますね。
ゆ: そうですね、言い換えれば二回目で急速に進歩していると言えなくもないんですが、これがこのレーベルの初録音と言うわけでもないのにねえ。録音が第6番程度の質を確保していたら7点いってましたけど、まあ気を取り直して全体を聴いていきましょうか。

Nightwatch2
(The Militia Company of Captain Frans Banning Cocq by Rembrandt, 1642)

第1楽章 ランサム(アダージオ) ロ短調 → アレグロ・コン・フッコ ホ短調

Feltz: 21'47"
Solti: 21'35"
Inbal: 22'36"
Tennstedt: 24'07"
Thomas: 20'41"
Gergiev: 20'47"

は: 序奏はロ短調で弦が引きずるようなゆっくりとしたリズムを刻みますね。
ゆ: 第1番「巨人」と同じ、所謂ブルックナー開始なんですが、6番の出だしをさっさか入ったのに比べると随分ゆったりとしてますね。
は: まあ「ゆったりと」の指示が入っております故無理もございません。で、ホルンものったりと滑り込んできます。
ゆ: このホルンのごりっとした音色は良いですね~。マーラーがボートのオールを漕いでいて思いついたテーマらしいですが、その感じがよく出ています。
は: 続く第1主題はホルンとチェロが受け持ちます。
ゆ: 実はここからホ短調となり、転調を繰り返して最後はホ長調で終わるんですが、この転調の繰り返しと「急速に激しく」という指示がフェルツの指揮者魂に火をつけてしまいますね(笑。
は: グランカッサの強打を契機に急速にテンポが変わってトライアングルも入り込んでくるところなぞスリリングでございます。
ゆ: 第2主題は第6番の有名な「アルマのテーマ」を思いだすかのような美しいヴァイオリンの音色を強調したいところなので、予想通りねちっこく来ますねえ。
は: そのあたりは確かに美しくて良いのですが、再び展開部に入りますと打楽器が不気味に咆哮し、その後怒涛の終盤を迎えます。
ゆ: コーダに向かうあたりでの目まぐるしいテンポの変化は「悲劇的」第四楽章の演奏と同じようなあざとさを感じるほどですね。
は: 船酔いしそうな思いでございました。

ゆ: まあ元気があってよろしいんじゃないでしょうか(^_^;)。それはさておき、演奏時間を比較してみると最新の第一楽章はスピード勝負のような情況を呈しておりますね。
は: トーマス様とゲルギエフ様では随分印象が異なりますのに殆ど同じタイムでございます。
ゆ: 「超速シリーズ」のゲルギエフはともかくとして、流麗な演奏が素晴らしいトーマス&SFSOが同じ20分40秒前後なんですねえ。ショルティなんか第6番と一緒で随分突っ走っているように思うんだけどそれでもトーマスより遅いのかあ。
は: 最新のトップクラスはこの複雑な楽章を如何にハイスピードで演奏できるか、そのテクニックを競っているようですね。
ゆ: というか、オケに応募してくる若い演奏者のテクニックの向上が最近は著しいんでしょうね。まあ個人的には一幅の泰西画を見るような悠然としたインバル盤くらいが丁度良いようにも思うんですけどね。

は: とにもかくにも、早くもこの楽章でフェルツ様の個性の全てがいきなり披露された感じがいたしました。
ゆ: 月並みな表現で申し訳ありませんが。磨けば光る宝石の原石のようですね。随分ゴツゴツとして生硬な演奏なんですが、聴いていて面白い。
は: そう言う意味では前回検討した第6番はかなり磨かれてきた印象がございますね。
ゆ: 回を重ねる毎に成長していきそうな楽しみはありますね。とにもかくにもマーラーがその技法を駆使し尽くしたこの難しい楽章を「無難に収める」のではなく「果敢に突破した」所を評価したいですね。

は: 録音はいかがでございましょう?
ゆ: やっぱりサウンドステージは狭いですね。でも意外に楽器の分離はクリアです。その中でもやはり打楽器フェチだなあと思うくらい打楽器にはこだわって録音してますし、ホルンチェロトランペットといったマーラーがこの7番で最も大事だといった楽器の音を丁寧に拾っていますね。

第2楽章 「夜曲」 アレグロ・モデラート ハ長調

Feltz: 15'06"
Solti: 15'44"
Inbal: 14'40"
Tennstedt: 17"52"
Thomas: 15'32"
Gergiev: 13'43"

は: いよいよ「夜曲」の始まりでございます。
ゆ: 序奏は、ホルンの掛け合いですね。このあたりはマーラーがこだわり続けた遠近法が良く表現されていると思いますが、それにしても冒頭のホルンによるテーマは引っ張りますね~、夜の不気味さを最初に強調したいのかもしれませんが、奏者の肺活量を試しているような気もしますな(笑。
は: その後盛り上がったところで交響曲第6番のモットー和音が出たり、これも第6番で使われておりましたカウベルも鳴らされたりして、第6番との関連の強い楽章でございますね。そのせいかどうかは分かりませんが、「夜曲」という主題なのに巷間言われます如くに「行進曲」風になっちゃいますね。
ゆ: あ、やっぱりそうなっちゃいます~?
は: 鈴木Q太郎はもう飽き飽きでございます(--〆)、さっさと話を進めましょう。
ゆ: かしこ、かしこまりました~、かしこ!というわけで、確かに行進曲を思わせる展開ですね、恩田陸の「夜のピクニック」を意識したんでしょうか?
は: そんな訳無いでございましょっ、それも言うならレンブラント様の「夜警」でございます。
ゆ: た、確かに(^_^;)、で、この楽章も長調と短調の転調が目まぐるしくてフェルツも律儀にその不安定さを強調しつつテンポを上げ下げておりますな。
は: 先ほどご指摘のホルンなんかはその後も結構ためて引っ張っているところが多いように思いますのに、流麗なトーマス様や前のめりのショルティ様より時間が短いとはちょっと驚きましたね。
ゆ: そうですね、別にギクシャクはしていませんけれどね。
は: 一方でインバル様は泰然とした演奏に見えて時間が更に短いですね。ゲルギエフ様に至っては何と13分台を記録しておりますが(^_^;)。
ゆ: テンシュテットにしてもそうですがフェルツライブ録音なのでややアゴーギクを強調してスタジオ録音よりも時間が伸びるんでしょうね。それにしてもゲル様は凄いですな、おそらく13分台のというのは世界新記録じゃないでしょうか、仮初めにも夜曲なんですからその辺を考えてもらわないと(苦笑。

第3楽章 スケルツォ 影のように ニ短調

Feltz: 11'09"
Solti: 9'14"
Inbal: 10'21"
Tennstedt: 11'10"
Thomas: 10'03"
Gergiev: 9'07"

は: さてABCBA形式のカナメとなります第3楽章でございます。序盤の高音弦による影のような旋律、木管の悲しげな響き、低音弦のバルトーク・ピチカート、打楽器の不気味に抑え気味の響き、いずれも「」には程遠い気がしますね。
ゆ: フェルツは幽霊、精霊の跳梁跋扈と捉えて不気味さを表現していると書いてますね、テンシュテットもそのような捉え方をして入るようです。このあたりはドイツを中心とした中央ヨーロッパの方にしか分からない音に対するイメージがあるのかもしれませんね。
は: とはいえ技法的には多彩な手を尽していて、マーラーの各楽器への細やかな気遣いさえ感じさせますので、通の方にはたまらない楽章なのかもしれませんね。
ゆ: そのあたりを透視図のように明晰に分析しているのはおそらくブーレーズあたりが嚆矢だと思うんですが、トーマスも明らかにその流れを汲んでいますね。彼の演奏が今回聴いた中ではこの楽章を一番理解しやすかったですね。

は: さて、この楽章もニ短調で始まりニ長調で終わるという転調を行っております。ここまでの楽章の最初と最後の調性の変化をまとめますと、

I: (Bm→)Em→E
II:  C→Cm
III: Dm→D

と、必ずメジャー⇔マイナーの転換を行いつつ次の楽章には必ず同じ調性で受け渡しております。
ゆ: 凝り性だったんですかね、律儀なA型だったりして(笑。
は: またまたそんなクラマニアを敵に回すような事を(-_-;)。明暗法の技法の限りを尽くしておられるのでございます。
ゆ: 第五楽章だけ明るいように見えて、その実いろいろと手の込んだ細工をしておりますな。

第4楽章 「夜曲」 アンダンテ・アモローソ ヘ長調

Feltz: 13'47"
Solti: 14'28"
Inbal: 13'13"
Tennstedt: 15'30"
Thomas: 13'30"
Gergiev: 11'45"

は: 第2楽章が「夜の行進」とすれば、この楽章は純然たるナハトムジークセレナーデでございますね。
ゆ: 「わいね~、暗いねん」ですな。
は: それも言うならアイネ・クライネ・ナハトムジークでございます、それもモーツァルト様ですから(--〆)。
ゆ: まあまあそれはそうとようやく桶の花ヴァイオリン独奏が冒頭に出てきますな。
は: 桶じゃなくて、オケですから(;一_一)。ちなみにこの独奏はオクターブ上昇し、なだらかに降りてくる所謂アーチ音型でございますね。この楽章にはギターやマンドリンも入りますし、求愛のセレナーデに相応しい楽器を持ってきたというところでございましょうか。
ゆ: アモローソとは「愛情をこめて」という意味ですので、その通りでしょうね。

は: さて、フェルツ様、前回の第6番第3楽章から想像できる通り、思い入れたっぷりに愛を歌い上げておりますね。
ゆ: スケベ心満載ですな。我々草食人種からするとかなりのねちっこさです。その点殆ど演奏時間は変わらないんですが、やっぱりトーマス君はこの辺スマートですね。
 ところで第2楽章でも第6番のモットー和音が出て来たけれど、この楽章でも第6番のフィナーレの音型が使われているんですね。
は: 第2、4楽章は第6番と同じ1904年に完成しておりましたから密な関係があるんでしょうね。
ゆ: 同じ音型を使い回すとはええ根性しとりますな、それも「悲劇的」と「愛情をこめて」の両方に(笑。
は: 最後が「ersterbend(死に絶えるように)」ですので首尾一貫しております(-.-)。
ゆ: ちゃんちゃん、お後がよろしいようで~(^O^)/
は: まだ最終楽章が残っております(--〆)。
ゆ: 分かってますって、いよいよ「めちゃめちゃ明るいで~」の第5楽章です。

第5楽章 ロンド・フィナーレ ハ長調

Feltz: 17'36"
Solti: 16'27"
Inbal: 16'49"
Tennstedt: 19'53"
Thomas: 18'06"
Gergiev: 16'13"

は: 冒頭部分は先程検討済みでございますが、演奏自体は悪くないですね。
ゆ: 元気があって良いですよね、それにしてもなんともはや威勢の良いティンパニですねえ。
は: それにすぐ金管が呼応しますね。
ゆ: この辺のかかり方はさすがにショルティ&シカゴ響大リーグ・スラッガー級の咆哮には敵わないんですが、それでもトランペットとホルンの主題演奏は予想通り骨太で良いと思いますね。
は: この主題はワーグナーの『ニュルンベルクのマイスタージンガー』との関連が指摘されているそうでございます。
ゆ: 確かにそうですね、その明快な元気良さが果たして本気なのか、それともパロディなのかいろいろと議論はあるようですが、今回のフェルツのようにこの辺りを楽天的に演奏しても悪くはないと思うんだよね。第6番のように「悲劇的」に終わると誰も文句も言わないくせに、どうも芸術とは暗くあらねばならんようですな(苦笑。

は: さて、駆り立てられるようにどんどんと演奏は進みまして終盤に第1楽章の第1主題が再びホルン斉奏によって示されます。
ゆ: 初めて聴いた時は第一楽章の主題なんてもう忘れてしまってましたけどね(笑。さてここからがフェルツの腕の見せ所、ライブということもあってか、ここぞとばかりにオケ全体を高揚させていく指揮振りが目に見えるようですね、そしていよいよフィナーレ。
は: 第6番にもましてケレン味たっぷりのディミヌエンドの後に、、、
ゆ: 地の底から湧き上がるような打楽器の轟音が床を振動させますな。まるでボディソニック椅子で聴いているようです(爆。
は: この打楽器の咆哮には低音派のゲルギエフ様もビックリでございましょう。
ゆ: 個人的にはライブ演奏ではテンシュテットのラストが最高に熱いと思いますけれど、ゲネラル・パウゼの後の展開はそれ並みの迫力がありましたね。観衆のアプローズに相応しい、いかにもライブらしい終わり方だと思いますね。

は: という訳でして、とにもかくにも無事に眠ることなく全楽章聴き終えました。聴く順番が逆になりましたが、何度も申し上げておりますようにこの7番がこのオケでのマーラー・チクルス初録音、それにしては破綻の無い演奏だったのではないでしょうか?
ゆ: まあ2日間のライブを編集してあるようですので細かなミスはところどころあったのかもしれませんが、聴く限りこれはまずいと思うようなミスは無かったですね。
は: 初マーラーで良くぞフェルツ様の個性的な7番の解釈に共感してついていったものでございますね。
ゆ: 同感ですね、際立った個性こそまだ見られませんがこのシュトゥットガルト・フィル、若くてきびきびとした良いオケだと思います。ちょっとブースカとラハティ響の信頼関係を思い出して微笑ましかったです。
は: ヴァンスカ様でございますから、使い古したネタを(`´)。
ゆ: そう言えばラハティ響にもお一人日本人がおられましたが、このシュトゥットガルト・フィルのメンバーの集合写真にも、お二人ほど日本人っぽい顔立ちの方がおられますな。
は: 世界各地で日本人が活躍しておられるのは嬉しゅうございますね。
ゆ: というわけでございまして、録音が今一つなのは残念でございましたがなかなか面白い第7番を聴く事ができました。リクエストいただいたパリンドロームさんに心よりお礼申し上げます。

は: では恒例によりまして、故人生幸朗・生恵幸子師匠風ご挨拶をご主人様どうぞ。
ゆ: 皆様、長丁場にも関わりませず、

こんな漫談おもろうも何ともないぞ!

のお声も無く、お付き合いありがとうございました。
は: 感謝感激いたしつつ、ゆうはむ漫談、これにて無事終了でございます。
ゆ: 皆様のご健勝をお祈りしつつ、これにて、バイチャ!
は: 何がバイチャや、この~、泥亀!
ゆ: 母ちゃん、ゴメン!

は&ゆ: これにてマーラー5番勝負Part II、千秋楽にてございますm(__)m

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2009/06/10

Mahler Sin 7 (4) Sin 6 von Feltz/Stuttgarter Philharmoniker

Sin6
はむちぃ: さてリクエスト企画「マーラー5番勝負 Part II」も終盤に入ってまいりまして第4回でございます。
ゆうけい: 皆様お疲れとは思いますが今しばらくお付き合いくださいませm(__)m。
は: 私メも「マーラー5番勝負 Part I」に負けず劣らず疲れてまいりました。
ゆ: 長丁場ですからねえ、頑張りませう、はむちぃ君。
は: ご主人様のボケっぷりにでございます、まあ予想はついておりましたが(--〆)。では早速参ります、前回の予告どおり今回は

「マーラー5番勝負Part Iで勝手知ったる第6番「悲劇的」を聴いてガブリエル・フェルツの手腕を探ってみよう」

という長い題名の企画でございます。では先ずCD情報でございます。

マーラー:交響曲第6番イ短調『悲劇的』
シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団
ガブリエル・フェルツ(指揮)

録音時期:2008年2月15日(ライヴ)
録音場所:シュトゥットガルト、リーダーハレ・ベートーヴェンザール

Dreyer-Gaido(CD21045,2CD), Germany

CD 1:
I Allegro moderato, ma non troppo 23'38"
II  Scherzo                                12'49"

CD 2:
III  Andante moderato                15'10"
!V  Finale, Allegro moderato         31'35"

ゆ: 聴いてみましょうと言いながらいきなり脱線してすみませんが、この三角形の繰り返しをモチーフとしたジャケットはおそらく二十世紀の仇花未来派の絵ですな。
は: 仰せの通り、英国の未来派C.R.W.Nevinson様の1914年の作品「Returning To The Trenches」だそうですが、1914年と言えば第一次世界大戦開戦の年ですね。
ゆ: なるほど「塹壕への帰還」ですか、「悲劇的」と言う表題に通じるところがありそうですね。

は: さて、このCD、2枚組でございまして、

第1,2楽章が1枚目、第3、4楽章が2枚目

という変わった構成になっております。
ゆ: それも第2楽章にスケルツォを、第3楽章にアンダンテを置くという旧式になっているところに含みがありそうですな。
は: その通り、この順序の正当性について、自らライナーノートで

グスタフ・マーラー交響曲第6番における中間楽章の順序を巡る考察

と題する論陣を展開しておられます。
ゆ: 理論派の面目躍如ですな、それもTak Saekiさんが泣いて喜びそうな(笑。この順序に関しては以前「マーラー5番勝負 Part I」でも考察はしたのですが、やはりこの順序が聴き易いですね。
は: しかも1と2、3と4は各々アタッカで結んでもいいくらいだとおっしゃってますね。
ゆ: そこまで言うか(苦笑、してフェルツ君の理論的根拠や如何に?
は: フェルツ様の論点をごく簡単に集約しますと、

「4つの楽章の(Urzelle(独)、Primordial Cell(英))の数を検討して二つに分けた場合、明らかにスケルツォを2番に置くほうがバランスが良い」
「第1楽章の出だしとスケルツォの出だしは1/4=1/8で呼応している」

ゆ: またまた小難しい理屈をこねておりますが、要するに前者は「そのほうがおさまりがいい」と言うことでしょうな。後者は以前から肯定論者が主張してることですけど、4/4と3/8拍子の違いはどう説明するんでしょうか。
は: 「前もって第一楽章最終小節の休符により予告されている」そうでございます(-.-)。
ゆ: さ、さよか(^_^;)。井上道義先生の頭の上でやかんが沸騰しそうですな(苦笑。

は: と、前置きが長くなりましたが、理論派のフェルツさんの側面がご理解いただけたかと存じます。では演奏を聴いて参りましょう。
ゆ: フムフム、思わずニヤニヤしてしまいますな。いやあ面白い、と言うか、実に興味深い(ガリレオ風。
は: 思ったより素直な演奏でございましたね。
ゆ: そうですね、思ったより軽快で颯爽とした演奏でしたね。それにこれだけ大編成の楽器を全て綺麗に鳴らしていますし、そのバランスも大変良かったです。
は: それに応えているシュトゥットガルト・フィルもなかなかのものでございます。
ゆ: 質感が軽いところをみると、このオケはまだ若くて伸び盛りなんでしょうね。
は: 例の第一楽章の出だしなんか拍子抜けするくらいにあっさりしていましたものね。
ゆ: ゴジラの歩みがミニゴジラになってさっさか行っちゃうみたいな(笑。でも

「スタッカートのついた低弦の8分音符の間に8分休符が入る」

のならこれで良いのかもしれませんし、この感じは実は思い当たる節があるんですよ。
は: はて、それは?
ゆ: 以前ライブレポートした「井上道義のベートーヴェン」において、先生が「運命」を振られた際、

「こういう若い、しかも女性の多いオケでこの曲をやるならこういう方向性しか無いんです」

と前置きされて始まったジャジャジャジャ~ンライトスポーツ車のような軽快で軽くすっとばす感じが、この第一楽章の出だしの雰囲気ととても良く似ている気がするんですね。理論派の堅物に見えて案外柔軟な思考の持ち主なのかもしれませんね。
は: なる程、しかしその後のアルマのテーマは帯の惹句によりますと

「思い入れたっぷりのねちっこい歌い回し」

となっておりますが?
ゆ: あまり感じませんでしたね、ここも思ったより清清しい感じで通り抜けてしまったような気がします。テンポ・ルバートと言う意味ではショルティさんの方が余程アルマのテーマをねちっこくやってるような気がしますね。続く第二楽章スケルツォも予想通り第一楽章と同じテンポで始まりますね、自分の信じる道を歩んでおられますな(笑。

は: 2枚目に移りまして、第三楽章アンダンテもその美しさを存分に表現しながらも軽快でございます。
ゆ: もちろんVPO程の美麗さを期待するのは酷なんですが、ここではオケのメンバーを立てて存分に歌わせている気がします。その上で結構ねちっこい色気を感じさせますね、
は: まるで第3回のポートレートの色男的な、でございますか(笑。
ゆ: やっぱり結構スケベなのかもね(^_^;)。

は: そしていよいよ第4楽章でございますが、ついにやってくれましたね(笑。
ゆ: 嵐のような最終楽章ですな、今まで大人しくしていた分、思いっきりテンポ・ルバートとデュナーミクを効かせまくっておりますが、さてはこれをやりたいが為にそれまで我慢してたんでしょうか(笑。まあ確かに1~3と4でこれだけ印象の違う演奏も珍しいでしょう。これを以て私も

「立派なヘンタイ演奏」

と認定いたしましょう(爆。
は: 具体的に申しますとやはり打楽器の咆哮の凄まじさでございましょうか。
ゆ: それとその前後のテンポの緩急の落差でしょうね。この楽章で数度入るドコドコドッカ~ンの前は溜めに溜めまくってテンポを落としますね。
は: 最後の一撃の前のゲネラル・パウゼ(総休止)なんか物凄くわざとらしいですね。
ゆ: そうそう、そこまでやるか、み・た・い・な!一方で飛ばすところは前のめりでかっ飛ばしてますから、驚くべきことにトータルで31分35秒で収まってるんですね、これが。
は: Part 1で数枚の演奏を比較いたしましたが、ショルティ様の27分を別にすれば時間的にはほぼ標準的でございますね。31分と申しましても最後の拍手が1分くらい入っておりますし。
ゆ: とにかく久々に30分以上眠気が来なかったですよ。
は: それはご主人様が送る最大の賛辞でございましょう(-.-)ボソッ。
ゆ: お褒めに預かり光栄です(違。

は: さてこのDreyer-Gaidoレーベルの録音はいかがでしたでしょう?
ゆ: オーディオファイルが感動するほどの好録音とはいきませんが、いぶし銀のような渋さを感じますね。それにこの曲の持つ広大なDレンジをそのままに入れてるところなんかは如何にもドイツ人気質だと思いました。
は: その分、弱音部は本当に音量が小さいですね。
ゆ; カーステやiPodなんかじゃ周囲の雑音に埋もれそうですね。次に先程も述べましたが、サウンドステージがそれ程広がらないのに各楽器の分離がとてもクリアです。と褒めておいて敢えて個性的な点を挙げるなら、このMichael Dreyerと言う人、多分に

打楽器フェチ

じゃあないですかね。このホールのことは全然知らないんですが、一回きりのライブレコーディングで、どうしてあれだけティンパニグラン・カッサの一打一打がクリアで、なおかつその残響音がホールを揺るがす感じまで収録できるのか不思議なくらい見事に録音されています。一体どこにマイクを立ててるんでしょうか?(^_^;)
は: 第四楽章など、しょっちゅう床が振動しておりましたね。
ゆ; これだけはSTAXでは分からん世界ですな(笑。まあそろそろ結論を言うと、お似合いのと言うか同じ臭いのする指揮者と録音技師が邂逅したんでしょうね。

「ちょっと変わっているけれど素晴らしい音楽的才能を持つ指揮者」と
「ちょっと変わっているけれど素晴らしい録音技術と勘を持つ録音技師」が出会って
「かなり変わっているけれど十分楽しめる演奏」

のアルバムが出来上がったという印象でした。第7番が楽しみになって来ましたね。
は: 今回は参考アルバムにもかかわらず、思いの他長尺になってしまい、皆様お疲れ様でございました。次回はいよいよ本題でございますフェルツ様の第7番「夜の歌」のレビューでございます。今しばらくのお付き合いをよろしくお願いいたしますm(__)m

ゆ: ウィ~(ニタ。
は: 最後にまたまたオードリーの春日ですか!いい加減にしろ(若林風)
ゆ: もう愛想が尽きたかい?
は: 愛想が尽きてりゃPart IIなんかやってねえよ(若林風)
は&ゆ: へへ~(^O^)、とオードリー風落ちがつきましたところで、最終回、よろしくお願いしますm(__)m

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2009/06/09

Mahler Sin 7 (3) Gabriel Feltz, Wer?

Gabrielfeltz2
はむちぃ: さて皆様、マーラー5番勝負 Part IIも早や折り返しの3回目でございます。
ゆうけい: ところで冒頭写真シリーズ、ショルティ、MTTときて、この二昔前のハリウッドの色男のブロマイドみたいな、にやけたおっさんは誰?
は: 失礼な(--〆)、このお方こそ今回のリクエストCDの指揮者にあられますGabriel Feltz様でございます。
ゆ: さ、さよか(^_^;)。これで見掛け倒しのスカタンだったら、まんま「ハリー・ポッターと秘密の部屋」のギルデロイ・ロックハート先生ですな(笑。
は: またまたそんな失礼な事を、天才指揮者との呼び声が高うございますよ。と言うわけで第3回は

ガブリエル・フェルツってどんな人?」

をお送りいたします。まずは簡単なご経歴を紹介いたしましょう。

 1971年ベルリン生まれ
 ベルリン・ハンス・アイスラー高等音楽院に学ぶ
 さまざまな指揮者コンクールを経ながらエリート街道を歩む
 リューベック、ブレーメンの歌劇場で研鑽を積む
 2001年、アルテンブルク・ゲラ歌劇場の音楽監督に就任
 2005年、シュトウットガルト・フィルの音楽監督も兼任
 2008年、スイス・バーゼル歌劇場主任客演指揮者も兼任

ゆ: 劇場出身の叩き上げみたいですから多分オペラが得意なんでしょうけど、生粋のドイツ人ですからドイツロマン派も期待できそうですね。ところで、奇人でも知られているようですな。
は: 奇人と言うよりは自信家のようでございますね。
ゆ: おっ、益々ロックハート先生の線が(笑、で、例えば?
は: 2001年に29歳の若さで名門アルテンブルグ・ゲラ劇場の音楽監督に就任された際、その若さについての質問にこう答えられたそうでございます。

フルトヴェングラーは僕より2つ若いときにすでに音楽監督をやっていた」

ゆ: おおっ、言うねえ言うねえ(^^♪
は: 更には今回のリクエストCD、マーラーの第7番のライナーノートに詳細な解説を自身でお書きなのですが、その中で

「1960年代初頭からの一般的なマーラー・ルネッサンスは私の考えでは、良く言われているように主にアメリカの指揮者、作曲家のレナード・バーンスタインの功績によるのではなく(小森輝彦氏訳)」

と堂々と論陣を張っておられます。
ゆ: げに恐ろしきアラフォー世代ですな(笑。
は: 確かにこのお若さでマーラー・チクルスに取り掛かるとは、余程の野心家でいらっしゃるのでしょうかね。
ゆ: 今マーラー・チクルス真っ最中のゲルギエフの向こうを張るつもりですな、それも第7番から始めるとはねえ。それにしてもよくレコード会社も承諾したものですな。

は: さて、そのレーベルもご紹介しなくてはいけません。DREYER-GAIDOと申しまして、ドイツのミュンスターに本拠地を置く新興レーベルでございます。
ゆ: 先日ご紹介した「ピカソ・クレー展」の州立美術館と同じノルトライン=ヴェストライン州にある街ですね。この頃妙にげるにゃんの地方都市に縁がありますな。
は: げるにゃんもなこ様の専売特許でございます、もなこ様あいすみません。
ゆ: いえいえ、かまいませんよ、どんどんげるにゃん紹介してください。
は: ご主人様に言っておりません(怒!
ゆ: はっ(・o・)、私今なんか言ったか?
は: またまた下手な猿芝居を(--〆)、無視してどんどん参りますよ、さてこのレーベルのエースはやっぱりフェルツ様でございますが、我が国を代表するバリトン歌手小松英典様や、フィッシャー=ディースカウ様、ラサールSQなども顔を覗かせていらっしゃいます。
ゆ: オーナーのお一人、Michael Dreyerさんは録音技師が本職らしいから、音質にも期待できそうですな。それにHPを見ますと、ジャケットがどれも美的センスに溢れていてよろしいですな。

は: さて、前置きはそれくらいにいたしまして、いよいよガブリエル・フェルツ様の指揮の個性・特徴につき検討して参りましょう。
ゆ: ガブちゃんの評判と言えば先ずはモ~ホ?
は: それは有森裕子様のご主人、ガブリエル・ウィルソン様でございます(-_-;)、おまけに今は幸せなご家庭を築いていらっしゃいます、脱線はほ・ど・ほ・ど・にっ!(怒怒怒
ゆ: ス、スマソ、(>_<)、ではお詫びにわたくしがネットやCDの宣伝などから抜粋してみませう。

「立派なヘンタイ演奏」
「ティーレマンより重厚、アーノンクールよりも過激!」

う~ん、どちらも褒め言葉ではあるんですが、聴くだに恐ろしげですな(^_^;)。
は: しかし一方では一緒に仕事をしておられた日本人歌手の小森輝彦氏が、フェルツ氏を評して、その個性的な演奏を

「すごいと思うのはその新鮮さが彼の独りよがりの解釈から生まれたものでなく、楽譜に忠実に演奏するという志から生まれていて、しかも演奏として輝きがあることです。」

と語っておられますね。
ゆ: 理論派でなおかつ個性の際立った演奏をするタイプみたいですな。で、これまでこのレーベルでどんな曲を録音しているのかね?
は: 調べましたところ、こんなところでございます。

CD 21022
レスピーギ:ローマの泉/ローマの祭
スーク:幻想的スケルツォ
アルテンブルク・ゲラ劇場管

CD 21029
(1CD+1DTS-Surround-CD)
R・シュトラウス:ツァラトゥストゥラはかく語りき
リゲティ:アトモスフェール
モーツァルト:交響曲第41番
シュトゥットガルト・フィル

CD 21027
R・シュトラウス:アルプス交響曲
チュルリョニス:森の中で
アルテンブルク・ゲラ劇場管

CD 21035
ラフマニノフ:幻想曲「岩」、交響詩「死の島」、
スクリアビン:交響曲第5番「プロメテウスー火の詩」
シュトゥットガルト・フィル
ケイ・ヨハンソン(Org)、
アンドレアス・ボイド(P)

CD21041 マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
シュトウットガルト・フィルハーモニー

CD 21045
(2CD)
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団

ゆ: 結構バラエティに富んでおりますな、マーラー・チクルスの第2弾は6番ですか、次は5番ですな(笑。そう言えば今回の企画の為にヤフオクで7番を落札させていただいたライモンダCDさんが

「フェルツのアルプス交響曲もいいので是非またご利用ください!」

とご丁寧にメモを入れてくださっておられましたな。
は: 一方でprimex64様からは今回のアンケートに際しまして、

フェルツの録音では唯一アルプス交響曲を聴きましたが、割と棘と癖のある人ですね。ドイツ系オケを振るには現地の人たちや放送局はどういう捉え方をするんだろう、と、多少は心配しますが、この人の夜の歌ってのはあんまり想像がつかない、いや、したくない、というのが本音でしょうか。別に否定している訳じゃなく、あの振り方の延長線上でのマーラーの出来に関してインスピレーションが浮かばないだけです。

と、辛口のご批評をいただきました。
ゆ: そ、それは、このレビューも責任重大になってまいりましたな(大汗。じゃあ、はむちぃ君、こうしない、「マーラー5番勝負 Part I」で勝手知ったる交響曲第6番「悲劇的」を先ず聴いてみるってのはどう?
は: ご主人様にしてはナイス・アイデアでございます。では次回は「フェルツのマーラー6番」と決定いたしましたので、皆様よろしくお付き合いくださいませm(__)m。
ゆ: 皆さん、春日はまだまだ元気ですよっ!
は: いつからオードリーの春日になったんですか、トホホ。
ゆ: ウィ~(ニタ!、じゃあ(^O^)/

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2009/06/08

Mahler Sin 7 (2) Der Fragebogen des "Lied der Nacht"

Mtt
(Michael Tilson Thomas)
は: さて、マーラー5番勝負Part II、第二回は私メが密かに行いました「マーラー7番アンケート」結果発表でございます。
ゆ: 皆さんご存知ですか、今回の冒頭写真はゴーグルと手を結んだNTTさんって言うんですよ。
は: 違います、マイケル・ティルソン・トーマス様、略してMTTでございます。
ゆ: 天才的美意識でSOSを振る方ですな。おまえはピンクレディかっ!
は: SOSではございません、SFSO(San Francisco Symphony)でございます。ギャグもナイツなんだかオードリーなんだかはっきりさせてくださいませ、トホホ。
ゆ: ウィ~(ニタ。

は: 今日も不安な立ち上がりでございますが、気を取り直しまして、先ずはアンケートの質問内容を簡単にご紹介いたしましょう。

1: グスタフ・マーラーの交響曲のいずれかをお聴きになったことがありますか?
2: 1にあげた交響曲中であなたが一番お好きな曲はどれですか?
3: 交響曲第7番「夜の歌」(以下7番と約します)をお聴きになった事がありますか?
4: 7番はマーラーの交響曲中で好きなほうですか苦手なほうですか?
5: 7番をライブで聴かれたことはありますか?
6: 7番のアルバムをお持ちですか?
7: 名演と思う7番のアルバムのベスト3を選んでください。
8: 好録音と思う7番のアルバムのベスト3を選んでください。
9: 7番は5楽章ありますが、聴かれる時は通常どうされますか?
10: 7番の5楽章のうち、あなたのお好きな楽章はどれですか?

ゆ: なるほど、演奏機会も少なく、人気も無い交響曲と言う世評が本当かどうかをアンケートしてみたわけですな。
は: 最近では演奏機会も増えてまいりましたし、更にはマーラーの交響曲をチクルスで発表される指揮者も増えてまいりましたから、それに比例してファンも増えているのではなかろうかと思いまして。
ゆ: では、アンケート対象を紹介してくれたまへ。
は: かしこまりました、アンケートはご主人様の音楽・オーディオ繋がりで連絡の可能な方を選ばせていただきました。私のところへは来なかったぞと言う方がおられましたら、連絡方法が分からなかったということでご容赦くださいませ。
ゆ: 何しろブログをはじめてから2回PCがクラッシュしておりまして、申し訳ございません。で、何人の方からお返事をいただいたのかな?

は: お忙しい中、

アンケート送付数: 43名
有効回答数:    32名74.4%

のご回答をいただきました、誠にありがとうございますm(__)m。ちなみにパリンドローム様には内緒で行いましたのでそれもご容赦くださいませ。
ゆ: 私のつながりだとクラシックの方はむしろマイノリティであるのにもかかわらず、70%以上のご回答を賜るとは、ひとえに私の人徳皆様の暖かいお気持ちの賜物でございます。
は: 何か今余計な事を言いかけませんでしたか(;一_一)?では早速、まいりましょう。

Q1:マーラーの交響曲のいずれかを聴いた事が

ある: 24名(75%)
ない: 8名 (25%)

ゆ: ご回答くださった方の中での数字でございますのである程度高いだろうとは思っておりましたが、これほど皆さんが聴いておられるとは思いませんでした。マーラーさんも草葉の影で喜んでいるでしょう(笑。
は: ただし、あまり記憶にない方やどちらかと言えば好きではない方も多いようでございます。許可をいただいた方のコメントを挙げてみます。

UENO様: 残念ながらマーラーは疎く、3番が一枚あるだけです(--;) しかも長いのであまり聴いていません。どんな曲かも覚えていません(笑)

Jazzaudiofan様: 僕はクラシックの特に交響曲には不案内で、マーラーはたしか1番(?)くらいしか聴いたことがないと思います(その辺もあやふや^^;)。

HY様: あまり聴かないマーラーだったので(5番までしか聴いた事ありません)不完全燃焼でした。(笑)

様: 実はマーラーはもともと苦手で、ゆっくり聞けば好きになるかもと思いましたが、やっぱりだめでした。あるテーマが盛り上がってきて、その流れにそって聴こうとすると、突然曲の流れが変わる、弦楽器と管楽器が全然別々の曲を奏でているよう、一所懸命聴いていても、どんどん置いてけぼりにさ れるような気持ちになるんです。

ゆ: なるほどねえ、マーラーが好きで積極的に聴くという方は聴いたことのある方の大体半分くらいなんでしょうね。ではそのマーラーの何番が人気なのか、発表していただきましょう。
は: ではQ2の結果でございます。

Q2:マーラーの交響曲中で一番お好きなのは第何番ですか?

第1位: 5人 第1番「巨人」 
第2位: 4人 第5番
         第6番「悲劇的」      
第4
位: 3人 第2番「復活」
         第4番
第6位: 1人 第3番
         第9番

ゆ: なるほど、やっぱり1~6番に集中して第7番でぷっつり切れておりますな(笑。
は: 第1番はご主人様の予想通りでございますよね?
ゆ: そうですね、もう一つの興味は純器楽曲と合唱付きとどちらが多いのかなということだったんだけど、皆さんの好みを総合するとバランス良くなるもんですねえ。で、何かご意見はありましたか?
は: 幾つかご紹介させて頂きます。

キングあおぽん様: 第1番 大自然を感じさせるスケールの大きさが好きです。

nemota様: どんな体調でも受け入れられる1番、4番かなー。でも2番、大地の歌も捨てがたいし。ええい!今の気分は2番「復活」ということで。

もなこ様: 第6番: 全曲を1曲だけと言われるとこれですね。作品として完全だと思っています。

primex64様: 全部好きですが、敢えてあげるなら5番でしょうか・・。

koyama様: 9番と4番が同じくらい…

ゆ: koyamaさんが4番だけにしてたら7番以降は全滅してますな(苦笑。では、いよいよ第7番の人気について検討してまいりましょうか、ちょっと見るのが怖い気もしますが(^_^;)。
は: 確かに予想以上の結果が出ております(^_^;)。マーラーの交響曲を聴いたことのある24名中、

Q3: 交響曲第7番をお聴きになった事が

ある: 9名 (37.5%)
ない: 15名(62.5%)

Q4: 第7番はお好きですかお嫌いですか?

一番好きである: 0.5人*
どちらかといえば好きである: 4.5人*
好きでも嫌いでもない: 1人
どちらかといえば嫌いである: 1人

(primex64様が1,2両方を選択されましたので、0.5に分割いたしました)

ゆ: おおっ、やっぱり(・o・)、マーラー経験者の3人に1人しか聴かないという結果ですか。
は: この結果を見ますとやはり純器楽の交響曲の中でも人気の無い作品であることは間違い無いようでございますね。あのクラマニアのどる様でさえ、

どる様: (マーラーの交響曲を聴いた事が)すべてあります。一番聴く機会がなかったのが7番です、ピンポイントでやられました(笑)

と述べておられます。ただ、聴いたことのある方の中では比較的好意的なご意見が多うございました。ジャズご専門のたかけん様も

たかけん様: 地味だけどなかなか味がある。今の暗い(鬱っぽい)時代にあってるのかも?

とおっしゃっておられます。
ゆ: さすがたかけんさん、深いいご意見ですね。まあそれにしてもこれだけ聴いた事がない方が多いとはね、ちなみにライブではどれくらいの方が聴いておられるんでしょう?
は: 確かに第7番が人気のない原因の一つとして

使用楽器が多く揃えづらいので、演奏を実際耳にする機会が少ない

事が挙げられておりますね。では発表いたします。

Q5: 第7番をライブで聴かれたことはありますか?

ある: 4人(50%、もなこ様、Tak Saeki様、primex64様、どる様)

ゆ: さすがに第7番レースも本命の4人に絞られて来ましたな(苦笑。
は: レースではございません(--〆)。お書きいただいたコメントによりますと、もなこ様は、ギーレン/ミュンヘン・フィル(ミュンヘン2002)、マゼール/バイエルン放送響(ミュンヘン2002)、若杉/都響(東京1989)、どる様は若杉/都響をお聴きになったそうでございます。
ゆ: おお、もなこさんとどるさんは接近遭遇してるかもしれませんな。
は: おまけにもなこ様はなんと演奏経験がおありなんですよ、それも

「カウベルとシンバルとグロッケンシュピールとルーテ」

をかけもちで!
ゆ: おおっ、それは凄い!打楽器は7番の花じゃからのう。
は: 続いてアルバムについてまいります。

Q6: 第7番のアルバムをお持ちですか?

複数枚ある: 3名
1枚ある: 3名
ない: 2名

ゆ: 私が余りクラを聴かなかった頃、クラマニアといえば

一つの曲につき複数枚持っているのが当たり前

というイメージがあったのですが、第7番を複数枚持っているというのは相当なクラマニアという事になりますか、私も複数枚持っておりますので感慨深いものがあります、随分遠くまで歩いてきたもんだなあ(゜-゜)(遠い目)。
は: 久々の遠い目でございますね(;一_一)、まあそれはともかく益々第7番の人気の無さが浮き彫りになってまいりましたね。
ゆ: まあ逆に言えば、一から六の人気がありすぎるんでしょうね。イチゴは明快だし、六は劇的だし、それに比べれば難しすぎるんでしょうな。有名すぎる代表作「悲劇的」と「仙人」に挟まれているところも痛い(苦笑。
は: しつこいようですが「仙人」ではございません、「千人の交響曲」でございます(-_-;)。

ゆ: まるで「狂気」と「動物」「」に挟まれた「」のようですな。
は: ヒトの指摘を無視していきなりプログレに飛ぶんですから(嘆息。ちなみにピンク・フロイドでございます。まあ確かにプログレを代表する大作に挟まれてあまり目立たず世評も高く無いところは似てはおりますが、それだけでございましょ。。。
ゆ: まあ、そう言うでない、はむちぃ君、実はそれ以外にも意外な共通点があるのじゃ。
は: はあ?
ゆ: 先ず全体で五曲、一曲目五曲目が「Shine On You Crazy Diamond(part1,2)」じゃろ、2曲目「Welcome To The Machine」と4曲目「Wish You Were Here」がバラード、そして真ん中の3曲目に唯一メンバー外のロイ・ハーパーがボーカルを取る不思議な曲「Have A Cigar」が配されておるのじゃ。
は: おおっ、まさしくABCBA構成!
ゆ: そして第7番と同様四曲目がアルバムのタイトルとなっておる!
は: た、確かに!
ゆ: おまけに四曲目だけアコースティック・ギターがフィーチャーされておる!
は: ひょえ~、全く第四楽章と同じでございます!まさかロジャー・ウォーターズ様はこの交響曲第七番からヒントを得て、、、!?
ゆ: んなこたぁ無い(笑(タモリ風)

は: こ、ここまで引っ張っておいて、、、(--〆)。気を取り直してまいりますが、人気の無い理由といたしましては、確かにマーラー様の代表作二つに挟まれていて隠れた存在的になってしまった事もございますが、

  使用楽器が多く揃えづらいので、演奏を実際耳にする機会が少ない
 構成面と音楽自体がはらむ多義性が理解を困難にしている
 一方で第五楽章の暗→明の転換が単純すぎて失敗なのかパロディなのか分からない

が挙げられております。
ゆ: そうですね、第1から第4楽章にかけては印象的で美しい旋律をそこかしこで聴けるんだけれど、じゃあ全体を通してどういう楽想だったか言ってみろといわれても、、、無理だ(笑。
は: まあご主人様の頭では無理でございましょう(-.-)ボソッ。ちなみにprimex64様はご自身のブログのブーレーズの第7番のレビュー

元々この曲は本格的なオーケストラのための交響曲というより、雰囲気としてはショスタコの室内交響曲のような無調性で拍子も曖昧な現代音楽の入り口と位置付けられるもので、奏法も割と多彩で難しく譜面も複雑だ(中略)この曲は旋律や調性、拍子の乗りやすさなどに主眼を置いて聴いてはいけないのだと思う。つまり、音楽の感情的なインパクトは音のテクスチャーやアーキテクチャといったシェーンベルク風の聴き方によってもたらされるのだと思う。

と述べておられます。
ゆ: なるほど私の感想を理論的に書きなおすとこうなるんですねえ。ついにシェーンベルクが出て来ましたかぁ。って、さりげなくきついことを言ってる気がするぞ、はむちぃ君や(・・?。まあもちろん知識も経験も無い私がそんなに小難しいことを言える筈もないんですが、ごく単純に

簡単に覚えられるサビがどの楽章にも無い

ので有名になれないんじゃないですかね。鼻歌で歌えると公言しておられるもなこさんのような方を別にして、第7番を代表するフレーズを口ずさめと言われてもおそらくできんでしょう、きっと。
は: た、確かにその通りでございましょうね。
ゆ: 先程似ていると言っておきながら言葉を返してなんじゃが、ピンフロの「」とはそこが決定的に異なるのだな。「炎」では、曲の題名の部分が全部サビになっていて、次の題名を全て節をつけて口ずさめるんだよね。

Shine On You Crazy Diamond
Welcome To The Machine
Have A Cigar
Wish You Were Here

これはきっと私のみならず、ピンフロ・ファンなら大抵できると思うんだ。
は: た、確かにそれ故、ピンク・フロイド・ファンの間では結構人気がございますし、分裂後もそれぞれにこのアルバムの曲は良くライブで演奏されますよね。しかし、無理矢理プログレに持ってくるなという声も聴こえて来そうでございます。

ゆ: それなら井上道義先生にご登場いただきましょうか(笑。以前コンサートでベートーベンの運命が何故これほどの名曲なのか、ということをこう解説されておられました。

「この曲は何故名曲か?誰でもすぐ覚えられるメロディがあるからです。それが全てではありませんが名曲の大事な要素です。」

「例えば第一楽章、誰でも知ってるジャジャジャジャ~ン、弦楽器で3度、その後を受ける管楽器では5度、実はこの楽章は3度、5度しかないんです。続く第二楽章は4度、これも親しみやすいメロディです。一方最後の方はどうですか、全ての要素が総合されてしまうのでみなさん面白くないでしょ!(笑」

は: な、なんか勢いに押されて馬鹿馬鹿しいほど単純な理由が至極全うに聞こえてまいりました(^_^;)。では第7番をもう少し詳しく検討してまいりましょう。

Q9: 第7番は5楽章ありますが、聴かれる時は通常どうされますか?

必ず通しで聴く 0名
状況が許せば通しで聴く: 5名
何回かに分けて順番に全て聴く: 0名
好きな楽章だけ選んで聴く事が多い: 4名

Q10: 第7番の5楽章のうち、あなたのお好きな楽章はどれですか?

第1楽章 3名
第2楽章 0名
第3楽章 0名
第4楽章 1名
第5楽章 2名
全て    1名
無い    1名

ゆ: なんせマーラーの交響曲は長いからねえ、名だたるクラマニアの方でも結構好きな楽章だけ聴いておられますね。第1、第5というのは大体私の予想通りですな。
は: 表題の元となった「Nachtmusik」の第2、第4楽章の人気が無いのも皮肉というか不思議でございますね。
ゆ: 第4楽章なんかそれだけで独立していれば甘い「夜曲」として結構有名になってたかもしれないのにね。
は: その第4楽章をお選びになったどる様も「しいていえば、第4楽章でしょうか」という程度だそうでございます。ちなみに一応一番人気の第1楽章についてもこうおっしゃっておられます。

どる様: 下世話な表現ですが、イキそうでイかないインポテンツな曲に聴こえました。でも、誤解しないでいただきたいのは、けなしているんじゃなくて、5番6番(やそれ以前の曲)とは一線を画した、7番(やそれ以降の曲)にしかない表現・特徴を有している、それがこの曲の(衰えた者にしか解らない)魅力ではないかと思うのです。

ゆ: なるほど、衰えたものにしかわからない魅力ですか。どるさん、もっと先へいって9番10番になると更に響きが薄くなっていく、とも語っておられまし、その過渡的なところに第7番はあるんでしょうね。それに比べて第5楽章の明るい事(^_^;)。
は: ずばりTak様の

Tak Saeki様: 終楽章のずんどこどんどんをどう処理するかが全てだと勝手に思ってます。

というお言葉が全てでしょうね。
ゆ: 個人的には一番人気の「巨人」もフィナーレをどう華々しく盛り上げるかが勝負だと勝手に思ってるんですけど、評価に天と地ほど差がありますね。
は: それだけ前4楽章との落差が大きすぎるんでしょうね。マーラー様が煮詰りに煮詰ってやけくそで今までの交響曲自体をパロディー化してしまったのが第五楽章だという意見もございます。

ゆ: 私たちも5番勝負の最後がやけっぱちだと言われないように頑張りましょうか(^_^;)。では最後に第7番を少しでも多くの方に知ってもらうために、名演盤、好録音盤のアンケート結果を発表いたしましょう。
は: かしこまりました、1位:3点、2位:2点、3位:1点で計算いたしました。なお、順位をつけがたい方の場合は全て2点、1枚だけの方は2点で数えさせていただきました。また、フェルツ盤は今回の順位付けからは省かせていただきました。わざわざご購入いただいたどる様、MAO.K様、何卒ご了承ください。

Q7: 名演と思う第7番のアルバムのベスト3を選んでください。

1位: 5点 アバド/BPO (2001,DG) 
2位: 4点 ブーレーズ/Cleveland O (1994,DG) 
3位: 3点 MTT/SFSO (2005,SFS media) 
        ショルティ/CSO (1971, Decca)
5位: 2点 テンシュテット/LPO (1993,EMI)
                 シノーポリ/Philharmmonia O (1992,DG)
              レヴァイン/CSO (1980,RCA) 
        クレンペラー/Philharmonia O (1968,EMI)
9位: 1点 マゼール/バイエルン放響 (2002,Bootleg)

もなこ様: アバド:曲の真価を見直した気になった,よく考えられた演奏、レヴァイン:曲を理解できた気になった,きわめて開放的な演奏、マゼール:ヘンタイ指揮者のヘンタイ演奏

primex64様: ブーレーズ、MTT、シノーポリ: 敢えて序列は付けたくないです、尚、順不同でしかもそれぞれ全然曲想は違いますので悪しからずw

Q8: 好録音と思う第7番のアルバムのベスト3を選んでください。

1位: 6点 MTT/SFSO (2005,SFS media)
2位: 4点 ブーレーズ/Cleveland O (1994,DG)  
3位: 3点 ゲルギエフ/LSO (2008, LSO Live)
              シャイー/RCO (1994, Decca)
5位: 2点 アバド/BPO (2001,DG)
                 テンシュテット/LPO (1993,EMI)
                 ハイティンク/BPO (1992,Philips)
8位: 1点 ショルティ/CSO (1971, Decca)

primex64様: ゲルギエフ、MTT: これは予定調和で決定ですわw

どる様: アバド: オーディオ的にも、左右前後の広がりが好くて、後期マーラーの「あちこちでいろんな音が鳴る」様子(空気感?)が手に取るように(おそらくライブで聴くよりも)解りました。

MAO.K様: テンシュテット盤の方が全体的に柔らかな録音のような気がします。フェルツ盤は妙に音が引っ込んでいるような気もしますが。。。。
テンシュタットとフェルツを聴き比べた際に、Steve HoweとTrevor Rabin程の差を覚えるのは自分だけであろうか?(→同感です)

以上いかがでございましたでしょうか、第7番アンケート、少しでも第7番に興味を持っていただき、聴いてみようと思われればはむちぃメ本望でございます。
ゆ: 皆様も長文にお付き合いいただきありがとうございました。はむちぃ君も申しておりますようにこれを機会に第7番をお聴きいただければ幸いです。とにもかくにもはむちぃ君ご苦労であった、後は私に任せたまへ!
は: 大丈夫でございますかあ?と言うわけでございましてまだまだマーラー5番勝負Part II続きますが皆様よろしくお願いいたします。m(__)m

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2009/06/07

Mahler Sin 7 (1) 「Lied der Nacht」

Solti
(Sir Georg Solti)
はむちぃ: 皆様大変お待たせいたしました、今回より拙ブログ30万ヒット記念企画をお送りいたします。冒頭写真は前回のマーラー五番勝負をリクエストいただいたTak Saeki様に敬意を表しまして、サー・ゲオルグ・ショルティ様の第7番のジャケットを用意させていただきました。
ゆうけい: こん**は、ゆうけいです、実は昨日ゴーグルで調べてたら凄い作曲家を発見したんですよ、グスタフ・マーラーさんっていう方なんですけど、皆さんご存知ですか?
は: そ、それは、禁断のナイツ・ネタ(--〆)、そ、そればっかりはダメでございます!大体からナイト(Night)とナイツ(Knights)はスペルが違いますっ!
ゆ: ちなみに探偵ナイトスクープのナイトもknightですから、で、やっぱりダメ?
は: ご主人様がナイツ・ネタをやると必ず下ネタが入りますっ(キッパリ。
ゆ: そんなこと無いと思うけどなあ、決してマーラーを漢字で書いたりしないからさあ(笑。
は: それが駄目だと言っておるのですーっ(怒。
ゆ: へへ~、分かりましたでございます。では「マーラー5番勝負 Part II」、早速参りましょうか。
は: ええ~っ、また5回やるんでございますかぁ!?

ゆ: Tak Saekiさんで5回やってパリンドロームさんが1回と言うわけにもいかんでしょ(笑。
は: トホホ、気が遠くなる思いでございますが仕方ございません、気を取り直して参りましょう、皆様よろしくお付合いくださいませ。さて、今回の課題は299999(5N番)を踏んでいただきましたパリンドローム様からのリクエストでございまして、

マーラー:交響曲第7番ホ短調『夜の歌』
シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団
ガブリエル・フェルツ(Gabriel Feltz)指揮
レーベル:Dreyer-Gaido

でございます。マーラー様につきましては以前ご紹介した事がございますので、こちらのリンク先をご参照くださいませ。では、第一回は交響曲第7番「夜の歌(Lied Der Nacht)」について考察して参りましょう。

ゆ: そのマーラーさんの交響曲は第1番10番と「大地の子」の11曲があるんですが、
は: 「大地の歌」でございます、「大地の子」は山崎豊子様かNHKになっちゃいますから(-_-;)。
ゆ: その中でも第7番は

最も完成度が高い交響曲であるにもかかわらずあまり人気が無い

という不幸な作品でございまして通称「アンラッキー・セブン」と呼ばれております。
は: 呼ばれておりません(怒。通称は「夜の歌」でございます。
ゆ: よ、よ、の歌、くくくくく~(嬉。
は: だからナイツネタは下ネタになると申しておりますのに(ーー;)、もうようございます、私メが第7番の概要を説明させていただきます。

 交響曲第7番ホ短調は、グスタフ・マーラー様が1905年に完成した7番目の交響曲で5楽章から成ります。演奏時間は約80分とこれまた長くなっております。

I. Langsam(Adagio) - Allegro con fuoco
II Nachtmusik (Allegro moderato)
III. Scherzo, Schattenhaft
IV. Nachtmusik (Andante amoroso)
V. Rondo - Finale (Allegro ordinario - Allegro moderato ma energico)

「夜の歌」(Lied der Nacht)という副題が知られておりますが、これはマーラー様が第2楽章第4楽章に「夜曲」(Nachtmusik)と名付けておられることに由来いたしますが、正式な副題ではございません。

 以前レビューいたしました傑作第6番悲劇的」を書き終えたマーラー様はすぐに次作にとりかかられ、まず第2楽章と第4楽章を同じ1904年に、翌1905年には「夜=暗」と対照的に「明」をイメージするあと3つの楽章を完成されました。

ゆ: 1904年はマーラー44歳、ウィーン宮廷歌劇場の仕事も順調で「ウィーン時代」と呼ばれております。5、6、7番と純器楽曲が続き、声楽の入る交響曲の多いマーラーにしては珍しいですが、一方でこの時代に「亡き子をしのぶ歌」や「リュッケルトの五つの歌」などの声楽曲も作っておりますので、乗りまくっていた頃と言えるでしょう。ちなみに8番「仙人の交響曲」では再び合唱交響曲に回帰しておりますので、マーラーさん、7番で純器楽でやれることはやり尽くしたんでしょうな。

は: 「仙人」じゃなくて「千人」ですから(嘆息。確かに第7番は最も高度な純器楽曲との評価が高うございます。この五楽章の配列はスケルツォ楽章を中心とするABCBAの対称構成となっており、今回リクエストいただいたパリンドローム(回文)様のハンドル名とも共通するところが興味深うございます。
ゆ: 「明暗明暗明」配置と一般に言われておりますし、実際マーラーが画家レンブラントの明暗法を意識していたとの指摘もありますね。当然ながらBに相当する部分に「夜曲」を配置しているのですが、実はこの二つの夜曲、あまり似ておりません。
は: ギター、マンドリンも加えて愛情をこめた(amoroso)セレナーデとなっている第四楽章とは対照的に、第二楽章は「Nocturnal March」と呼ばれるほど行進曲的で、また夜の野外の不安な雰囲気も湛えております。
ゆ: ということで「メチャメチャ明るいで~」と感じさせるのは第五楽章だけで、第一楽章から第四楽章まですべてを暗とみる向きもあるようです。
は: 濃淡の微妙な揺らぎを示しつつもやや暗い雰囲気で第一、第二と進み、「影のような」第三楽章をヒンジとして、典型的なセレナーデの第四を経て、劇的に明るい真昼間の第五楽章へとなだれ込んでいく展開でございますね。

ゆ: 影のような(Schattenhaft)第三楽章は本当に不思議なスケルツォですね、以前五番勝負で私を悩ませた「無調」「多調」などのなぞのクラシック用語を思いだして、ああ、また頭痛が!!!
は: ベタな韻を踏んで難しい単語を思いだすからでございましょ(嘆息。
ゆ: まあでも、第三楽章が一番好き、という人はいないでしょうね。「夜の歌」なのに唯一明るい第五楽章がライブの一番の盛り上げどころなのも皮肉な気がしますね。
は: 5番勝負 Part Iで第6番をリクエストいただいたTak Saeki様も

「第7番に関しては終楽章のずんどこどんどんをどう処理するかが全てだと勝手に思ってます。」

と語っておいででございます。 

ゆ: 鳴る程成る程、まあそれにしてもマーラーさん、本当に大編成がお好きですね。リハーサルを繰り返しつつ完成させていったと言う話ですから、あの楽器もこの楽器も、と欲が出たんですかねえ。
は: 楽器編成は下記の如くでございまして、おっしゃるように6番に続きまして大変種類が多く、またギター、マンドリンとオケには珍しい楽器もございます。

楽器編成(Wikipediaより、いろんなCDのライナーノートで若干の相違もあります)
ピッコロ、フルート 4(ピッコロ持替え 1)、オーボエ 3、コーラングレ、ソプラニーノクラリネット、クラリネット 3、バスクラリネット、ファゴット 3、コントラファゴット
テノールホルン、ホルン 4、トランペット 3(第5楽章でコルネット持ち替えあり)、トロンボーン 3、チューバ
ティンパニ、大太鼓、小太鼓、タンブリン、シンバル、トライアングル、銅鑼、ルーテ、グロッケンシュピール、カウベル、低音の鐘
ハープ 2、ギター、マンドリン
弦五部

ゆ: ギター、マンドリンが7番を語る時に良く話題に出ますが、第四楽章だけに集中していますし、それ程出しゃばっているわけでもありません。それより7番を語る時に大事なのはテノール・ホルンを初めとする管楽器であり、ティンパニを代表とする打楽器ですね。これらの活躍でオケの花である弦楽器が霞んでしまうほどです。
は その弦楽器でもチェロにfffffを割り振ったり、どうも低音系を重視しているようですね。
ゆ: オーディオの時代が来ることを予見してたんでしょうか(笑。そう言えば奏法も多彩だし、各楽器の音色を丁寧に引き出していることも特徴ですね。
は: 第一から第四楽章までは「壮大な室内楽」と言った趣きがありますね。
ゆ: それなのに、ああ、それなのに、それなのに、何故かオーディオファイルにもさっぱり人気はおませんなあ(苦笑。

は: それにしても、ご主人様がこの目立たない7番を知っている事の方が不思議でございます(-.-)。
ゆ: 馬鹿にするでないぞ、はむちぃ君、あの五番勝負を忘れたか!
は: ご主人様のボケっぷりに寝込みましたから忘れようもございません、それが何か?
ゆ: 6番の次は何番じゃ?
は: な、7番、、、それだけの理由で、、、(;一_一)
ゆ: いかんかな?Takさんに今は感謝しておるぞ、聴いてて良かった第7番
は; それを言うなら、開いてて良かったセブンイレブン、、、、、(-_-;)

ゆ: というわけで第7番は結構好きなのだな、6番で鍛えられたお陰でスイマーにしては睡魔にも襲われなかったしのう。30分もかかる楽章を最後に持ってこなかったのもマーラー君の成長の証じゃな(笑。
は: 偉そうにアホなことを。。。でも、トータル80分はご主人様には長過ぎるんじゃ?
ゆ: それが割りと退屈しないんだな。楽章によっても楽章内でも楽想がころころ変わるし、好きな楽章だけを楽しむ事も一興だしねえ。
は: クラマニア必見のブログMusic Arenaを主宰されておられるprimex64様は

「全部揃わないと夜の歌じゃないですわ」

と釘を刺されておられますよ(ボソッ。

ゆ: 別の記事

ブーレーズのこの演奏は分析的でアンチ・ロマンティックな演奏ながら淡々としすぎて、少なくとも4楽章までは眠気を堪えることが出来ない。

とも申されておられるがのう(^_^;)。ところではむちぃ君、ちょっと訊きたいのだが、今日は独り言が多い上にクラマニアの方々の意見をさりげなく入れておるが、どうして君がそんな事を知っておるのじゃ(?_?)
は: ようやくお気づきでございますか、私を誰と心得ておられます?
ゆ: ひ、筆頭ヒツジ、、、
は: 筆頭執事でございます!この難しいリクエストにお答えするために私メがご主人様の音楽・オーディオ関係の常連様、マイミク様等々に密かに

マーラー7番アンケート

をお願いしたのでございます。
ゆ: おおっ、そこまでしてくれておったのか(感涙、ベリー・ナイツ
は: ナイスでございましょっ、ナイツネタは沢山でございます!と言うわけでございまして、グダグダで第一回は終わってしまい皆様には申し訳ございません。第二回は皆様のご協力を無にしないためにも、アンケート結果をまとめて発表いたしたいと考えております。
ゆ: はむちぃ君の努力を無にしないためにも私も頑張りますっ!
は: ホントですか~(;一_一)

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2009/03/28

P.I. Tcahikovsky / Piano Trio in A Minor Op.50

Tchaikoop50_2
  アメリカ西海岸のオーディオファイルjazzaudiofanさんは以前から日本の優れたジャズCDを世界に紹介するオンラインショップEastwind Importを運営しておられるのですが、最近は日本ばかりではなく、アメリカの独立系ジャズレーベルやJVC Americaが製作した高音質XRCD、更にはクラシックの高音質レーベルも扱われておられます。そのクラシックレーベルの一つにカナダのMirrored Nature Recordsがあります。

Music Made Not Manufactured

をモットーに、録音の機会に恵まれない有望な若手演奏者に機会を与え高音質のSACD、CDをリリースしているそうです。今回有り難くもjazzaudiofanさんからそのアルバムを頂きましたので紹介してみたいと思います。

Trio for Piano, Violin & Violoncello
In A Minor Op.50
(P.I.Tchaikovsky)   
 
I. Pezzo Elegiaco: Moderato assai – Allegro giusto
II. (A) Tema Con Variazioni
(B) Variazione Finale e coda: Allegretto risoluto e con fuoco   
                                               Andante con moto - Lugubre

Alexander Stark - Violon
Bella Shteinbouk - Piano
Nata Belkin - Cello

  チャイコフスキーについてはそのうち挑戦しようとは思っていたのですが、いまだに幾つかの有名な交響曲やバレエ音楽程度の知識しか無いので、ライナーノーツを参考にしてこのピアノ三重奏曲の概要を紹介しましょう。

 「偉大な芸術家の思い出に」という通称で知られ、1881年に亡くなった偉大なピアニストであった旧友ニコライ・ルビンシュタインへの追悼のために同年から1882年にかけて書かれた曲とのことです。そのため、全般的に悲痛な調子が支配的となっています。

 2楽章からなりますが、第一楽章は伝統的なソナタ形式で書かれており、美しいチェロ演奏で始まり、最後は葬送行進曲となります。

 第二楽章は、従来の形式を打破した非常に変則的な展開となっています。ピアノ独奏から始まり様々な変奏を経て壮大なコーダで終わりますが、その50分近い演奏時間にもかかわらず、息を飲むような抒情性とチャイコフスキーの知性、感性の深さを感じさせる名曲で、とても人気が高いそうです。

 ピアノに高度な演奏技巧が要求され、ピアノを用いるあらゆるチャイコフスキー作品のなかでも屈指の難曲であるそうですが、Bella Steinboukのピアノ演奏はよどみなく展開していくため、その難しさを微塵も感じさせません。

 ちなみにBellaはベラルーシ出身、ヴァイオリンのAlexander Starkはリトアニア出身、チェロのNata Belkinはロシア出身とロシア系の三名で固められたトリオはチャイコフスキー演奏には最適と思われます。
 第一楽章の冒頭から一貫して滑らかで美しいNataのチェロの音色に、ただ一人の男性であるAlexanderのヴァイオリンの美しくもマニッシュな力強い弦が絡む演奏は、荘厳かつ悲痛な曲調でありながら際立った美しさを持っており、無名の若手のトリオとは言え、一流の演奏ではないかと思います。

 さて「高音質レーベル」という点がオーディオファイルには気にかかるところだと思いますが、SACD層を聴いた印象では奇を衒ったところや大上段に構えたところの無い、きわめてナチュラルな録音だと思いました。ライナーノートに「Recording Philosophy」が書いてありますので要約しますと、

「・ 有能な素質と感性を持った演奏者にあたかもマイクロフォンが観客であるかのように演奏してもらいます。演奏には音楽の有機的な流れと演奏者間の対話を最重要視します。

・ レコーディングの過程は可能な限りシンプルかつ短くしています。ライブ演奏のバイタリティ、ヒューマニティ、マジック、そしてソウルを味わっていただくために可能な限りのbest avairable equipmentを使用しています。」

とのことです。recording chainを可能な限りシンプルかつ短くしてあるという効果が表れているのでしょう、天然の湧水のように透明感溢れる清清しい美音が澱みなく滾々と湧き出てきます。その感触はまるでAyreのアンプで聴いているような錯覚を覚えるほどです。そう言えばAyreのモットーも確か「Straight Wire With Gain」でしたね。

 というわけでjazzaudiofanさんの見識と審美眼の確かさを再認識させていただきました。どうもありがとうございました。他にもこのトリオでのベートーベン等いろいろなアルバムがありますので興味のある方は上記のEastwind Importで検索してみてください。

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2009/02/08

原田知世@NHK芸術劇場

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 綾瀬はるかパワーおそるべし、水泳もAshramも吹っ飛ばされてしまいました(笑。で対抗手段として、ここはアラフォー名女優+クラネタを持ってくるしかありません。と言う訳で久々に原田知世様にご登場願いましょう。2月6日のNHK芸術劇場に朗読で出演されました。

NHK芸術劇場②「音楽物語『ぞうのババール』」

1: 音楽物語「ぞうのババール」(プーランク)
2: 組曲「マ・メール・ロア」(ラヴェル)
3: 「風変わりな美女」から(サティー)

<出演>
Geijyutugekijou2
原田知世(朗読)(1、2)
江口玲(ピアノ、写真右) (1、2、3)
山中千尋(ピアノ、写真左) (2、3)

<収録> 2008年6月27日 NHK・101スタジオ

 「ぞうのババール」はプーランクが甥っ子や姪っ子たちにおねだりされてジャン・ド・ブリュノフ作の同名の絵本に音楽を付けた作品です。
 原田知世様が読んでおられた絵本は確かうちの娘にも買ってやった覚えがあるのですが、童話と言うにはどうもみょうちくりんな作品ですよね。母親が撃たれて死んだのに都会で楽しく暮らしていたら森の王が死んで都会を知っているおまえが王になれと言われてさっさと帰っていく変な象(苦笑。
 そのせいなのか、それとも立派な音楽作品なのか、プーランクの作品も妙に暗めのとても子供が喜びそうに無いようなBGMとなっております。はたして親戚の子供たちは本心から喜んだんでしょうか?
 とはいえ、江口玲さんの倍音を良く響かせたタッチやペダリングはさすがに素晴らしく、ちょっと声量の足りない知世様の朗読を良くバックアップしておりました。写真の如く思いきったショートカットにした知世様はとてもチャーミングでした。

 「マ・メール・ロワ(Ma Mère l'Oye)」は、マザー・グースを題材にしたこれまた子供にねだられてのラヴェルの作曲で、友人であるゴデブスキ夫妻の2人の子、ジャンとマリーのために作られたそうです。原曲ではピアノ四手連弾の組曲ですが、今回はジャズ・ピアニストの山中千尋さんが加わっての二人の連弾でした。
 ここでの知世様のハイライトは、有名な「美女と野獣」の朗読でした。鳥の羽根をあしらったカチューシャがとても素敵でございました。
 とはいえ、聴き所は何と言ってもクラシック+ジャズの異種格闘技的連弾。低音の響きをふくよかに聞かせる江口さんと、見事な筋肉質の腕から繰り出す高音域の一音一音のタッチの強さを持ち味とする山中さんとの持ち味のブレンド感が絶妙でした。ついでに言うと山中さんの演奏スタイルと江口さんとの絡みは「エッチ度爆発(某常連さん談)」でございました(笑。

Geijyutugekijyou3

 アンコール的な三曲目はサティの「風変わりな美女」とラヴェルの「美女と野獣」の連弾。山中千尋さんってホント風変わりな美女と言う表現がぴったりでした。正統派美女の知世様は傍で椅子に座って聴き入っておられました。最後の拍手が可愛かったです(をいをい。

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2009/01/23

Gaspard de la Nuit (Ravel) / Martha Algerich

Argerich
ラヴェル:夜のガスパール
(リンク先はCDです)
 先日ポリーニのレビューにいただいたコメントの中で、「夜のガスパールはどこがいいんだろうと未だに良く分からない」と書いてしまいましたが、私の尊敬するラヴェルにも失礼ですし、世の中にあまたおられる「夜のガスパール」ファンのお目汚しにもなった事とも思いますので、レビューというほどのものは書けませんが思い出など書いてみようかと思います。

Maurice Ravel
A-1. Gaspard de la Nuit
B-1. Sonatine
B-2. Valses Nobles et sentimentales

Martha Argerich, Piano, recorded at Berlin, Nov.,1974
Deutsche Grammophon ( MG2501)

 1974年録音、すなわちこのアルバムの発表当時私はまだプログレ命でクラシックには殆ど興味がなかったのですが、そんな私の目にも止まるほどクラシック専門誌以外の雑誌でも華々しく取り上げられる注目盤でありました。でもって

「新進の天才女流ピアニスト」「アルゲリッチという何となくカッコよさそうな名前の響き(笑」「ラヴェルの作品集(当時もボレロは大好きだった)」 

という3点セットにそそられて思わず買ってしまったのでした。まあ結果論ですが、一言で言うと無謀な選択だったわけです(^_^;)。以下ライナーノートを書いておられる平島正郎氏の解説を頼りにしながら、A面全体を占める「夜のガスパール(Gaspard de la Nuit)」について書いてみます。

 「夜のガスパール」はもともとフランスの無名詩人だったアロイジウス・ベルトランの64編からなる散文詩集でした。もちろん筒井康隆のパソコン通信初期の実験作「朝のガスパール」もこの作品を意識しているものと思われます。

 ラヴェルは1908年にこの詩集からとりわけ幻想的で怪奇趣味の強い3篇「水の精」「絞首台」「スカルポ」をイメージしてピアノ独奏曲を作曲し、1909年1月9日にリカルド・ビニェスのピアノによってパリで初演されたそうです。
 各楽章は、ソナタ楽章―緩徐楽章―ロンド楽章の順に構成されており、古典的なピアノ・ソナタが意識されていますが、MAO.Kさんが言及されたように非常に高度なテクニックが要求され、特に第3楽章「スカルポ」は当時最も難しいとされたバラキレフの「イスラメイ」をも凌ぐ演奏技巧が必要だとラヴェル自身が述べています。

 ソナタ形式を意識しているという解説と実際聴いて見た印象とは程遠く、古典的ピアノソナタが定型詩だとすれば、これは非常に抽象的な自由詩であるという印象を受けます。若き日のラヴェルの

「音楽的知識と感性、想像力が高度に統合された、ラヴェルのピアノ曲中の最高傑作」(Wikipediaより)

と言う解説を読めばそんなもんか、という気もしてくるのですが、最初聴いた時には怪奇ドラマ、例えば「トワイライトゾーン」とか「世にも怪奇な物語」とかのOSTかと思ったくらい、何とも捉えどころのない浮遊感と気味悪さだけが印象に残りました。
 マニアックな喩えで申し訳ありませんが、「世にも怪奇な物語」第三話「悪魔の首飾り」のボールを持った白い少女のような妖しげな美しさを持つ音楽です。

 しかし、とにもかくに感心したのは初めて聴いたアルゲリッチと言う人の大胆素敵な演奏。同じラテンの血のなせる業か、女性離れしたタッチの強靭さ、繊細さと大胆さの振幅の激しさにひたすら呆然としました。クラシックにもこんな演奏をする人がいるのか、という感じですね。
 ただ、それが災いしてか、それ以後他の有名な作曲家の曲を弾くアルゲリッチを聴いてもあまり魅力を感じないようになってしまったのも選択ミスだったのかもしれません(苦笑。

 というわけで折りに触れアルゲリッチを聴きたくなった時にはこのアルバムを引っ張り出して聴いておりました。ただ、何度聴いても、オーケストレーションの天才と言われたラヴェルの真骨頂を示す「ボレロ」「展覧会の絵」の様な親しみ易い華麗な展開や「ピアノ協奏曲」第二楽章のような夢見るような美しい旋律が無いため、ついつい上の空で聴いてるうちに終わってしまう、ということの繰り返しになってしまいます。
 第一楽章冒頭のさざなみをイメージしたと思われる細かい音の揺れと最終楽章のおどろおどろしいフォルテッシモの連打までの間の記憶が無い、という事もしばしばでした(苦笑。

 逆に言えば、怪奇詩からぐいっとその粋をつかみ出して組み立てられた音が何かを連想させそちらに意識が向いてしまうわけで、自由詩から自由なイマジネーションを引き出す音楽を作るというラヴェルの術中に嵌っているのかもしれません。
 また、怪奇ドラマのOSTのようだと申し上げましたが、そのようなドラマのBGM自体がこのような先達の音楽のエッセンスを利用させていただいているのでしょう。彼のピアノ協奏曲の第三楽章の一部が伊福部昭氏の「ゴジラのテーマ」を連想させるのも、年代的に見れば伊福部先生がラヴェルからイメージを拝借したと言う考え方もできます。

 フランス音楽の粋がここにあると言われれば確かにそうだ、と思います。絵画鑑賞において抽象画を理解できるようになるまでにはそれなりの修練と経験が必要なように、この曲を理解するのにはおそらく楽譜を読み解くだけの理解力と数多くの曲を聴きこなした経験が必要なのでしょう。
 でも音楽を聴く事がそんな難しいものなのかと言われるとそれも疑問で、私のようにアルゲリッチのピアノタッチからぼ~っとあれやこれや夢想に耽けるのもそれはそれで良いのではないかとも思います。

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